忠犬ハチ公と飼い主・上野英三郎 日本中で最も有名な犬・忠犬ハチ公。帰らぬ主人を出迎えるために渋谷駅に通い続けたという逸話は、多くの人々の感動をよび、日本の「ハチ公物語」をリメイクした、リチャード・ギア主演の、ハリウッド映画「Hachi」にもなり、世界中にもその名を知らぬ人はいません。 ハチの飼い主は上野英三郎(1872~1925)という東京大学農学部で農業土木を専門とする教授でした。日本の農業土木、農業工学の草分け的存在です。普段は、東大の駒場キャンパスで講義をしたり研究を行っており、渋谷駅にほど近い自宅から研究室まで徒歩で通っていました。 当時は農業土木学の専門技術者がほとんどいない状態で、政府からの要請もあり、講演や技術指導で出張することも多かったそうです。帰路はいつも電車で戻ってきて渋谷駅で降りる、というのがいつものパターンでした。 上野氏と生活を共にする中で、ハチは、数日間主人の姿