私達は、何か今ある苦境を訴えると「世の中にはもっと大変な思いをしている人がいるんだ」と言われることがあるかと思います。 そしてそこには、言外に「だからそれくらいで文句を言うな」という意味が込められていると思われます。 いわゆる、自分の貧困を訴えると「アフリカの子供たちはもっと貧しい生活に耐えているんだ」と言われるとか、そういうものです。 (まぁ実際にはアフリカの子供たちだってその状況は千差万別で、必ずしも貧困ではないはずですが、ここでは一例として使っておきます。) こういう論法が有効な場面というものもあるでしょうが、よく言われるように、この論法は乱用されると人を不当に抑圧するものとなると思います。 例えば、仮にある貧しい人が自分の境遇に不満があるけど、「アフリカの子供たちはもっと貧しいんだ」と言われて黙って耐えることにした場合、その人自身は貧しいままですし、かといってこの人が自分の貧しさに