中世の近畿地方史を記録したとする「椿井文書」が「偽書」だったということが話題になっている。BOOKウォッチでも『椿井文書――日本最大級の偽文書』(中公新書)を紹介したばかりだ。 本書『偽書が描いた日本の超古代史』 (KAWADE夢文庫)は、「古代史」や「神代」に関する壮大な文書を取り上げている。いずれも近年に創作されたと見られている「偽書」だ。 17の「偽書」が登場 『竹内文書』『九鬼文書』『上記』『物部文書』『東日流外三郡誌』『秀真伝』『富士宮下文書』など17の「偽書」が登場する。今も関係者の一部に「古伝」として支持されているものもある。荒唐無稽なものが目立つが、かなりの信憑性を持ってメディアに取り上げられたものもある。なぜ偽書が作られ、多くの人々に信じられたのか。 日本には『日本書紀』や『古事記』があるが、5世紀以前にさかのぼっていくと、史実性がきわめてあいまいと言われている。中国の『