日本一の「妖怪博士」と呼ばれた円了博士が旅した日本各地。満州、台湾、樺太など当時見聞した「奇談」「珍談」「怪談」400あまりを集大成。現代では見ることができない各地の風習風俗や失われてしまった景色などをユーモラスに、そして学問的に語る。 井上円了 (イノウエエンリョウ) 1858年、現在の新潟県長岡市に生まれる。長岡洋学校で洋学を学び、1877年東本願寺・教師学校に入学。1878年東本願寺の国内留学生に選ばれ東京大学文学部哲学科に進み、1885年卒業。東本願寺には戻らず著述活動に入り、仏教改革などの啓蒙活動を行う。哲学者としての活動とともに妖怪研究を批判的に行い、「お化け博士」「妖怪博士」などと呼ばれた。 1887年(明治20)哲学館(現・東洋大学)を設立。哲学館に専門科を設け、高等教育機関とするための寄付を募る活動として全国巡回講演をおこなう。1919(大正8)遊説先の満州・大連で脳溢血