がんが死なない病気になりつつある中、今後、飛躍が期待される医療分野が精神疾患だ。脳の血流動態が分かるfMRI(機能的核磁気共鳴装置)など、脳を可視化する検査装置が相次ぎ登場、新たな知見が続々発表されている。 注目は脳内免疫細胞としての働きを担うミクログリア細胞の過剰活性と精神疾患との関係を示した「ミクログリア仮説」だ。ストレスなどでミクログリアが過剰活性化されると、正常な神経組織まで障害し、うつ病、統合失調症、ひいては認知症などを招くという。佐賀大学医学部精神医学講座の門司晃教授が言う。 「これまで、うつ病などの精神疾患はノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどによる神経伝達機能異常が関係するといわれてきました。しかし、機能異常を薬などで調整しても、期待通り症状は改善しない。そこで注目されたのがミクログリアだったのです」 ミクログリアは、脳や脊髄などの中枢神経に分布し、脳全体の10%前
京大などの研究グループがサイコパスが「うそをつく」メカニズムを調査。サイコパス傾向が高い人ほどうそをつくかどうかの意思決定が速く「半ば自動的にうそをついてしまう」ことが分かった。 京大、ハーバード大学(米国)、ニューメキシコ大学(米国)などの研究グループは7月19日、サイコパス傾向が高い人ほど「ためらいなくうそをつく」傾向があり、脳の前部帯状回という心の葛藤に関わる部分の活動が低いと発表した。米国の刑務所に収監中の囚人を対象にMRI装置を用いた実験を行った。 通常サイコパスは全体の1%程度しかいないとされているが、刑務所に収監されている囚人の15〜25%はサイコパスという報告がある。研究グループはニューメキシコ州の刑務所の男性囚人67人を対象に実験を実施。コイントスを使った課題を出し、機能的磁気共鳴画像法(fMRI:functional magnetic resonance imaging
2つの研究により、知能と神経症傾向に関連する遺伝的座位が新たに数百か所も同定され、認知機能の理解が大いに深まった。 Danielle Posthumaたちの研究グループは、25万人以上についての遺伝的データと知能の測定値を解析した。その結果、ゲノム上の知能に関連する207の座位(うち190が新規)、および知能に関連する特異的な1016の遺伝子(うち939が新規)が見つかった。Posthumaたちは、今回の解析結果に基づいて、知能が高い場合にアルツハイマー病とADHDに対する防御効果が認められるという考えを示している。また、Posthumaたちは、神経系の発達とシナプス構造に関連する遺伝的経路も同定した。 Posthumaたちは、もう1つの研究で、うつ病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べた。この研究では、約50万人について解析が行われ、神経症傾向に関連する500以上の
学生時代、京都鴨川の飛び石の上で、3日間座っていたことがある(おにぎりとお茶を持ち込み、トイレの時は離れる) 初日は川下を向いて水の流れを眺めていた 身体の中の悪いものが洗い出されていくような感覚に まるで過去を眺めているようだ 二日目は川上を向いて 今度は自然界のエネルギーが身体の中に入ってくるような感覚に まるで未来を眺めているようだ 三日目は川岸方向を向いて ずっと横に流れ続ける景色を眺めているとめまいがしてくる まるで現実を眺めているようだ ふと、子犬が飛び石をぴょんぴょん撥ねて川を渡っていく姿をみて 見るべきは過去でも未来でもなく、現実方向に行動を起こすことと気づく そして、私は再び歩き始めた 今思えば、川の流れを見続けたことによる心理効果は、いわゆる「ベクション刺激」による心理効果である。 Milesら(2010)の報告によると、収束ドット刺激(ベクション効果(視覚誘導性自己運
九州大学らの研究グループは、ひきこもり傾向に関連する血中バイオマーカーを発見したことを発表した。 ひきこもりとは、就学・就労などの社会参加を回避し、半年以上に渡り家庭に留まり続けている状況を指す。ひきこもり者は15歳から39歳に限っても50万人を越えており、少子高齢化を迎えている日本においてその打開は国家的急務となっている。 同グループはこれまでの研究で、ひきこもり者の多くが精神疾患(特に回避性パーソナリティ障害)を併存していることを見出した。近年、多くの精神疾患でその生物学的基盤が明らかになりつつあり、ひきこもりに関しても生物学的影響が示唆されている。そこで今回、ひきこもりに関連する生物学的基盤を探索するために、ひきこもり者と非ひきこもり者の血中物質の比較および対人関係における行動特性との相関分析を行った。 その結果、男性のひきこもり者は健常者と比べて尿酸値が有意に低く、HDLコレステロ
by Nine Köpfer 呼吸は基本的に脳幹によって自動的に制御され心拍や眠りに影響を与えますが、人間は意識的に呼吸を変えることが可能です。「自発的に呼吸のペースを変える」という能力を持たない動物も多い中で、なぜ人間が意志で呼吸を変えられるのかは2017年時点では不明のまま。人間の呼吸法と脳の関わりについてはこれまでも研究が進められてきましたが、新たに行われた研究では、脳スキャンではなく「脳に直接的にアクセスして変化を観察する」という方法が取られました。 ARTICLES | Journal of Neurophysiology http://jn.physiology.org/content/early/2017/09/22/jn.00551.2017 Neuroscientists have identified how exactly a deep breath changes
新潟大学の杉山清佳准教授らは、子どもの時に訪れる脳の発達の仕組みの一部を解明した。軟骨の成分で脳内にも含まれる少量の「コンドロイチン硫酸」が強く関与していることを突き止めた。精神疾患の治療にも役立つ可能性がある。子どもは大人と比べてスポーツや音楽、言語などを習得するのが早い。小学生の時期を中心に、様々な経験に基づき脳の神経細胞が活発に動いて発達する脳の「成長期」があると知られている。研究チー
歩く速さは、健康の目印の一つです。これまでのさまざまな研究で、歩くのが遅い人は、うつ症状、身体機能や認知機能の低下、そして死亡の将来的なリスクが高いことが示されています。それではなぜ、歩く速さは人それぞれ違うのでしょうか? 実は、私たちの性格が、歩く速さに関与するようです。仏モンペリエ大学と米フロリダ州立大学の研究者らは、性格がどのように歩く速さに影響するかを調査し、2017年8月28日の「社会心理学と人格の科学(SPPS)」誌に報告しました。今回はこの報告を基に、個人の性格が歩く速さにどう影響するかを考えます。 参考URL:http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1948550617725152
要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター分子精神科学研究チームの吉川武男チームリーダー、前川素子研究員らの共同研究グループ※は、マウスを用いた研究により、脳発達期の脂肪酸[1]の摂取不良が統合失調症発症リスクに関与する可能性があることを示しました。 統合失調症は、幻覚、妄想、認知機能異常など、さまざまな症状が現れる精神疾患です。その生涯罹患率は人口の約1%と高く注1,2)、一旦発症すると、完全な回復は困難であることが少なくないため、より効果的な治療法や予防法の開発が望まれています。統合失調症は主に思春期以降に発症しますが、発症しやすさには遺伝要因に加えて環境要因が関わることが知られています。オランダと中国における独立した二つの大飢饉の期間に妊娠期を迎えた母親から生まれた子どもは、将来の統合失調症発症率が約2倍なったという疫学的知見注3,4)をもとに、「妊娠期の一時的な栄養不良」が環
【7月28日 AFP】糖分は歯やおなか回りに良くないだけでなく、心の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるとの研究結果が27日、発表された。だが別の専門家からは、この主張を疑問視する声も上がっている。 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の研究チームは、英国で実施された長期調査の被験者8000人以上が自己申告した糖分摂取量を、被験者の心理状態と照らし合わせた。 調査では、公務員を被験者として1985年から1988年まで経過観察を行った後、数年ごとに質問票への記入を求めた。 研究チームはこのデータを用いて、糖分摂取量と、不安神経症やうつ病などの「頻度の高い精神障害(CMD)」との関連性を調査。その結果、甘い食べ物や飲み物の摂取量が多い男性ほど5年後にCMDを発症する「確率が高くなる」ことや、男女ともに精神衛生への全般的な「悪影響」が認められることが分かった。 英科学誌ネイチャー(N
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