彼がひょろいというわけではないけれど、彼がひょろく見えてしまうほど、その男はいかつかった。 ――金原ひとみ(2006)『オートフィクション』集英社 p.104 日々複数の辞書を引いていると、自然と「このことばなら、この辞書に載っていそうだ」とか、「この辞書には、このことばは載っていないだろうな」という感覚が身に付いてきます。 今回の「ひょろい」ということばであれば、『大辞林』に新語を増補したデジタル版である「スーパー大辞林3.0」にはまず載っているだろうな、というのが私の感覚でした。もしかすると、「デジタル大辞泉」や『三省堂国語辞典』にも載っているかもしれないとも思いました。 ところが、蓋を――もとい辞書を開けてみると、どれにも載っていないではありませんか! ここまで予想を外すことはあまりありません。当然というべきか、それ以外の辞書にもまったく見当たりません。「ひょろい」は、正真正銘の「辞