瀬戸内寂聴さん(撮影/写真部・東川哲也) 11月9日、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが99歳で死去した。ゆかりのある作家の佐藤愛子さんが思いを寄せた。 【写真】これは貴重!剃髪前の若かりしころの瀬戸内さんの一枚 * * * 佐藤愛子さん(撮影・工藤隆太郎) 私と瀬戸内さんとはそう親しい友達というわけではない。年に一度くらい、対談などの仕事がらみに会うことがあることもあれば、二、三年も顔を合せないほどの間柄です。瀬戸内さんは早くから女流文学賞などを受賞したりして、女流作家としての華やかなスタートを切っている人に私には見えていました。 私の方といえば、文芸首都という貧乏同人誌の同人として細々と小説を書いて掲載してもらうような、その合間に自信作を文藝春秋や新潮社、中央公論社などへ厚かましく持っていってはあっさり断られるという日をくり返していたのです。 それでもやっとこさ私は直木賞を貰って文壇のパ