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ブックマーク / honz.jp (52)

  • ペットボトルのキャップは外せ! 『コンビニオーナーぎりぎり日記』は全コンビニ利用者必読の一冊だ - HONZ

    『汗と涙のドキュメント日記シリーズ』、ちょっとなさけないイラスト付きの新聞広告を目にされたことはあるだろう。『交通誘導員ヨレヨレ日記』、『派遣添乗員ヘトヘト日記』、『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』など、すでに10冊以上が出版されている。何冊か読んだけれど、どれもおもろい。しかし、今回の『コンビニオーナーぎりぎり日記』はレベルがちがう。 おもしろさのレベルというよりは、身近さだ。いまやコンビニのお世話にならずに生きている人などほとんどおるまい。コンビニがなかった時代にどのように生活していたかを思い出すことが難しくなっているほどだ。かように、コンビニのことは他人事ではなくて完全に自分事なのだ。 外国人の店員さんも多いし、ほとんどがアルバイトで運営されている。あれだけ雑多な仕事を少人数でこなすにはどんな秘訣があるのだろう。よく行くコンビニの、たぶんオーナー夫と思われる方はいつもなんだか疲れてお

    ペットボトルのキャップは外せ! 『コンビニオーナーぎりぎり日記』は全コンビニ利用者必読の一冊だ - HONZ
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    facebooook 2023/08/29
    “共に店を営む夫の連続勤務は9年を越え” ファミリーマート(仮称)とフランチャイズ契約
  • 『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』記事を書くことではなく、犯人を追うこと - HONZ

    1987年5月3日憲法記念日。朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が殺傷された。目出し帽をかぶった何者かは、一言も発することなく問答無用で散弾銃を発射し、当時29歳だった小尻知博記者は死亡、当時42歳の犬飼兵衛記者は危ういところで命はとりとめたものの重傷を負ったのである。 「赤報隊」と名乗った犯人は、この事件を含め、約3年にわたり襲撃事件や脅迫事件を実行した。朝日新聞社銃撃、静岡支局爆破未遂、名古屋にある単身者寮での発砲、そして中曽根康弘や竹下登への「処刑予告」を含んだ脅迫事件など8件。だがそれらは全て、2003年3月に時効となった。記者が日国内で政治的テロによって殺された唯一の事件の犯人は、闇に消えてしまったのである。 事件発生当初から、朝日新聞は特別取材チームを編成し、犯人を追い続けてきた。仲間の命を奪われた記者たちは、必死の取材活動に身を投じることとなった。ただただ情報を追い、犯

    『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』記事を書くことではなく、犯人を追うこと - HONZ
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    facebooook 2023/05/03
    “事件当初から関連を疑われたのは大きく分けて二つ。「右翼」と「宗教団体」である。著者の取材により見えてきた団体の一面は、この国に存在する様々な思想の中でも重要視するべき流れを考える上で、示唆に富“
  • 『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ

    エジソンやビル・ゲイツもそうなのだという。あるいは、ピアニストのグレン・グールドや、バスケットボール選手のコービー・ブライアントも。彼らはみな「パターン・シーカー」、すなわちパターン探しの達人であると考えられる。そして、そのようなパターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきたのだと書は主張する。 書の著者は、イギリスの著名な心理学者サイモン・バロン=コーエンである。彼が「パターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきた」と言うとき、その意味するところはふたつある。ひとつは、上で述べたように、偉大な発明家の多くが卓越したパターン・シーカーであること。そしてもうひとつは、ヒトが身につけたパターン探しの能力こそが、ヒトの進化史において偉大な発明を導いてきたということである。 ならば、そのパターン・シーカーという特性はどのようなものだろうか。それは、簡単に言えば、一見しただけでは明ら

    『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ
  • うつ病やアルツハイマー病もそれと関係しているのか 『脳のなかの天使と刺客──心の健康を支配する免疫細胞』 - HONZ

    それは脳のなかの「天使」でありながら、ときには「刺客」へと変貌するという。書の主人公は、非神経細胞のひとつである「ミクログリア」である。 つい最近まで、ミクログリアは脳のなかの端役にすぎないと考えられていた。脳内の情報伝達を担うニューロンや、そのつなぎ役を務めるシナプスといった綺羅星たちと比べると、それが果たす役割はごく些末なものだと考えられていたのである。ところが近年、そうした見方は大きく変わりつつある。ミクログリアは脳のなかできわめて重要な役割を果たすとともに、それが誤作動を起こすと、わたしたちの健康に甚大な被害が生じることがわかってきたのだ。後者の例を言えば、うつ病や不安障害、あるいはアルツハイマー病なども、ミクログリアの誤作動と関係しているという。 書は、ミクログリアが脚光を浴びるに至った経緯と現状を物語るものである。そしてそのストーリーは、ふたつの糸が撚り合わさった形で進行す

    うつ病やアルツハイマー病もそれと関係しているのか 『脳のなかの天使と刺客──心の健康を支配する免疫細胞』 - HONZ
  • 『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ

    作者:ジョセフ・E. スティグリッツ 翻訳:山田 美明 出版社:東洋経済新報社 発売日:2019-12-20 書の著者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、非対称情報下での市場経済理論への貢献により、2001年にジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共にノーベル経済学賞を受賞した経済学の泰斗である。 研究面において優れた論文を多数発表し、米国の経済政策に大きな影響を与えたのみならず、クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行で上級副総裁・チーフエコノミストを務めるなど、自ら経済政策を遂行する立場にも身を置いた実践者でもある。 近年は、『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』『世界の99%を貧困にする経済』『フリーフォール』などの著作で、グローバルに新自由主義経済を推し進める米国の政策を批判し、富裕層への増税を主張するなど、経済格差是正のための多くの提言を行って

    『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ
  • 『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』 どんな人も見捨てない。困窮者支援の最前線からの報告 - HONZ

    世の中がなんだかギスギスしているなぁと感じるようになったのは、いつ頃からだろう。電車でわずかに肩が触れただけで舌打ちされたり、高速道路で妙に煽ってくる奴がいたり、そんな些細な個人的体験だけでなく、ネットでも誰かの足を引っ張るような言説が目立つようになった。みんな何かにイラつき、余裕を失くしていた。一見、攻撃的な姿勢の裏に、人々の不安が見え隠れしているような気がした。 おそらく誰もがその理由に思い当たるのではないか。日社会が下降局面に入ったのだ。人口は減る一方だし、かつてのような経済成長もこの先望めない。言葉をかえれば、社会全体が貧しくなったのである。 書は貧困問題の最前線で奮闘する人々を描いた一冊だ。読みながら驚きの連続だった。これまで知らなかった話が次から次に出てくるのだ。貧困問題について多少は知ったつもりになっていたが浅はかだった。現状は想像をはるかに超えて壮絶だったし、困窮者を支

    『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』 どんな人も見捨てない。困窮者支援の最前線からの報告 - HONZ
  • 「他人の価値」から自分を取り戻す『当事者は嘘をつく』 - HONZ

    すごいが出た。 いきなりであるが、このの最後の文を紹介したい。 でも、その窮屈な型を破って、新しい型を生み出すサバイバーがきっと出てくる。私の語りの型は、誰かの生き延びるための道具となり、破壊され、新しい型の創造の糧になる日を待っている。(200ページ) この締めくくりの文に、このの性格が表されている。性暴力のサバイバーである著者は、さまざまなを読み、勉強し、考えることで生き延びてきた。血まみれになりながら知識を身につけてきたと言えるだろう。そして、彼女だけの創造する力を得てきた。引用のとおり、このは著者の小松原さんが得た力を、また別の人に渡すために書かれたである。 私がの中で驚いた箇所がふたつある。ひとつは、読書のしかただ。文中に、ジャック・デリダの『言葉にのって』の「赦し」に関する部分を小松原さんが読んだときのエピソードが出てくる。小松原さんは、この部分を読んだとき、耐え

    「他人の価値」から自分を取り戻す『当事者は嘘をつく』 - HONZ
  • 『言葉を失ったあとで』耳を傾け言葉を引き出す 「聞く」ことのプロの対話 - HONZ

    最高の聞き手同士が対話をするとどうなるか。書はその希有な例である。他人から話を聞くプロである2人が、「聞く」ことの実際を語り合った。 著者の1人である信田さよ子は、カウンセリングの第一人者。原宿に開業したカウンセリングセンターを訪れる人々の話に耳を傾け、依存症やDV(ドメスティックバイオレンス)、児童虐待などの問題にいち早く取り組んできた。 もう1人の著者、上間陽子は、沖縄で未成年者への聞き取り調査を続け、10代で若年出産した少女たちへの支援活動も行う研究者だ。2020年に出版したエッセイ集『海をあげる』が高く評価され、複数の賞を受賞したことは記憶に新しい。 上間にとって信田は、その仕事が臨床心理学への信頼のベースになっているほど尊敬する先達だ。実際に話をすると、信田が感心しながら話を聞いてくれるのに驚いたという。屈託なく肯定してくれるので、なんだか自分がいいことを話しているような気にな

    『言葉を失ったあとで』耳を傾け言葉を引き出す 「聞く」ことのプロの対話 - HONZ
  • 『東京ルポルタージュ』東京の「いま」がわかる31の物語 - HONZ

    今年は異常な年だった。いや、昨年に続いて、というべきかもしれない。 「あっという間に年末ですね」「なんだか1年が終わる手応えがないですよね」同じような会話を1年前も交わしていたような気がする。 2020年と2021年は、疫病とオリンピックの年として記憶されるだろう。 パンデミックと祭典は私たちに何をもたらしたか。書はコロナ禍とオリンピックに揺れた日々を、東京に生きる人々を通して描いたルポルタージュである。 とにもかくにも著者の熱量がびんびんに伝わってくる一冊だ。この歴史の特異点のような年に何が起きたのかを、余さず記録してやろうというジャーナリストの気合がみなぎっている。文字どおり著者は東京中を駆け回ってさまざまな人に話を聴いている。有名無名を問わず、また老若男女も問わず、書におさめられた31のエピソードに登場するのは、まぎれもなく私たちと同じ時代を生きる人々だ。 著者についてはネットメ

    『東京ルポルタージュ』東京の「いま」がわかる31の物語 - HONZ
  • 『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ

    差別はつねに、差別によって不利益をこうむる側の話である。差別のおかげで知らぬうちにメリットを得る側の人が、自ら立ち上がって差別を語ることはしない。ただ、よーく考えれば、差別される側になる可能性があるのであれば、差別する側になることだってあるはずということに気がつける。 「もうすっかり日人ですね」 「希望を持ってください」 この2つの声がけは一見褒めていたり、励ましていたりする言葉のように見える。だが、前者は国外から日移住した人たちに、後者は障害者に対する代表的な侮辱表現の例としてあげられる。このように日常の会話の中に、悪意のない差別が潜んでいる。 特定の言葉を口にしないよう、注意すればいい。それだけではすまない。このような言葉がなぜ侮辱することにあたるのかを理解しなければならないのだ。実はその方法はそこまで難しくない。当事者に聞いてみることだ。 著者は、移民,セクシュアル・マイノリテ

    『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ
  • 『絶望死のアメリカ 資本主義がめざすべきもの』米国が直面する悪夢 レントシーキングの罪 - HONZ

    われわれ人類の平均寿命は延び続け、死亡率は低下し続けている。それは、先進国と発展途上国の別なく起きている。当然、喜ぶべき事象だ。 しかし、近年、米国の大卒未満の白人の間には、この世界的な潮流とは逆の傾向が見られる。労働階層の白人たちの平均余命は短くなり、死亡率が上がっているのだ。1990年代末頃から、とくに45〜55歳の低学歴中年白人の死亡率は年々高くなっているという。ちなみに4年制大学を卒業した高学歴の白人には同様の傾向はまったく確認されていない。 著者らの調べから、彼らの死亡率を大幅に上げている原因が、オピオイドなど医療用薬物の過剰摂取による中毒事故、アルコール性肝疾患、そして自殺であることが判明する。これらは自らが招いた死、それも人生に絶望した者が陥る死だ。著者らはこれを「絶望死」と呼ぶ。 いま、低学歴白人が経験しているのは、労働環境の崩壊、貧困、コミュニティーの破壊、宗教の衰退だ。

    『絶望死のアメリカ 資本主義がめざすべきもの』米国が直面する悪夢 レントシーキングの罪 - HONZ
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    facebooook 2021/09/22
    “さらに悪い条件で働いており、今の境遇から抜け出すことも難しい。彼らの一定数はセルフネグレクトの状態にあるように思える。衰退するこの国であと何年持ちこたえることができるのか。”
  • 『実力も運のうち 能力主義は正義か?』今も広く容認される偏見 学歴という「功績」の横暴 - HONZ

    「運も実力のうち」という慣用句はよく聞くが、「実力も運のうち」というのはどうだろう。「実力」という言葉はフェアに聞こえるが、それが単に「生まれ」という「運」による幻想にすぎないとしたら。 そうした不都合な真実に切り込んだのが、米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授による書である。原題は“The Tyranny of Merit”、直訳すれば「能力の専制」だが、巻末の解説によれば“merit”の原義は日語の「能力」よりも「功績」に近いという。 つまり、この原題が表しているのは「功績、とくに学歴という結果によって人生が決まってしまう能力主義(メリトクラシー)という仕組みの横暴」となる。 「学歴」は、ある人がその大学に入学できたという能力の証であり、功績でもある。しかし、現実を見れば、ハーバード大学の学生の3分の2は所得で上位5分の1に当たる家庭の出身だという。にもかかわらず、彼らは自分が

    『実力も運のうち 能力主義は正義か?』今も広く容認される偏見 学歴という「功績」の横暴 - HONZ
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    facebooook 2021/06/19
    “教育水準の低い人達への偏見が、その他の偏見よりも大きかった。学歴の低い人々自身でさえこうした見方を共有し、現状を招いた責任は自分にあると考えている。能力主義の呪縛は多くの人々の自信を失わせている”
  • 『くらしのための料理学』「手を抜く」のではなく「力を抜く」 - HONZ

    毎週『おかずのクッキング』を楽しみに見ている。献立の参考になるのはもちろんなのだが、それ以上に、土井善晴さんの「家庭料理への向き合い方」や料理しながら溢れる言葉の端々に刺激を受け、料理の楽しさを知ることができるからだ。同じ思いで見ているファンは多いだろう。 家庭料理は日常生活の料理。無理せず、自然が与えてくれた恵みを信じて。余計なことはしなくても良いんだよ。手間をかければかけるほど良いということはないんだよ。手を抜くという言葉は好きじゃない、必要な手間はある。でも力は抜いていいんだよと、毎回毎回、日常のおかずを作りながら、飽かずにひたすら伝えてくれるのだから、もはや人生の癒しである。 「ひと手間」や「品数」こそが愛情の証だというプレッシャーに苦しんできた(特に多くの場合)女性たちにとって、「一汁一菜をきちんと整えればそれでいいんだよ」という土井さんの言葉は驚きだったと同時に「解放」をもたら

    『くらしのための料理学』「手を抜く」のではなく「力を抜く」 - HONZ
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    facebooook 2021/06/05
    “液体粉類卵などを「混ぜる」ことで、まったく違うものを作り出そうとします。化学であれば数値化レシピ化できます。”
  • 『令和元年のテロリズム』令和日本のいびつな自画像 - HONZ

    ひとつの犯罪が時代を象徴することがある。 令和元年(2019年)5月28日、朝7時40分頃、小田急線とJR南武線が交差する登戸駅近くで、男がスクールバスを待っていた児童や保護者らを次々と包丁で刺した。男は終始無言で凶行に及び、20メートルほど走って逃げた後、突然自らの首を掻き切り絶命した。この間わずか十数秒だった。 犯人によって小学6年生の女の子と39歳の保護者の男性が命を奪われた。また17名の児童と保護者1名が切りつけられ、このうち女児2名と保護者は重傷を負った。これが令和の幕開けに社会を震撼させた「川崎殺傷事件」(川崎市登戸通り魔事件)である。 この事件が「令和元年」を象徴しているというと驚く人がいるかもしれない。わずか2年前のことなのに事件は早くも世間の記憶から薄れつつあるようにみえるからだ。そもそもあなたはこの事件の犯人の名前を覚えているだろうか?また当時、著名人がメディアで発した

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  • 『世界を敵に回しても、命のために闘う』『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート』コロナ最前線 命を救う闘い - HONZ

    新型コロナウィルス感染症のパンデミックから1年以上が経過した。窮屈な生活にも慣れてきたが、流行初期の恐怖にかられた混乱の経験は多くの教訓と知恵を残している。 『世界を敵に回しても、命のために闘う』の副題は「ダイヤモンド・プリンセス号の真実」。大型クルーズ船内で起きた集団感染は日が最初にコロナの危機に直面した事件だった。 多くの人は神戸大教授で感染症専門医の岩田健太郎氏が「悲惨で怖い」と行った船内の映像を覚えているだろう。 だがそれは真実の一部でしかない。書では船内で最前線に当たった医療関係者や自衛隊部隊、官僚、そしてこの事態に直面した神奈川県の、医療事情に精通した顧問に取材し、船内では何が起こっていたのか、どのように終息に向かったのかという経過が記される。 彼らの思いはひとつ。「救える命は救う」。背水の陣で彼らは対処したのだ。 この事件と同時期、コロナ対策のために厚労省内に専門家による

    『世界を敵に回しても、命のために闘う』『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート』コロナ最前線 命を救う闘い - HONZ
  • 『冤罪と人類』精密な世界模型たる迷宮(ラビリンス) - HONZ

    まずは著者の紹介からはじめよう。 管賀江留郎氏は在野の研究者にして著述家である。長年、ウェブで「少年犯罪データベース」を主宰し、また2007年には、そこに集積された資料に基づいて『戦前の少年犯罪』(築地書館)を上梓した。 このに盛り込まれた内容は、少年犯罪の“増加”や“凶悪化”に心を痛め、その元凶として、現代の薄情な潮勢から時代の風俗の病理、果ては戦後日人の堕落までを論おうとする人々にとって、さだめし衝撃的であったに違いない。 「戦前」には、子の親殺し、小学生による殺人、未成年者の「動機のみえない」異常犯罪や幼女レイプが多発し、キレ易い子供の暴力も日常茶飯事だった……。 『戦前の少年犯罪』はひたぶるにありのままの事実を突き付けた。私達が忘却していただけなのである。忘れ易い私達は、例えば「戦前」の新聞を「何紙か読むだけで年に30件や40件の親殺し記事を見つけることができ」るのに、記録を共

    『冤罪と人類』精密な世界模型たる迷宮(ラビリンス) - HONZ
  • 居場所をどう見つけていくか『悲しみとともにどう生きるか』 - HONZ

    作者:柳田 邦男 ,若松 英輔 ,星野 智幸 ,東畑 開人 ,平野 啓一郎 ,島薗 進 ,入江 杏 出版社:集英社 発売日:2020-11-17 「被害にあった人は、他の人が同じような目にあわないために活動をしている人が多い」ということをよく聞く。 大変な使命を背負わされて、勇気をもってそれを果たしている人がいる。書の編著者、入江杏さんもそのひとりだ。世田谷事件の被害者遺族だ。 このは、入江杏さんが主宰する「ミシュカの森」に登壇した、柳田邦夫、若松英輔、星野智幸、東畑開人、平野啓一郎、島薗進の錚々たるメンバーの講演や寄稿を収録したものだ。「ミシュカの森」とは、さまざまな苦しみや悲しみに向き合い、犯罪や事件に関係ない人も一緒に共感しあえる場をつくり、共感と共生に満ちた社会につながっていけばと願って入江さんがつくられた会だ。 このは、読者に「いかに居場所を確保するか」を教えているに見え

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    facebooook 2021/03/06
    “つまり、マニキュアなどで指が華やかだと「遺族らしくない」ということらしい。 被害者となったら、大切な人を失った悲しみや怒りのみならず「被害者らしく」警察やメディアのいうことまで聞かなければならない”
  • 『潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景』宮城の海に潜り続けた男の濃密な半生を描く評伝 - HONZ

    その人にしか語り得ない境地というものがある。人生は十人十色だが、特殊な技能が必要で、なおかつ特異な環境に我が身を起き続けた人の軌跡はとりわけ面白い。 書は、若くして潜水の才能を発揮し、宮城の海から無数の遺体を引き上げてきた男・吉田浩文の激動の半生を綴る克明の記録である。 初めての遺体引き上げは1996年。死者は交番勤務の男性警察官で、車ごと海中に突っ込む入水自殺であった。 岸壁が関係者でごった返すなか海に潜り、遺体の青白い顔に鳥肌が立ったものの、車に手早くワイヤーをくくりつけ、的確にクレーン引き上げを指示した。祖父の代から潜水業を営み、高校は日で唯一の潜水土木を専門で教える岩手県種市高等学校に進学。29歳の若さとはいえ潜水士としては10年以上のキャリアを持つ吉田には容易い仕事だった。 機動隊や海上保安部のダイバー隊員をはるかに上回る高い技術を買われ、警察から次々と遺体引き上げ案件が舞い

    『潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景』宮城の海に潜り続けた男の濃密な半生を描く評伝 - HONZ
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    facebooook 2021/03/06
    “遺体引き上げに際して、捜索費用に難色を示す遺族が非常に多かった。年間30体の引き上げを担当し、費用がしっかり支払われたのは半数にも満たなかった。“
  • 『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ

    あんり氏は神学者で、その研究内容は必ずしも一般向けとは言えない。著作で扱っているのも、キリスト教の教義論争がメインコンテンツだ。なのに、その内容は、いつも同時代の問題意識にぴったりとシンクロしている。『反知性主義』しかり、『異端の時代』しかり。 今回の『不寛容論』も、まさにそういうだ。 日人はなんとなく、「キリスト教もイスラム教も、一神教で凝り固まっている連中って独善的だよね。それに比べて、多神教の日人はずっと寛容じゃん!」と思っている。実際、和辻哲郎、梅原猛、山折哲雄といった哲学系の日研究者でそう主張している人も少なくない。しかし、森氏は「それは違う」とはっきり述べている。 2018年に刊行された『現代日の宗教事情』というに紹介されている「世界価値観調査」によると、日は、調査対象となった6カ国(アメリカ中国、インド、ブラジル、パキスタン、日)の中で、「他宗教の人を

    『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ
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    facebooook 2021/01/27
    “その無寛容は、ひとたび相手を異物と認識するや、情け容赦ない排除を敢然と行う不寛容に転化する”。 “何らかに対して寛容であるとは「そいつが嫌いだ」ということが前提、嫌いな奴と共生するための世俗の知恵”
  • 『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ

    ミチコ・カクタニをご存じだろうか。を愛する者にとって彼女はまさに「雲の上の人」だ。1955年生まれの日系米国人2世で、ニューヨーク・タイムズ紙で34年間にわたり書評を担当した。辛口の書評で知られ、98年にはピューリッツァー賞(批評部門)も受賞している。英語圏で最も影響力のある書評家だ。 書は、彼女が2017年に会社を退職して初めて世に問うた著作である。意外なことにそれは文芸批評ではなかった。トランプ政権の誕生以後、民主主義が危機に瀕する米国社会を鋭く分析した渾身の一冊だったのだ。 トランプ大統領の登場をきっかけに世界は明らかに変わった。フェイクニュースやプロパガンダがはびこり、真実を追究する姿勢はないがしろにされるようになった。ヘイトスピーチが主流化し、人々は異なる政治的立場を超えて対話する術を見失ってしまった。なぜこのような事態が引き起こされたのか。なぜ真実や理性は絶滅危惧種となって

    『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ
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    facebooook 2020/08/24
    ミチコ・カクタニ