独自の選書と、モダンな空間づくりで、中国で話題の独立系書店・単向たんこう空間。その海外初店舗となる「単向街たんこうがい書店(One Way Street Tokyo)」が銀座にオープンしました。書籍販売のほかに、カフェ営業や文化サロンも実施する同店について、ライター・翻訳家の南部健人さんが取材しました。 日本を通して西洋を知る 19世紀後半、中国(清)は大きく揺れていた。 2000年以上にわたって続く皇帝支配のもとで作りあげられた根深い封建社会。それは国内に格差と腐敗を蔓延させ、ひいては国力を低下させた。都の北京では度重なる戦火で街が破壊され、至るところが廃墟と化していた。苦しい現実が民衆を追いつめ、巷間ではアヘンが出回っていた。 自国の衰退に危機感を覚えた多くの中国の知識人が向かった先の一つが明治日本だった。彼らは亡命や留学などの形で、すでに西洋化が進んでいた日本にわたり、西洋思想・文化