7月の猛暑など、温暖化による気温上昇が指摘される中、これまでの気象条件では作りにくかった南国特産の果物を栽培する動きが広がっている。 農業関係者は、新たな特産品の生産に期待を寄せるが、専門家は「温暖化の防止が重要であることに変わりはない」とも指摘している。 「九州産に負けない甘さ。再来年には市場に出せそう」 長い葉を茂らせた約170本の木が並ぶハウス内で、埼玉県熊谷市の農業鈴木正さん(56)は、熟れて枝から垂れ下がった赤いマンゴーを手に、ほほ笑んだ。 鈴木さんは約30年前からキュウリを生産してきたが、ここ数年、夏の気温が高くなった影響で、葉が赤茶色に変わる症状が出るように。「温暖化していると実感し、逆にこれを生かした作物ができないかを考えました」。そこで、思いついたのがマンゴーだった。 南アジア原産のマンゴーを栽培するには冬場にハウス内を暖房で温める必要があるが、今年、初収穫した約200個