獰猛な性格で知られるタスマニアデビル。ここ数十年、伝染性の顔の悪性腫瘍に苦しめられている。(PHOTOGRAPH COURTESY OF AUSSIE ARK) タスマニアデビル(Sarcophilus harrisii)の不気味な鳴き声がオーストラリア本土の森に最後に響いたのは、今からおよそ3000年前のことだ。しかし、粘り強く続けられている活動のおかげで、今年26匹のタスマニアデビルがオーストラリア本土に復帰している。(参考記事:「動物大図鑑 タスマニアデビル」) タスマニアデビルは、絶滅の危機にさらされている有袋類だ。小型犬ほどの大きさで、獰猛な性格と強力なあごはよく知られている。あごの力は、大きな動物の死骸もあっという間にばらばらにしてしまうほど。だが、1990年代に伝染性の顔面腫瘍性疾患(DFTD)が広まったことで、タスマニア島での野生の生息数はわずか2万5000匹まで落ちこんだ