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bookとmedicalに関するkeloinwellのブックマーク (33)

  • 死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』

    面会にやってきた母親を、息子はハグしようとする。母親は身をすくませるため、息子はハグを諦めて、少し離れる。すると母親は悲しげに言う「もうお母さんのことを愛してくれなくなったの?」 母親が帰った後、息子は暴れ出したので、保護室へ収容される。 グレゴリー・ベイトソンは、統合失調症の息子ではなく、母親の言動に注目する。息子のことを愛していると言う一方で、息子からの愛情を身振りで拒絶する。さらに、息子からの愛が無いとして非難する。 息子は混乱するだろう。ハグしようとする愛情表現を拒絶するばかりでなく、そもそもハグそのものが「無かったこと」として扱われる。にも関わらず、息子のことを愛していると述べる……そんな母親に近づけばよいのか、離れればよいのか、分からなくなる。 矛盾するメッセージに挟まれる ベイトソンは、この状況をダブルバインドと名づける。会話による言葉のメッセージと、身振りやしぐさ、声の調子

    死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』
  • mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書

    mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来 作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon政府によると、日の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、書『mRNAワクチンの衝撃』はそうしたワクチンの中でもビオンテック・ファイザー社によるワクチンがどのように開発され、世界に行き渡ったのかを描き出す迫真のドキュメントだ。 まだワクチンが出回り始めて十分な期間があるわけでもなく、これほどの速度で刊行される(原書も刊行されたばかり)は中身が速度の犠牲になっていることも多いので読み始めはそこまで期待していたわけではなかったのだが、書はまるで何年も準備をしてきたかのように中身が詰まっている。面白すぎて一気読みしてしまった。 ビオンテックはまだ多くの人が新型コロナウイルスの危険性を認識し

    mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書
  • Amazon.com: The Plant Paradox: The Hidden Dangers in "Healthy" Foods That Cause Disease and Weight Gain (The Plant Paradox, 1): Gundry MD, Dr. Steven R: Books

  • もっとも未熟な科学『不確かな医学』

    『病の皇帝「がん」に挑む』のシッダールタ・ムカジーが、現代医療に潜むバイアスを明らかにし、これからのモデルを提案する。 コアとなっているのはTEDのこの講演だ。ピル(薬)ではなくセル(細胞)による治療を謳っている。抗生物質に代表される、体の外で作成された「薬」で病(の原因)を殺すモデルが、現代の医学で支配的となり、一種の歪みをもたらしていることを示す。その一方で、体内で生成された「細胞」を育てることで免疫系を快復するパーソナル医療モデルを提案する。 書ではムカジー自身の医師としての遍歴を振り返つつ、現代の医療にとって重要な「医学の法則」を明らかにする。臨床医学がどこまで科学なのかという疑問に対する、一つの答えとなっている。 著者は言う、科学技術の革新による恩恵を、医学は最も受けてきた。医療処置そのものが病態生理学という原理に基づく科学だともいえるだろう。しかし、同時に先進医療が生み出すお

    もっとも未熟な科学『不確かな医学』
  • 『生態学と化学物質とリスク評価』 - NATROMのブログ

    ■生態学と化学物質とリスク評価 (共立スマートセレクション) 加茂 将史 (著) 生態学と生態リスク評価はだいぶ違うものらしい。書は基的にはリスク評価、とくに生態リスク評価の方法の解説であるが、ちょいちょい挟まれる著者の経験が興味深い。著者の加茂将史さんは生態学が専門で理学出身だ。一方で、リスク評価は工学的な考え方をするそうである。 リスク評価は工学の世界で誕生しました.理学者は「飛行機がなぜ飛ぶのか」を知ろうとします.工学者は「どうすればちゃんと飛ぶ飛行機を作ることができるか」を考えます.「なぜ飛ぶのか」といった原理はさておいて,とにかく安全に行って帰ってくる飛行機を作ることが最大の目的なのです.化学物質の影響なんて,細かく詰めていけばわからないことだらけです.わからないことはわからないというべきであって,わからないから研究を行うのである.何か主張したければまず証拠を示せ,というのが

    『生態学と化学物質とリスク評価』 - NATROMのブログ
  • [書評] 自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実(スティーブ・シルバーマン): 極東ブログ

    かつての漫画家というべきなのかためらうが、私がよく馴染み、また難病を抱え込んでいるという点でも共感をもってきた漫画家さかもと未明さんが、もう数年前になるが、精神科医から発達障害だと診断され、『まさか発達障害だったなんて』(参照)や『奥さまは発達障害』(参照)という書籍で、いわばカミングアウトに近い形でそうした障害を抱えた自分を受け止めて表現しているのを知り、率直、その点、よかったねさかもとさんという思いと、他方、もにょんとした思いもあった。 まず、難病というのは経験者の側になるととんでもない弱者として世界に置かれたようないいようのない不安に陥る。この感覚はできるだけ自著にも書いたが難しいものだった(自著への揶揄を受けるたびに書かないほうがよかったかとも悔やんだ)。そして一人ではもう生きられないという弱者自覚は、もう自分は他者からの慈愛を請うしかないのだ、もう一人孤独に悪ぶっては生きられない

    [書評] 自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実(スティーブ・シルバーマン): 極東ブログ
    keloinwell
    keloinwell 2017/06/22
    これは読んでみたい
  • 「健康の不在」から健康を考える3冊

    失って初めて分かるもの、それは健康。 風邪で苦しんでるとき、ひどい二日酔いのとき、健康のありがたみが身に沁る。そして、「もっと自分の身体を大事にしよう」と決意するのだが、喉もと過ぎればなんとやら、決意が続いた例なし。普段はあたりまえのように享受しているが、いずれ「あたりまえ」ではなくなるのに。 また、「健康」は最重要なものであり、これに反したり外れたりするものはノーマルではない、という考えがある。確かに健康であることは大切だが、それを強要するのは違う気がする。「健康のためなら死んでもいい」というスローガンや、「健常者」という言葉に違和感を覚える。 今回は、この手垢にまみれた「健康」に、疑いの目を向けてみよう。ずばり健康をテーマにしたは沢山あるが、ここでは、「健康の不在」をテーマに健康をあぶりだしてみよう。 まず直球から。トルストイ『イワン・イリイチの死』を読めば、思わずわが身を抱きしめた

    「健康の不在」から健康を考える3冊
  • 死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書

    なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる 作者: ジョナサン・シルバータウン,寺町朋子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/01/27メディア: 単行この商品を含むブログを見る僕はわりと死にたくないが、なぜ死にたくないのかといえばそれはやっぱりよくわからないものだからではないだろうか。『すべてがFになる』の中で、『死を恐れている人はいません。死にいたる生を恐れているのよ。苦しまないで死ねるのなら、誰も死を恐れないでしょう?』というセリフがある。苦しまなくても「消滅」の恐怖は残るのではないかと思うが、やはり死ぬときにあるであろう苦しみは怖いし、できれば味わいたくはない。それはいったいどれぐらい苦しいものなんだろうか。 書は、生物がなぜ死を生み出したのか、なぜ老化するのか、どのようにして死んでいくのかをさまざまなアプローチから描きだす一冊だ。なぜ死ぬのかを詳しく知ったと

    死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書
  • 読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - 基本読書

    眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密 作者: ペネロペ・ルイス,西田美緒子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2015/11/20メディア: 単行この商品を含むブログを見る多くの人間は一日に6〜8時間ほどの睡眠をとる。そうなると、ごくごく単純に計算して人生の4分の1から3分の1を睡眠に費やしていることになる。それなのに睡眠のことはあまり意識されない。あって当たり前、時にはちょっとぐらいすっとばしても構わないものだと思われている。 しかし、かつて安眠が今ほど保証されていない時代のことを考えれば、6〜8時間も睡眠をとるのはとてつもなく危険だったはずだ。その上、睡眠は人間だけではなく、動物界に広く行き渡った機能である。多くの動物がわざわざ多大な危険をおかしてまで行っているのだから、当然そこには「睡眠が生命を維持するに必要不可欠な理由」があるに違いない。そう

    読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - 基本読書
  • THE GHOST IN MY BRAIN──『脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-』 - 基本読書

    脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記- 作者: クラーク・エリオット,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2015/09/25メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書名にあるように、元々IQの高い人工知能研究者であるクラーク・エリオットが交通事故によって脳震盪を起こし脳機能にダメージを受け、「自分が人間だとは信じられない」状態にまで陥ったのち、そこから回復していく過程を辿った一冊である。 書の半分近くは、その脳震盪が起こってからの生活がどのようなもので、彼がそれにどのように対処してきたのかが語られるが、これが「脳震盪つっても、プロスポーツ選手がよくぶつかったりしてなるあれでしょ?」というレベルとは想像もつかないツラさだ。ドアを通り抜ける、階段を降りる、そんな簡単なことが難しくなる。時間感覚がなくなり、自分が人間ではないという奇妙な感覚にとらわれ、マルチタ

    THE GHOST IN MY BRAIN──『脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-』 - 基本読書
  • 本の紹介 - 食品安全情報blog過去記事

    品を科学する―意外と知らない品の安全 作者: 品の安全を守る賢人会議出版社/メーカー: 大成出版社発売日: 2015/05/23メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る品安全委員会から 基これまで品安全委員会が評価してきたことの説明になっています。になっていると読みやすいし理解しやすいでしょう。このに含まれる情報そのものは、コンパクトにまとまってはいませんが「無料で」品安全委員会のウェブサイトから入手できます。でもそれを活用できる一般の人はそんなにいないです。記者ですら、ちゃんと品安全委員会が情報提供しているのに、ろくに見ないで誤報を流しまくるのですから。 私にとっての読みどころは事務局長の「はじめに」だったりします。 「この賢人たちのお話を読むと目からうろこが落ちることはもとより、日ごろ当たり前だと思っていた常識、有機・健康品のキャッチフレーズがいか

    本の紹介 - 食品安全情報blog過去記事
  • 医学は科学じゃないんだよ『医学と仮説』

    おもしろい。ツッコミどころはあるが、究極原因にこだわる科学と、因果と相関に注目する医学の違いか。 タバコと肺がん、O-157や水俣病の事例を元に、医学的根拠とな何かを考えさせる一冊。同時に、パンデミックSFによくある、「パニックを避けるという口実で、責任のがれのため公表を伏せる政府」の構造的欠陥が放置されていることも、よく分かる。フィクションではない、かつて起きたことで、これからも大いにありうる未来が見える。 著者が攻撃するのは、要素還元主義だ。いわゆる、「分ければ分かる」というやつ。原因物質を究明し、人体へ影響するメカニズムが解明できる/すべしという立場に、真っ向から勝負する。そして、要素還元主義はしばしば、科学の名において悪用されていると説く。 たとえば、タバコと肺がんの関係。因果関係についてはアメリカ政府の報告書"Smoking and Health (1964)"で証明されているに

    医学は科学じゃないんだよ『医学と仮説』
  • おもろすぎっ!!『本当にあった医学論文』 - HONZ

    学会の書籍売り場で愕然とした。私としたことが完全に見落としていた。HONZの医学担当(そんなのないけど)として失格である。こんなおもろいがあったんや。それも、昨年11月発売以来、3ヶ月で三刷りと、専門書にしては爆発的な売れ行きだ。 発刊から半年なので、HONZで紹介するには時間がたちすぎているしなぁ、と思ってふと横を見ると、『前作「当にあった医学論文」大好評につき、早くも「2」の刊行を呈した1例』と、医学関係の学会でよくある症例報告のタイトルみたいな帯をつけたが。ということで、二冊まとめて紹介いたします。 タイトルの通り、医学専門誌に掲載された論文が、79編+75編、二冊あわせて154編も紹介されている。いやまぁ、ほんまによくこれだけ集めたものである。どれも、おもろい。紹介されている論文は、おおきく二通りに分類される。ひとつは、なんでそんなことを調べたくなったんやという研究。もうひと

    おもろすぎっ!!『本当にあった医学論文』 - HONZ
  • 日本は死因究明における後進国だ/『死体は今日も泣いている』著者・岩瀬博太郎氏インタビュー - SYNODOS

    では「死因のウソ」がまかり通っている!?ずさんな死因究明制度が引き起こす、知られざる社会問題とは。話題の『死体は今日も泣いている』著者・法医学者の岩瀬博太郎氏にお話を伺った。(聞き手・構成/山菜々子) ――書を読んで、とても驚きました。現代の日に生きていたら、異状死した場合、解剖されて死因を調べてくれるものだと思い込んでいたので。 皆さんそう思っているようですが、日で解剖され死因が調べられることはまれです。外国では異状死の解剖率が9割近い国もありますが、日は約1割です。 ――非常に少ないですね。異状死した場合、どうやって死因が決められるんですか。 大抵の先進国では、死因が分からない場合、解剖して死因を特定しなければ犯罪性があるか判断できないので、司法解剖を実施します。ですが、日は特殊で、解剖する前の段階、つまり警察による検視の段階で、犯罪性の有無を判断してしまい、犯罪性の

    日本は死因究明における後進国だ/『死体は今日も泣いている』著者・岩瀬博太郎氏インタビュー - SYNODOS
  • "証言の寄せ集めはデータではなく、エビデンスでもありません。そういった個々の話に惑わされずに、データを用いてきちんと全体像を見るようにしてください。"

    でジャーナリストの堤未果氏の「沈みゆく大国アメリカ」が売れているという話を聞き、を読ませて頂きました。エッセイとして読む分には非常に読みやすくて、ストーリーも面白かったのですが、内容に関しては事実誤認が多く、ミスリーディング(Misleading = 人を惑わす、誤らせるもの)な記載が多いと感じました。オバマケア(アメリカのオバマ大統領が2010年に導入したアメリカの医療改革制度)のことを日の人達が誤って理解してしまわないようにという願いも込め、私のこのを読んで感じた3つの問題点をご説明させて頂きます。 問題点①:オバマケアに関する数多くの事実誤認もしくは歪曲 一つ目は、オバマケアおよびアメリカの医療制度に関する数多くの事実誤認です。著者のリサーチが不十分であったのか、(オバマケアは悪者であるという)まず結論ありきのストーリーラインに合わせるために意図的に事実が歪曲されているのか

    "証言の寄せ集めはデータではなく、エビデンスでもありません。そういった個々の話に惑わされずに、データを用いてきちんと全体像を見るようにしてください。"
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『美味しんぼ』における山岡士郎が残した功績を考える (其の二) 2018年09月30日 『この記事を書いたのは誰だーーー!!』 どうもみなさんこんにちは。苦し紛れで書いた『美味しんぼ』レビューがなぜか、マンガ新聞の週間レビューランキングに入っていて驚いています。 しかしながら「なら、...

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  • 「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」

    HIVは無害でエイズの原因ではなく、治療に用いる抗レトロウィルス薬こそがエイズの原因で、政府、製薬会社、科学者がその有害な薬を売るためにエイズという伝染病を作りだした――そんな、科学的根拠が全くなく、完全に否定されているはずの説が世界中に広がりつつある。その、疑似科学と陰謀論とが融合した「HIV/エイズ否認主義」はなぜ広まっているのか、その発生要因と影響の分析、主要論者の紹介、そして彼らの説に対する科学の側からの反論をまとめた一冊である。 HIV/エイズ否認主義HIV/エイズ否認主義の主張の主な特徴は書によると以下の通りだ。(P17) ・自分たちだけが「HIVは無害なウィルスで病気の原因とはなりえず、抗HIV薬は毒物で、エイズを引きおこすDNAのターミネーターに他ならない」という真実を知っていると考えている。 ・「巨大製薬産業と医学界が国立衛生研究所と生物医科学全般を堕落させてきた。」と

    「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」
    keloinwell
    keloinwell 2014/04/23
    HIV/エイズ否認主義についての本。
  • [書評]病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘(シッダールタ・ムカジー ): 極東ブログ

    1981年まで日人の死因の一位だった脳卒中は癌にその座を譲った。現在日人の三人に一人は、癌で死ぬ。脳卒中が比較的減ったのは、それを予防する医療体制や、たんぱく質摂取を容易にする栄養状況の改善などが理由だろうが、むしろ癌が増えた理由のほうが大きい。高齢化である。癌は高齢者の病気だとは言えないし、種という視点から見れば老化の一種だとも言えないが、高齢者が増えれば、癌に罹患する人は統計的には増える。私たちが長生きをするにつれ、癌で命を閉じる人は多くなる。人々の人生の最後の主要な関心のひとつは癌となる。 ならば私たちは自分の人生と死を知るためにも、より癌について知っておくべきだろうとも言える。だが、その最適な書籍は何か、と問われると困惑したものだった。もちろん、癌についてはいろいろな書籍に書かれてきた。ネットにも情報はあふれている。なのに、患者の視点を配慮し、今後社会がどう癌と取り組むかという

  • 「疫病と世界史」はスゴ本

    感染症から世界史を説きなおしたスゴ。 目に見えるものから過去を再現するのはたやすい。事実、書簡や道具から過去を再構成することが歴史家の仕事だった。が、この一冊でひっくり返った。「目に見えなかったが確かに存在していたもの」こそが、人類史を条件付けていたことが、この一冊で明らかになった。 著者はウィリアム・マクニール、名著「世界史」で有名だが、書では、感染症という観点から世界史を照らす。欠けている部分は推理と計算を駆使し、見てきたかのような想像力を見せつける。それは、面白いだけでなく、状況証拠を示すことで強力な説得力を併せ持つ。 書の結論はこうだ。 人類の出現以前から存在した感染症は、人類と同じだけ生き続けるに違いない。人類の歴史の基的なパラメーターであり、決定要因であり続ける。 書は、宿主である人と病原菌の間の移り変わる均衡に生じた顕著な出来事を探っていく。帝国や文明の勃興・衰亡レ

    「疫病と世界史」はスゴ本
    keloinwell
    keloinwell 2011/12/19
    タイトルだけ見て、「ジャレド・ダイアモンドとマクニール?」と思ったんだけど、ブログ記事を読んだらなんかまさにそんな感じの内容みたいだ。