九州大に寄贈された「九大生体解剖事件」に関する資料。医学生として実験手術に立ち会った東野利夫さんが収集した文書など=九大提供 太平洋戦争末期の1945年、福岡市の九州帝国大(現・九州大)で捕虜の米兵8人が実験手術を受け、死亡した「九大生体解剖事件」について、手術に立ち会った元医学生が戦後に収集した資料約300点が遺族から九大医学部に寄贈された。九大が発表した。事件は九大にとって「負の歴史」とも言えるが、九大は福岡市東区の病院キャンパスにある医学歴史館で資料を保存し、今後は展示などで医学教育や平和教育に生かすことを検討している。 九大によると、資料は事件当時、医学生だった故・東野(とうの)利夫さんが集めたもの。生体解剖に関わり戦犯となった教授らの公判記録の写しや、東野さんが生き残った米兵らと戦後に交流した記録などの文章や写真がある。東野さんは2021年に95歳で亡くなり、資料は遺族から「大学