團藤 日本の法学はヨーロッパの制度を基に、明治以後に作ったものです。そこで、前回も出た「法的安定性Rechtssicherheit」みたいに、本当は時代の変化の中で動いてゆくものを杓子定規に考えると、おかしなことになるわけね。 ―― そういう、いわば日本的な誤解を考えてみたいんです。どうも日本人はよそ行きでない本音の部分で、非常に堅苦しい、奉行所もかくや、という「お裁き」の意識を持ち続けているような気がします。あえて言うなら「朱子学」的な権威主義というか、事大主義というか。テレビでも「水戸黄門」みたいな時代劇が相変わらず好まれます。先例墨守の権威主義で法を空文化するのが得意ですし・・・。 團藤 生きていなきゃだめですね、生きていなきゃね。 ―― 生きた内容の解釈で、罪刑法定主義も法的安定性も一貫していくのが、非常に重要だと思うんですが。 團藤 そうですよ。 ―― この「日本的誤解」を考える