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ゲームジャム(Game Jam)にはさまざまな形があるが,その多くは24〜48時間という短時間でゲームをゼロから完成させることを目指す。だがその一方で,1か月という余裕のあるスケジュールでゲームの完成を目指すゲームジャムも存在する――ただしコードが合計で13KBを超えてはならないという,別の縛りがそこにある。はたして,この特殊なゲームジャムによって,参加者はどのような知見が得られるのだろうか? Game Industry Conferenceでの講演の模様をお届けしたい。 短時間(24〜48時間)でゲームを作る「ゲームジャム」というイベントは,全世界で一斉に開催するグローバルゲームジャムを筆頭に,さまざまな団体(あるいは企業内)で行われている。 そして,これまで多くの場合,「ゲームジャムがもたらすメリット」について語られてきたが,その一方で「ゲームジャムが持つ問題点」も,少しずつ開発者の間
GAMEBOOKのChief Business Development Officer,Nico Nowarra氏 日本で主に女性に人気のある,いわゆる「乙女ゲーム」というジャンルは当然ながら海外にも存在し,その一部は大きな売上を上げる巨大ジャンルとなっている。なかでも有名なのはビジュアルノベル系のゲームで,プレイヤーはゲーム内で提示される選択肢を選ぶことで異なる物語体験ができるというシステムのものだ。 日本からはあまり見えてこないタイプのゲームだが,このシステムを有するゲームを実際にどう設計し,運用するかにまで踏み込んだ講演がdevcom 2019で行われたので,レポートしたい。 必要に応じてメインプロットも変更 登壇したのはGAMEBOOKのChief Business Development Officer,Nico Nowarra氏だ。GAMEBOOKは多数の乙女ゲームを制作してい
本日(2017年2月18日)開催された,関西最大のゲーム開発者向けカンファレンス「Game Creators Conference 2017」のセッション「Nintendo Switchにおけるタイトル開発〜プラットフォーマーとサードパーティーの二人三脚の取り組みについて〜」で,任天堂のサードパーティ担当者が,Nintendo Switchのプラットフォームをインディー開発者に向けても開放する予定だと明らかにした。 2016年7月から始まった施策により,法人格を持たないゲーム開発者でも,任天堂の開発者向けポータルサイト「Nintendo Developer Portal」のアカウントを取得し,Wii Uやニンテンドー3DS向けタイトルを開発・配信できるが,Nintendo Switchもこれに倣って扱われることが発表となった。 また,これまで個人・小規模開発者にとってはやや高額であった開発
2019年9月5日,日本最大のゲーム開発者会議CEDEC 2019の2日めにバンダイナムコ研究所の森口明彦氏から,「芯(シン)・遅延対策2020 〜ヒトのスペックから導かれる安定性重視とフレームレートのベストプラクティス」と題する講演が行われた。 ゲームの体験で大きな問題になりうる「遅延」については,CEDECでもたびたび取り上げられ,森口氏も何度かCEDECで講演を行っている。遅延はプレイヤーの操作から画面に反映されるまでの時間差のことを指すものだが,今回の講演では,プレイヤー側の事情に踏み込んでどの程度の対策が必要とされているのか,どの程度の対策があれば十分なのかなどについて定量的な分析と考察が披露されたので,そのあたりを中心に紹介してみたい。 ゲームの処理サイクル(左)と人間の処理サイクル(右)。それぞれが一定の周期で処理を進めている 人間に対する視覚や聴覚の処理は小脳の運動中枢の一
今月は先月予告したとおり,「Nintendo Labo」の戦略的失敗について取り上げたいと思うが,その前に,先日行われたソニーの中期戦略説明会SONY IR DAY 2018についてお伝えしたい(関連記事)。その場で,SIEの小寺社長に質問する機会があったのだが,PSVRとスマートフォンゲームアプリが想定を下回り,学びがあったとの回答を得た。 以前からエース経済研究所では,まず,失敗を認めることがSIEの企業価値を長期的に向上させる第一歩と主張してきた。誤りを認めることは,とても勇気がいることである。公式の場で認めたことを大いに評価したい。 なお,音声アーカイブがソニーIRサイトにある。ぜひ,御聴取いただきたい(参考URL)。 本題に入ろう。4月20日に任天堂は,ダンボールを使った新しい遊び「Nintendo Labo」を発売した。 メディアクリエイトによる発売4週間のデータでは「バラエテ
えーでるわいすとXSeedは,日本の稲作シミュレーションの歴史的なルーツと,それを西欧に持ち込むことの難しさについて議論している。 えーでるわいすが天穂のサクナヒメの制作のために行った調査には,東京と日本全国の主要な図書館への何度もの訪問,農学教授が書いた参考資料や論文の何時間もの閲覧,米作りキットの注文,自宅での米作りなどが含まれていた。 「米作りは,我々の日常生活と密接な関係がありますが,一般的な日本人は米作りについてあまり知りません」とえーでるわいすのディレクターであるNal氏はGamesIndustry.bizにメールで語っている。「日本の伝統文化についても同様です。米作りや伝統文化を研究することで,我々の目が開かれました。自分の身の回りのことをより深く理解することができ,やりがいを感じました」 えーでるわいすは2005年にスタートした同人ゲーム開発集団で,現在はディレクターのNa
ゲーム業界の中でも,何度もの困難を乗り越えながら長きにわたって開発が続けられきた二つの作品は,2000年代のゲーム開発事情の残り物であることを我々に思い起こさせる。 これは,一つの時代の終焉である。二つの時代,と言ったほうがよいかもしれない。我々はついに,ゲームショップの店内で,もしくはお好みであればオンラインのショッピングサイトにおいて,2006年から開発が進められてきた「ファイナルファンタジーXV」と,同じく2007年から開発が進んでいる「人喰いの大鷲トリコ」を実際に購入できるようになったのだ。この,おそらく業界でも最も長い期間にわたって開発が続けられ,ときには嘲笑をもって語られ続けてきたプロジェクトも,ようやく一つの終止符を打った。しばらく前にマラソンのような開発が続けられていたゲームと言えば,1997年に開発が始まり2011年にリリースされた「Duke Nukem Forever」
2018年3月30日,大阪府・グランキューブ大阪で「Game Creators Conference '18」(GCC'18)が開催された。 GCC'18は関西発のゲーム業界向けゲーム開発カンファレンスだ。関西地区のゲーム企業有志による「勉強会」を母体としたイベントだったが,いまや4トラック24セッションという規模という一大イベントに成長している。地元である関西企業によるセッションのほかに,東京などからこのイベントのために多くの企業が参加している。 ここではそんなうちの一つであるフロムソフトウェアによる講演の模様を紹介してみたい。「複数タイトルの開発を維持しつつ大規模化に適応した中小企業エンジニアの取り組み」というタイトルの講演だが,「複数タイトルの開発を維持」「大規模化」といったあたりはちょっと見ただけでは意味が分からないかもしれない。 さて,フロムソフトウェアといえば,初代PlaySt
2016年10月22日,福岡県・九州大学大橋キャンパスで「CEDEC+KYUSHU 2016」が開催された。九州で行われる大規模なゲーム開発者会議としては昨年に続くものだが,正式にCEDECの地方版として位置づけられたCEDEC+の初のイベントとなる。 レベルファイブといえば九州屈指のゲーム開発会社だが,玩具やアニメなどのクロスメディア展開がとくに多いことでも有名であろう。開発本数自体も多い。しかし,レベルファイブのプログラマは決して多くないのだという。また,クロスメディア展開をしているタイトルは,通常のゲーム以上にさまざまな部分で納期が厳しく,一般的なゲーム以上にスケジュールがタイトになりがちだという。 そんなタイトなスケジュールの仕事が同時並行でたくさん走っているのだが,人材は限られる。では,そんな状況にレベルファイブはどうやって対応しているのか? というのが今回の講演の趣旨となる。
2017年5月9日,都内で開催されている「Unite 2017 Tokyo」で,ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのコミュニティエバンジェリスト小林信行氏による「Unityで楽しむノンフォトリアルな絵づくり講座:トゥーンシェーダー・マニアックス」と題した講演が行われた。 ゲームで3Dグラフィックスを扱うにも表現方法はさまざまだ。海外の最新ゲームのようにリアルタイム処理でひたすらフォトリアリスティックな表示を追い求める方向もある一方で,まったく写真調でない絵柄,つまりノンフォトリアリスティック(NPR)でのレンダリングもゲームでは多用されている。いわゆるアニメ調のキャラクターが登場するような作品だ。世界的にはさほど人気があるとは言えないのだが,こと日本国内ではフォトリアルよりも好まれる傾向にある。 そこで用いられる,一般にセルシェーディングやトゥーンシェーディングなどと呼ばれる描画法は,基礎
3Dモデルやフィギュア造形において昨今重要視されているであろう解剖学。リアルな造形を目指すなら必須の知識であるが,専門的な学びをしていないとなかなか触れることの世界でもある。そんな解剖学の世界を「エンターテイメント業界における美術解剖学の活用方法」と題して,基礎からその学び方を紹介したのが本講演だ。 「美術の世界では,鑑賞者を楽しませるために絵画は進化してきた歴史を持つ」と講演をスタートさせたのは,Skeleton Crew Studio代表取締役の村上雅彦氏だ。絵画の進化によって人間のストーリーまでも感じさせるようなリアルさ,リアリティのある人間の表現が欠かせなくなってきたという。なぜなら違和感を感じてしまったとたん,物語が薄っぺらいものになってしまうからだ。このため,リアリティのある人物表現は美術の進化においても重要だったという。その美術の進化とともに研究されていたのが,リアリティのあ
有名デベロッパの自己資金による将来とIPを自社で所有する決断について共同設立者の神谷英樹氏と稲葉敦志氏が語る。 日本の著名なデベロッパであるプラチナゲームズは,タイトルを市場に出すために第三者に頼らないという新たな門出を迎える。 設立からの10年間,同社はさまざまなパブリッシャのために評判の高い一連のゲームを制作したが,これらのパートナーシップでは同社に事後のフォローアップのオプションはほとんどなかった。任天堂は「ベヨネッタ 3」の開発で同社をサポートしているが,「MADWORLD」や「VANQUISH」のようなタイトルの権利はセガに残っている。 2017年,同社は劇的な戦略転換を発表した(関連英文記事)。もはや1年に1タイトル制作することを目指すのではなく,完全に権利を所有するゲームを作ることに焦点を当てていくという。2018年1月までに,開発のヘッドである稲葉敦志氏はプラチナゲームズが
EAを去る同社重役は彼のセガでの日々を振り返り,日本企業がどのようにゲーム業界の動乱の予感を見過ごしていたのかを語った。 2月末,正確にはGame Developers Conferenceの中盤にEAのチーフコンペティションオフィサーであるピーター・ムーア氏が同社を離れ,6月に氏にとっては夢の職業である※ Liverpool Football ClubのCEOに就任することが発表された(関連英文記事)。ドリームキャストやXbox 360のローンチ監督やEAブランドの構築への貢献などを含む20年間にわたるゲームビジネスのあと,業界のベテランはGlixelに氏の業界での長年にわたる経験について率直に語っていた(参考URL)。 ※ムーア氏はリバプール生まれで,サッカー選手としてアメリカに移住した経歴を持つ。4Gamerの氏へのインタビューでは毎回サッカーの話題で盛り上がっていたりした ムーア氏
今月はコンシューマゲーム市場について述べたい。コンシューマゲーム業界の状況が悪化しているのは,Sony Interactive Entertainment(以下,SIE)とMicrosoftがゲームビジネスの本質を理解してないからだと筆者は考えている。 その根拠は,ゲーム機が売れる要因について因果性を考慮せずに,思い込み(バイアス)だけで経営しているように見えるためである。 今回もゲーム業界に蔓延している思い込みについて話したい。 その思い込みとは以下の3点である。 (1)ゲーム機は性能が高ければ売れる (2)ゲーム機は独占ソフトがあれば売れる (3)ゲーム機は安ければ売れる これらは当たり前に,ゲーム業界の常識として語られてきたが,(1)と(2)については,多くの人が懐疑的になっている。そのことも含めて話していこう。 まず,「性能が高ければ売れる」について,Switchが世界を席巻してい
[Unite 2018]誘導ミサイルはどうやって作るのか? 基礎からCompute Shaderによる実装まで 2018年5月7日から3日間にわたって東京国際フォーラムで「Unite Tokyo 2018」が開催された。初日となる7日は基調講演だけだったが,8日と9日が終日専門セッションとなっていた。ここでは8日のユニティ・テクノロジーズ・ジャパン エンジニアの安原祐二氏の講演を紹介してみよう。 安原氏はかつてPlayStationで3Dスペースシューティング「オメガブースト」を作った人だ。……と聞いて「つまり神プログラマですね」と理解してもらえるかどうかは昨今では微妙だが,初代PlayStationの限界を超えるようなゲームを作った人であり,毎年Uniteでは「非力なマシンで軽々動いてるけどこれ本当にUnity?」と言いたくなるようなデモを披露している。 今年の演題は「誘導ミサイル完全マ
広く愛されたシリーズの,忠実だが意見の分かれるポケットサイズのリメイク。マイクロトランザクションに毒されている。 どうぶつの森は何年もの間スマートフォンでのリリースが叫ばれていたタイトルだった。しかし,いまそれがついにここにある。どのように取り上げられたのだろうか? シリーズとして見ると,どうぶつの森はほぼ全世界から敬意を持って扱われている。ネット上のネタ文化に燃料を供給しただけではなく,ゲーム界での楽しく暖かいお風呂に相当するものだった。しかしながら,どうぶつの森 ポケットキャンプに対する評価はいささか意見が分かれるものとなっていた。 我々の同僚であるNintendo Lifeは速やかにゲームを賞賛した。Liam Doolanは10点満点中8点を与えている。 「Free-toPlayのタイトルとしてはではありますが,どうぶつの森 ポケットキャンプは期待を超えていました。魅力的で遊びやすい
Nintendo of AmericaのReggie Fils-Aime氏はレトロゲームに「79.99ドル以上を支払う必要はありません」とファンに語った。 任天堂はSwitchの年末需要に対応できる能力があるか不安視されている(関連英文記事)。しかし,レトロゲーム機クラシックミニ スーパーファミコン(Super NES Classic Edition)の発売についてはかなり自信を持っているようだ。 Financial Timesによると(参考URL),Nintendo of AmericaのプレジデントであるReggie Fils-Aime氏は,先週ロスアンゼルスで開催されたVarietyによるEntertainment and Technology Summit 2017での議題で同社のミニスーファミの生産は,供給がきつく制限されていた昨年のミニファミコンから「劇的に増大」したと語ってい
11月10日にXbox series X/S,11月12日にPlayStation 5が発売された。今月は,これについて詳細に考えていきたい。 結論から先にお話しすると,国内への供給が非常に少なく,大変失望した。ファミ通のデータでは,PS5は初週が11.8万台,2週目が4.3万台と惨憺たる数字である。Xbox series X/Sも同2.1万台,3600台,そして発売4年めでピークアウトがいつも囁かれるSwitchは11.6万台,16万台と両者を圧倒しているので,非常に少ない台数でのスタートとなったと言わざるをえない。 規模感ではPS4やSwitch初動の1/3程度にすぎない。そして,この台数は,撤退に追い込まれたセガのドリームキャスト,バンダイのワンダースワン,大きな損失を計上したPS3を若干上回る水準にすぎないのだ。 もう少し分かりやすくするために,グラフで視覚化してみよう。 ●発売か
CEDEC 2016では,開発環境,グラフィックス,AI,キャラクター,バックエンドシステムなど,全部で5つのテーマの「FINAL FANTASY XV」(以下FFXV)関連セッションが最終日に行われ,それこそ,丸一日FFXVセッションを聞くこともできるほどの充実ぶりであった。 本稿では,この日,3番めに行われたエンジニアリング系のセッションである「AAAタイトル開発における最適化 FINAL FANTASY XV実例紹介」の内容をレポートしたい。タイトルにはFFXVの名前が入っているが,ゲームプログラミング全般に応用できそうな内容となっていたので,広く参考になるのではないかと思う。 FFXVでのゲームループ並列化の変遷 前半の講演を担当した佐藤達磨氏(スクウェア・エニックス,第二ビジネスディビジョン,プログラマー) FFXVは,Luminous Studioというスクウェア・エニックスに
「alive 2023」,基調講演から見えてきたLive2Dの現状と未来 2023年12月1日,Live2Dは都内,秋葉原UDXでイベント「alive2023」を開催した。通算10回目となる今回は4年ぶりのリアル(ハイブリッド)開催となった。 オンライン開催の時期のレポー… [2023/12/12 08:00] 開発 イベント 北米最大のゲーム展示会「E3」がついに終了。1995年に始まった歴史あるショウだが,近年は存在意義に疑問を呈される 2023年12月12日,北米最大のゲーム関連展示会「E3」を運営するESAは,E3の終了を発表した。 [2023/12/13 10:32] ビジネス 4Gamer ニュース 「メメントモリ」の世界累計収益が1.8億ドル(約265億円)を突破。18〜34歳のプレイヤーが全体の70%を占め,若い世代に支持される Sensor Towerは本日,モバイル版「
WB Games Montrealのシニア・デザイナーOsama Dorias氏より,ある一定多数層のオーディエンスを遠ざけたくないデベロッパへのアドバイス。 ゲーム業界がある特定の文化を上手に描写できず,敵役としたり,さして重要でない役割を押し付けたり,もしくは完全に追いやったりしてきたのはよく知られていることだ。歴史的にそのような待遇を受けてきたグループの一つがイスラム教徒だ。 本日(※2017年12月12日),モントリオール国際ゲームサミットでWB Games Montrealのシニア・デザイナーOsama Dorias氏は,デベロッパを前にゲームでイスラム教徒のキャラクターを最もよく表現する方法を提案した。冒頭,Dorias氏自身もイスラム教徒であるが,過去にイスラム教の表現に失敗してきたデベロッパの面目をつぶすつもりはないとして語り始めた。 「私たちにプラットフォームをくだされば
2017年2月18日に大阪で開催された「GAME CREATORS CONFERENCE'17」ではさまざまなセッションが行われたのだが,そのなかで一風変わったものとして,電気刺激により感覚を再現する講演があった。視覚,味覚,重力感覚など五官で感じる刺激を合成して,さまざまな感覚をもたらすのだという。以下では,大阪大学の安藤英由樹氏と青山一真氏による講演の模様を紹介しよう。 学問としてのバーチャルリアリティを学ぶ 安藤英由樹氏 大阪大学大学院情報科学研究科 バイオ情報工学専攻准教授 安価で高性能なHMDの登場,モバイル端末でも体験できることから,にわかに盛り上がっているバーチャルリアリティの世界。そんなバーチャル世界そのものや,電気刺激による感覚体験の研究をしている,大阪大学でヒューマンインタフェース,バーチャルリアリティなどを専門にしている安藤氏の講演タイトルは「頭部電気刺激で5感を生成
今月は最初にソニーグループの決算について話したい。 ソニーグループの第3四半期全体は好調だった。ただ,ゲーム事業は大幅な増収となった一方,営業利益は大幅な減少となった。この理由は後に述べるとして,最初に結論から話すとPS5に魅力がないのではないか,ということである。 ジム・ライアン氏は一貫して,「PS5は素晴らしいゲーム機でPS4を上回る販売になるのは当然であり,2021年〜2022年にかけては半導体不足の影響を受けたことが大きいので,PS5はPS4を上回る実売になる」と豪語していた。 しかしPS5ハードの売上(着荷)台数は前年同期比で増えたものの,PS4のピーク970万台を大きく下回る820万台に留まった。半導体不足も解消し,万全の体制で臨んだ第3四半期は「Marvel's Spider-Man 2」の同梱版を旧型,新型ともに出すなど,同社では出来うる限りの販促施策を打っていた背景も考え
Mレーティング(成人指定)のゲームの売り上げの10%が学校でのメンタルヘルスのカウンセリングの予算となる。 ロードアイランド州下院の共和党員Robert Nardolillo3世氏は,暴力的なビデオゲームで,学校でのメンタルヘルスとカウンセリングに使う予算のための,税金を上げる計画を明らかにした。 アメリカの州はMレーティング(※Mature:成人指定)のゲームを未成年者に販売することを法で規制する力を持たない。Nardolillo氏の提案は,税金を増やしメンタルヘルス予算に送り込むことでこれを相殺しようとするものである。 「若年期に暴力的なビデオゲームに晒された子供たちは,そうでない子供たちよりも暴力的な行動をする傾向にあるという証拠があります」と氏は声明で語っている(参考URL)。 「この法案は,学校に学生が積極的な方法で攻撃に対処するために必要な追加リソースを提供することになるでしょ
Kingはなぜ完全無償のゲームエンジン「Defold」を提供しているのか? Defold説明会レポート 2017年4月11日,都内にあるKing Japanのオフィスにて「Defold(ディフォード)」ゲームエンジン説明会が行われた。 Defoldは,「キャンディークラッシュ」シリーズで世界的な有名なゲームデベロッパ,Kingが開発・運営している完全無償の2Dゲームエンジンである。 2016年1月のGlobal Game Jamのオープニング映像で突然その存在が明らかになり,開発者の中では「あれはいったい何?」と話題になった。2016年3月のGDCで正式発表され(関連記事),それから1年と少し,ついに日本でその詳細が語られることとなった。 今回のセミナーのガイドを担当したのはKing Japanの執行役員プロダクトディレクターの大塚 純氏だ。 大塚氏は今年に入ってKing Japanに合流
多くのスタジオが,収益の縮小を経験している。しかし,大半においてその原因はマーケットの現状を誤解していることにある。 現在,インディーズゲームは特筆すべき時代を迎えている。ツールと流通の一般開放により,あらゆる種類のクリエイターにクリエイティブな可能性と,市場で販売する道が拓かれたのだ。それに伴い,1人で自室で開発しているところから,ある程度豊富な資金を持ち,会社から独立してやっていこうとするベテラン開発者集団まで,さまざまな新しいスタジオが乱立している。ニュースで取り上げられるようなサクセスストーリーは,ゲーム制作を仕事にしたいと夢見てきた誰の目にも投資の炎を燃え立たせる。 その頂点は,25億ドルで買収された「Minecraft」だろう。そして,かなりどころか,そこそこ売れた程度のインディーズゲームですらも,大金を生み出している。かつてPC向けのゲームを作っていたインディーズのクリエイタ
[Unite 2019]実は3DCGアニメ作品だった「Hello World」。この作品をゲームエンジンUnityで再現することはできるのか? 現在,絶賛劇場公開中の「Hello World」は「今住んでいる2027年の京都の町は,仮想世界である」と十年後の自分から宣告される主人公の少年が,ヒロインに襲い来る悲劇を回避するために奔走する,というSFラブストーリーのアニメ映画作品である。 あまりにも自然なアニメ的手法の映像描写,演技表現が全編を彩っていることから,本作が基本的にはフル3DCG作品であることはあまり知られていない。そんな「まるで作画アニメ作品のようなテイスト」で本作を作り上げたのは日本のCG制作スタジオのグラフィニカである。 Unite Tokyo 2019では,この「Hello World」の制作秘話を交えつつ,作中の二つのシーンをそれぞれユニティ・テクノロジーズ・ジャパン(
Oculus VRのスタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Go」が出荷された。すでに日本でも手にしている人は多いと思う。 Oculus Goは単体で動くスタンドアロン型のVRヘッドセットである。PCやゲーム機につないだり,スマートフォンを入れなくても単体で動く。 その内容は「ほぼGear VR」だ。Gear VRはOculus VRとSamsungが共同で開発したものなので,純正Oculus版がこのOculus Goだと考えていいだろう。ソフトウェアを「ほぼ」同じものが動く。コントローラなどの仕様が微妙に異なるのでハード的にまったく同じではないのだが,プラットフォームとしてはほぼ同一となっている。使用するSoCはSnapdragon 821なので,Galaxy S7搭載のGear VRより少し上といった性能となる。 下側から見たところ。下側にはマイク用の孔があるのみで,ボタンなど
ブロックチェーンでの製品追跡はコピーや改竄を防ぎ,ユーザーによるデジタルグッズの再販を可能にする。 最近発表されたPC用ゲーム販売サイトRobot Cacheは(関連英文記事),ブロックチェーンテクノロジー(※BitCoinなどで使われている分散取引システム)を使用しており,デジタル配信されたゲームで中古品の再販を可能にしている。DRM(※暗号鍵による著作権管理システム)の需要を代替する可能性があるとRobot Cache創設者であるBrian Fargo氏は語る。 Fargo氏はInterplayやinXile Entertainmentの創設者でもあるが,PCGamesInsider.bizとのインタビューで,ブロックチェーンはDRMとしても効率的に機能すると語っている(参考URL)。 ブロックチェーンが要求する検証プロセスは,データが同時に別の場所に存在できないことを意味する。それゆ
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