そもそもふるさと「納税」という名前がついているが、正確には都道府県や市区町村など地方自治体への「寄付」だ。 年収や家族構成などの条件で決まる「上限額」までなら、寄付金控除により、その年の所得税や翌年の住民税が減る。実質的な自己負担額2000円で寄付先の自治体から寄付額の最大30%相当の返礼品をもらえる「お得な制度」として、利用者が増えている。 だが、桃山学院大学経済学部教授で財政学者の吉弘憲介氏は、ふるさと納税を「未来を食べて”今”の享楽にふける」行為だと説明する。本来、子や孫、あるいは老後の自分が受けるはずだった未来への投資利益を肉や魚に変えて今食べてしまっているのだ。 「例えば我々が使っている道路や橋などのインフラ、部分的には電気事業など公益事業にも税は利用されています。ふるさと納税がそうした社会の屋台骨をすぐに崩すことはありませんが、このまま拡大していくと、ボディーブローのようにダメ