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ブックマーク / yashio.hatenablog.com (11)

  • 差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお

    小説を商業出版することになり、これまで自分で書いて見直すだけだったのが、編集者・校正者による校正・校閲のプロセスを初めて体験した。その過程で差別語・差別表現に関しての指摘を受けて、改めて自分の中での判断について少し整理しておきたいと思った。 ある言葉が持つニュートラル、ネガティブ、ポジティブの三相を同時に見ないと、「その言葉をここで使うのが適切か」は判断ができないけれど、三相のうち一面しか見なかったり知らなかったりすると正確に判断ができなかったり、話が噛み合わなくなったりする。 指摘を受けた点1 「発狂」や「狂人」に指摘が入った。 江戸時代に実在したという届出「発狂扱ひ」に言及した箇所に指摘が入った時はどうしようかとも考えて、「精神状態の異常による行動という届け出」と言い換えた。 明治時代に精神障害者が「狂病者」と呼称され、「狂」に否定的・差別的な意味あいが付与されてきた。1970年代に「

    差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお
  • 「わざわざカミングアウト」と言えて他愛ない人達よ - やしお

    「AAAの與真司郎氏がゲイであることを告白した」ニュースにまつわるあれこれと、個人的なこととかのメモ。 【全文】「AAA」與真司郎さん、ゲイだと公表「自分を愛することが一番」ファンに向けた言葉:東京新聞 TOKYO Web 「わざわざ」カミングアウト Twitter(X)の右派アカウントが「いつも思うんだが、個人的な話だから黙ってればいいのに何でわざわざカミングアウトするかね。」とこのニュースに対して投稿して、1万以上のいいねを集めていた。 これって、「『自分は異性愛者だ』とは『わざわざ』言わないのに変だよね」という、いにしえからある言われ方だけど、どうして「わざわざ」言う必要が(異性愛者とは違って)生じる状況になるのか、という問いを無視しないと言えない話で、あまりに無邪気過ぎるか、ずるいかどっちかだなといつも思う。 リプ欄で「落ち目だから話題作りのためにしているだけ」とか、「ビッグウェー

    「わざわざカミングアウト」と言えて他愛ない人達よ - やしお
  • ゼルダとジムとやりがい搾取 - やしお

    ここ最近、テレビゲーム「ゼルダの伝説」の新作「ティアーズ オブ ザ キングダム」(TotK)をずっと遊んでいる。当に楽しい。前作「ブレス オブ ザ ワイルド」(BotW)も当に楽しくて、ずっと新作を心待ちにしていた。これだけ大勢の人から大きな期待を集めて、その期待を越えたものをメーカーが出せるのは心底すごいと思う。 それはそれとして、遊んでるとなんか仕事っぽいなという気持ちに時々なる。 仕事っぽさ タスクがどんどん発生する、それをやり方考えてこなしていく、それで忙しい。やることが多い。 この感覚が、やってると「仕事っぽい」という気持ちになる。 前作BotWも同様だけど、今作TotKはやること、やれること、やりたいことがさらに増えていて(アクションの種類がさらに多く、フィールドがさらに広いので)ますますその気持ちになる。 アクションの種類が増えたことで、操作に難儀することが時々ある。(ウ

    ゼルダとジムとやりがい搾取 - やしお
    kirakking
    kirakking 2023/05/31
    工場系シムを遊んでる人達がやってることって建築計画だったり生産管理だったり完全に仕事だよなーと思ってたのでこの分析は面白かった。/逆にゲームライターなんかは違う意味で仕事として遊ぶなと。
  • CoCo壱番屋と共に生きる - やしお

    カレーハウスCoCo壱番屋(以下ココイチ)は、定期的に「美味しくない割に高い」と話題になる。そのたびに哀しい。ほとんど腹を立てているくらいの気持ちになっている。ココイチに対して私は冷静な評価はできない。 そうした気持ちがどこから来るのかを一度整理して片付けておく。 「自分のもの」という感覚 家庭料理や自国料理をよその人に貶される感覚に近い。自分で文句を言うのはいい、だが他人に言われるのは許せない、というような感覚。 よく「まずい料理代表」とネタ扱いされるイギリス料理も、最近はその揶揄が「ダサい」と否定されてきている気がする。 世界に先駆けて産業革命に突入したことで文化を不可逆的に破壊されたイギリスを、後追いで産業革命を短期に圧縮できたことで文化を維持できた日が、嘲笑できる立場にあるのだろうかという疑いもある。 そんな切実な背景がココイチにはないとしても、尊重されれば嬉しい。私は美味し

    CoCo壱番屋と共に生きる - やしお
  • 反社カルトが国政に食い込む構造 - やしお

    政治構造への従来の認識と、最近の統一教会関連の報道を合わせると、だいたいこんな感じだろうかと現時点で思うところのメモ。 ゲームのルール 国政は数のゲーム。多数決による。 多数決は「採決の前に議論が尽くされ(修正が施され)、十分な情報が採決者にインプットされていること」が前提・理念で、来はただの「数のゲーム」ではないが、多数派が理念を無視することで無化される。 無化する理屈として「多数決で選ばれた=全員が賛成」というすり替えが多い(与党だから国民の意思そのもの、というような) 多数決で勝つための数(議員数)を増やせる人物/集団(政治家/派閥)が力を持つ。 議員の数を増やすには、選挙で票を集める必要がある。 選挙の票には組織票と浮動票が(仮に分類すると)ある。 世間の感心が低く投票率が低い時、組織票の相対的な割合が高まる。 組織票の「当落の正確なカウントができる」「組織票の倍が彼我の差になる

    反社カルトが国政に食い込む構造 - やしお
  • 自分自身をニュースサイトにしない - やしお

    SNSでもブログでも、時事的な事柄・ホットな話題への反射的な言及が自分自身では減ったと感じている。気を付けてそうしているというより、そうすると自分が嫌になる・苦しくなる、という心理的なハードルが上がって勝手にやらなくなってきている。 この「気分」は個人的なものだけでなく、全体の風潮の影響も受けていて、一定の一般性があり得るかもしれない。現時点で「どういう気持ちがあるのか」を書き残すといいかもと思ってメモ。 炎上加担の功罪 「ホットな話題への言及」には利点/欠点の両面がある。 「不正義・不条理で苦しめられた」などの案件が、炎上で是正されるケースもよくある。 企業・行政vs個人で、昔なら個人が一方的に不利益を押し付けられて終わりのケースで、個人が救われたりする。 一方で「実は不正義じゃなかった」案件の炎上に参加して、意図せず加害行為に加担してしまうケースもあり得る。 例えば、草津町議が町長から

    自分自身をニュースサイトにしない - やしお
  • 逮捕にそなえる人生継続計画 - やしお

    実際に逮捕・起訴された人の事例をいろいろ読んでみると、普通に生活・仕事していてもされる時はされるんだと思う。 痴漢冤罪や荷物すり替えで違法薬物の運び屋にされるなどの巻き込まれケースだったり、もともとルール(法律・運用)が曖昧なグレーゾーンが拡大解釈で突然咎められたり、捜査機関の描いた架空のストーリーの登場人物にされたり、人は犯罪の意識が希薄だったり、色々ある。 逮捕・起訴されると人生に大きなダメージを被る。会社なんかで災害を想定してBCP(事業継続計画)を事前に立てたりするけど、それと同じような感じで、万が一逮捕された場合でも「こうなる」をそこそこ認識して「こうする」を事前に決めておければ役に立つかもしれないと思うようになった。 概要 弁護士選び 逮捕~裁判の流れ 逮捕 逮捕後 留置場・拘置所 取調べ・調書 捜索差押 勾留請求・勾留質問 裁判 世論形成・名誉回復 参考事例・参考文献 概要

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  • 国政選挙で勝つということ - やしお

    自民党総裁選と衆院選を控えて、最大野党の立憲民主党も政策アピールに入っていて、その政策が刺さらない、粒度が変、センスがない、安保も経済もない、と左右両サイドからネットで叩かれる光景をよく見かけて、ちょっと思ったことのメモ。 選挙戦 「選挙で勝つ」には「票をたくさん集める」が必要で、その票には大きく分けて、投票時点での世の中の空気感や、党や候補者のイメージに左右されて入る浮動票と、特定の党や個人に固定的に投票される組織票とがある。投票率が高ければ浮動票の比率も高まり「風が吹く」と言われるような大勝/大敗が起こり得るし、低ければ組織票の比重が大きくなる。 浮動票と組織票には、それぞれ党自体の方針で確保されるものと、候補者・国会議員や地方組織・地方議員の働きによるものとがある。 この4つのエリアそれぞれで対応が必要になる。(ただ各エリアで確保できても調和が取れていない/方針がちぐはぐだと政権交代

    国政選挙で勝つということ - やしお
  • 天皇個人への肯定と制度への否定が同居すること - やしお

    しばらく前にはてな匿名ダイアリーで「みんな無邪気に天皇を信仰していてびっくり」みたいな記事が上がっていた。改元前後の大晦日みたいな盛り上がり方や、前天皇(上皇)へのみんなのリスペクトを受けて書かれたものだった。 生まれによって数多くの自由が制限される制度があるのは変だ、でも改元自体は面白いイベントだし、上皇という個人については尊敬できる、という感覚が割と一般的なんじゃないかと思っている。アイドルみたいに追っかけてるとか、崩御したら後追い自殺しますといった人は少数派だろう。それで「天皇を信仰している」と言われると「宗教みたいに信仰してるわけじゃなくて、一人の人間としては尊敬しているってだけだよ」と多くの人が答えるんじゃないかと思うし、自分の実感としてもそうなっている。 このあたりのことを自分の中でもせっかくの機会だし(?)整理してみたいと思って。 天皇制の否定 天皇や皇族は基的人権が保障さ

    kirakking
    kirakking 2019/05/06
    一人の人間がここまで社会的システムになれるのかと思った。
  • システムをハックする首相 - やしお

    安倍首相・内閣の言動がはちゃめちゃだとするなら、「どんな風にはちゃめちゃなのか」というより「どうしてはちゃめちゃが成立するのか」の方に興味があるし、「首相は愚かだ」と嘆くよりは「愚かな事態をシステムはどのように許したのか」を知りたい。 今の時点でどう見えているか記録を残しておけば、10年後くらいに読み返して面白いかもしれないと思って。 はちゃめちゃが成立する構造 はちゃめちゃが安定して存在するには、「はちゃめちゃを許容する構造」と「はちゃめちゃを用意する構造」の両方が必要になる。 おふとん(=眠気を許容する構造)と眠い人(=眠気を用意する構造)の両方がそろって安定した睡眠が成立するみたいな感じ。おふとんだけあっても全く眠くなければ睡眠は発生しないし、眠い人がいてもおふとんが無ければぐっすり眠れず目が覚めてしまう。 それから眠くなかったのにおふとんに入ったら眠くなってしまうといった、「許容す

    システムをハックする首相 - やしお
  • 敵対的ソクラテスの上司 - やしお

    相手に「どうしてそうしたのか」を答えさせた上で、「しかしそれは間違っている」と論理的に説明し、さらに「それなのにどうしてそうしたのか」を答えさせる、というプロセスを繰り返して相手の逃げ道をどんどん奪っていく作業のことを、敵対的ソクラテスと呼んでいる。ソクラテスは相手との対話を繰り返し、「あなたはなぜそう言うのか」という問いを問い続けて最後に無知の知の地点にまで至らしめる。同じ行為がここでは相手を追い詰める方向へと作用する。 この敵対的ソクラテスを仕掛けられた相手は最終的に、泣くか、逆ギレするか、真っ白な顔で「はい。はい。」しか言わなくなる。 相手を追い詰めるためや、自分の身を守るためにこうした攻撃は使用される。ヤクザや取り立て屋といった職業上の必要性(?)からそうされたり、嗜虐的な嗜好を満足するために実行されたり、あるいは他人から自尊心を攻撃されて仕方なく正当防衛的に使用されたりする。 し

    敵対的ソクラテスの上司 - やしお
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