ブルジョア社会の観察や批判にかけては実に鋭利な切れ味を示す共産主義者にして、事、己れの陣営のこととなると子供のような大甘な評価しか発揮できず、敵めあての見え透いた宣伝でさえそれを額面通りに受け取って少しも怪しまない人々を案外多く見かけるが、このメンタリティーは私に言わせると現代七不思議の1つなのである。 (林達夫『共産主義的人間』(平凡社):「林達夫著作集5 政治のフォークロア」、pp. 280-281) 今でもこのような傾向は左寄りの人たちによくあることではないだろうか。 10年ほど前であるが、民主党の政治大学に蓮舫女史が講師として招かれた際、身内の人間に対して「猫なで声」で話すのを聴いて非常に違和感を覚えたことがある。その後、民主党が政権の座につき、蓮舫女史は事業仕分けで舌鋒鋭く切り込んだことは記憶に新しい。私はこのギャップの大きさに今でも唖然とするのである。 私はかつてだれかからソヴ