1930〜85。パリ生まれ。ロマネスク大聖堂の石工などを経た後、パリでデビュー。「現代のユトリロ」と称されるも画壇から離れ、画材にも事欠く困窮の中で自らの芸術を追求した。グアッシュや油彩、テラコッタ彫刻など作品は多岐にわたる。 写真/ヴォージラールの部屋でグアッシュを描くロベール・クートラス。1978年。 ユーモアにあふれた親密さの中に、静かな哀しみが横たわっているー1960年〜80年代のパリに生きたロベール・クートラスは、“売れる画風”を拒み、貧しくとも自らの心と理想に従って描き続けることを選んだ画家だ。日本には、そんな彼を敬愛するクリエイターも多く、再評価の機運が高まっている。 現在、静岡県の〈ベルナール・ビュフェ美術館〉で開催中の展覧会もそのひとつ。小さな紙片を油絵で彩った「カルト」や、グアッシュ(不透明水彩絵具)で描かれた肖像画をはじめ、日本初公開作品も展示されている。また、生前の