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円安とは
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Mr.Childrenが通算21作目のオリジナルアルバム『miss you』をリリースした。全て新曲で埋め尽くされた同アルバムは、デビュー30周年を経て、桜井和寿、田原健一、中川敬輔、鈴木英哉の4人の絆を感じさせるとともに、次なる航海へと挑むバンドの覚悟も刻まれた作品である。 〈国民的バンド〉〈モンスターバンド〉といった言葉で形容されるMr.Childrenは、どんな旅を経て『miss you』に辿り着いたのか。本記事では『miss you』にいたるまでの道のりをオリジナルアルバムとともに辿っていく。今回はデビュー作『EVERYTHING』から10周年の節目にリリースされた『IT’S A WONDERFUL WORLD』までの10作品を紹介する。 *Mikiki編集部 『EVERYTHING』(92年) 記念すべきメジャーデビュー作品。7曲入りのミニアルバムだが、ファーストアルバムと位置づ
これがジャズ・ギターの新時代! 古のアメリカーナから未来を切り拓く正真正銘の鬼才、ジュリアン・ラージが語る原点と出会い ジュリアン・ラージというギタリストは、何から何まで規格外だ。10代の頃からミュージシャンとして活動し、ブルースやブルーグラス、カントリーのシーンに足を突っ込んできたかと思えば、パット・メセニーやカート・ローゼンウィンケルなど一流ギタリストが参加してきたゲイリー・バートンのバンドに15歳の若さで加入。さらに20歳のときに録音した初リーダー作『Sounding Point』(2009年)をエマーシーから発表してメジャー・デビューを果たし、ジャズの世界でも天才少年ギタリストとしてその名を轟かせた。 その後もフレッド・ハーシュと共演したかと思えば、ジャズ・ピアニストのテイラー・アイグスティがシンガー・ソングライター的な感性を光らせた傑作『Daylight At Midnight』
ビヨンセのサイン会……? 2024年3月29日、日本のビヨンセファン、R&Bファン、音楽ファンはその現実感のない言葉に釘付けとなった。ビヨンセが新作アルバム『COWBOY CARTER』のリリース日、突如来日してタワーレコード渋谷店にてサイン会を行ったのだ。 サイン会ではビヨンセの真摯な対応も話題となったが、参加したファンがSNSで発信する姿にも注目が集まった。中でもX(旧Twitter)で大きなバズを巻き起こしたのが、仕事の予定を変更してサイン会に駆け付けたBEYONCE JPNさんだ。その当日の一連の投稿には、熱心なファンの興奮が詰まっていた。そこで今回はその喜びを分かち合うべく、BEYONCE JPNさんに取材を依頼。サイン会の様子やビヨンセの魅力を聞いた。 〈やったるで!〉なディーバマインドに共感 ――ビヨンセを好きになったきっかけはどういうものでしたか? 「ビヨンセをちゃんと認識
2023年11月26日、チバユウスケがこの世を去った。今年4月、食道がんと診断されたことを受け治療に専念するため休養を発表していたチバだが、最期は家族に見守られながら穏やかに息を引き取ったという。 Mikikiでは、長きにわたりチバユウスケに取材を行い、その姿を目にしてきたライターの長谷川誠にチバについてのテキストを寄稿してもらった。読む前に理解しておいてほしいが、これは追悼文ではない。その功績をたたえる記事でもない。あくまで1人の男から見たチバユウスケの姿、ただそれだけが記されている。ぜひ熟読してもらいたい。 *Mikiki編集部 チバユウスケとの出会い チバユウスケは愛をシャウトで表現できる、類まれなミュージシャンだった。なぜ愛を叫び声で表現するかというと、愛とは甘ったるいものでも、たやすく成立するものでもないからだ。自らのすべてを賭け、渾身の力を振り絞り、真摯に対峙することで、初めて
サブスク問題の真相 吉田豪「今日は宣伝色強めのトークをするようにと事前に言われたんですけど、無理ですよね(笑)。川本さん、できます?」 川本真琴「私、宣伝自体が得意じゃないので(笑)」 吉田「フフフ。わかりました。では探り探りいきましょうか」 川本「吉田さんは宣伝、得意ですか?」 吉田「ボクが宣伝を得意なわけないじゃないですか! ボクのインタビューはなるべく宣伝色をなくすのがテーマで、Twitter(X)でも宣伝が苦手なんですよ。感想をリツイートするのがせいぜいで」 川本「ホントですか!? そんな2人でトークを始めさせていただきます(笑)」 吉田「では、まずはサブスク問題※について!」 川本「いきなり(笑)!?」 吉田「昨日、『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)でこのイベントの告知をしてましたけど、えらい怯えてたじゃないですか」 川本「何かが起こるんじゃないかってね。吉田さんの記事
Mr.Childrenが通算21作目のオリジナルアルバム『miss you』をリリースした。全て新曲で埋め尽くされた同アルバムは、デビュー30周年を経て、桜井和寿、田原健一、中川敬輔、鈴木英哉の4人の絆を感じさせるとともに、次なる航海へと挑むバンドの覚悟も刻まれた作品である。 〈国民的バンド〉〈モンスターバンド〉といった言葉で形容されるMr.Childrenは、どんな旅を経て『miss you』に辿り着いたのか。本記事では『miss you』にいたるまでの道のりをオリジナルアルバムとともに辿っていく。前編に続く後編では、『シフクノオト』から『SOUNDTRACKS』までの10作品を紹介する。 *Mikiki編集部 『シフクノオト』(2004年) “Replay”がポッキーのCMソングだったり“CROSS ROAD”がドラマ「同窓会」の主題歌だったりと初期からタイアップが多く、そのため90年
ピンクパンサレス(PinkPantheress)『Heaven knows』UK発Z世代アーティストが洗練されたドラムンベースポップを聴かせるデビュー作
歌は感情や想いの大切な出口 TOWA TEIやROTH BART BARON、am8らの作品にボーカリストとしてデビュー前から参加し、そのスモーキーでノスタルジックな歌声が話題となっていたHANA。これまでずっと謎のベールに包まれていた彼女が、ついにHana Hope名義でのファーストシングル『Sentiment / Your Song』でデビューを果たした。 音楽好きの家庭で育ち、物心がついたときにはすでに人前でよく歌を歌っていたというHana Hope。とりわけお気に入りだったのは、父親の車の中にあった『Songs For Japan』(2011年)。東日本大震災の復興支援を目的としたこのチャリティーアルバムに収録された、ジャスティン・ビーバーやブルーノ・マーズなどの楽曲を全て暗記するほど聴き込んでいた。 先日、筆者が行ったオフィシャルインタビューで歌が好きな理由について尋ねると、ひと
62年の高橋悠治のコンサート ――坂本さんと現代音楽の出会いとして、小学校4、5年生のころに草月会館ホールで聴かれた高橋悠治氏のコンサートがあったと発言されています。 「高橋悠治さんと一柳慧さんの2人がいたというのは間違いないんですよね。川崎さんはいろんなインタヴューをお調べになっていて、過去にはジョン・ケージの曲を演奏していたというようないい加減なこともぼくは言っていましたけれども、それはあくまで印象です。ピアノは2台並んでいたような気がするんです。1台は草月会館にあった赤いベーゼンドルファー。そのコンサートのメインは高橋悠治さんだったように思います」 (60年代に草月会館ホールにて開催された高橋悠治によるコンサートのリストを見せる。62年2月23日に開催され、一柳も演奏に参加した〈高橋悠治ピアノ・リサイタル2 Piano Distance〉を指す) 「これっぽいな」 ――そうだとすると
2023年12月6日、ほぼ廃盤状態だった第二期SPANK HAPPYのシングルとアルバム、および〈菊地成孔 feat. 岩澤瞳〉名義のシングル“普通の恋”が、ついにサブスク解禁された。第二期SPANK HAPPYとは99~2004年、菊地成孔と岩澤瞳の2人で活動した時期の通称で、その歌・詞・サウンド・ライブ・ビジュアル表現などはカルト的なファンやフォロワーを一部に生んだことで知られている。菊地いわく〈作り出した私の思惑を遥かに超えて、人々を狂わせ、磔にしたまま、永遠に古びない〉二期スパンクスの作品、そして存在それ自体。Mikikiは、そんな二期スパンクスと“普通の恋”に人生を狂わされてしまった音楽家や表現者からのコメントを集めた(掲載は五十音順)。 なお二期スパンクスの全曲をDJプレイするパーティー〈2期スパンクハッピー・レトロスペクティヴ〉が来年、2デイズにわたって開催されることが決定、
2010年代の東京において、スカートの澤部渡ほど〈職人〉の名に相応しいポップス・メイカーはいるだろうか。2010年の初作『エス・オー・エス』を皮切りにハイペースに音源を発表。ムーンライダーズやカーネーション、yes, mama ok?などの系譜に連なる、一聴で心色めき立つキャッチーなソングライティングと、一筋縄ではいかない捻じれの効いたサウンドメイクを併せ持つ珠玉のポップソングを世に送り出してきた。その楽曲は、ポップ好事家にとどまらず、ミツメやトリプルファイヤーといった同世代のバンドから、オノマトペ大臣や共作経験もあるokadadaといったインターネット周辺のアーティスト、さらに自主制作漫画誌「ジオラマ」を中心とした新進気鋭の漫画家たちまで、さまざまなシーンの聴き手を魅了している。 そんなスカートが、3作目のフル・アルバム『CALL』をKAKUBARHYTHMからリリース。佐久間裕太、佐藤
今年を代表するTVアニメとの呼び声高い「ぼっち・ざ・ろっく!」(原作:はまじあき)の劇中バンド〈結束バンド〉のファーストアルバム。メンバー4人の名前がASIAN KUNG-FU GENERATIONの名前に由来していたり(後藤ひとりのあだ名〈ぼっち〉は、そのアジカンのリーダー後藤正文の通称〈Gotch〉から)、下北沢SHELTERや新宿LOFTといった実在のライブハウスが内装も含め精緻に再現されているなど、日本のロックシーンへの深い理解と思い入れが反映された作風が好評を博したが、そこに説得力を与える音楽の出来栄えもアニメ本編と同じくらい素晴らしい。 ゼロ年代のエモやメロディックハードコアを総覧しポップに仕上げたような音楽性は、その系譜にある邦楽ロック(具体的には、アジカン、BUMP OF CHICKEN、ストレイテナー、THE BACK HORN、UNISON SQUARE GARDEN、
「いろんな切り口で聴き直す要素があるのがカンだと思うんですね」と坂本慎太郎はいう。その言葉を裏づけるように、カンはこれまでも何度もよみがえっている。あるときはナゾめいたクラウトロックの大看板として、またあるときはダンスミュージックにも親和的なグルーヴの供給源として。そのたびに私たちはカンの多層性と多面性に思いをあらたにする。シュトックハウゼンの門下生をメンバーにふくむ異能の音楽集団らしく抽象的な電子音響を展開したかと思えば、即興的な創発性を失わず、声と打楽器の絡み合いで原始的な風景をかいまみせる他方で旋律や和声に刺激的な隠し味をひそませる、多層的にして多面的な作品の数々はときに聴き手を煙に巻き、巻かれる愉しみもまた彼らを聴く醍醐味であるような、不思議な潜性力を放ちつづけるバンドはカンをおいてほかになし。 カンのなにがかくも私たちを惹きつけるのか。出会いはゆらゆら帝国の結成以前にさかのぼり、
高中正義の76年作『SEYCHELLES』収録曲“トーキョーレギー”。同作はサディスティック・ミカ・バンドとサディスティックスを経た高中のソロデビューアルバム。『ALL OF ME』は76~78年のベストアルバムで、“トーキョーレギー”も収録している UKのクラブやDJ、ラジオに愛されたJフュージョン けれど……実をいうと、フュージョンは当初からカッコよかったのですよ。日本ではあまり知られていませんが、70年代末から80年代前半にかけて、ロンドンを中心とするイギリスのクラブシーンで日本のフュージョンはリアルタイムで人気を得ていました。当時のイギリスでは、ジャズファンクやフュージョンで踊りまくる〈ジャズダンス〉と呼ばれるムーブメントが盛り上がっていたのですが、そこで、日本産のフュージョンやジャズが盛んにスピンされていたんですね。 このあたり、深堀りしだすとキリがないので、簡単に触れるに留めま
『3 Feet High And Rising』(89年)を筆頭にデ・ラ・ソウルの初期6作がついにストリーミングサービスで配信され、ヴァイナルなどの再発盤もリリースされる。デ・ラ・ソウルは、88年に米アミティヴィルで結成された、ポス(MC)、トゥルーゴイ(MC)、メイス(MC/DJ)からなるトリオ。3人の一連の作品は、いずれもニュースクール時代に刻まれた名盤だ。にもかかわらず、権利や契約の問題で長らく配信されていなかった。その問題がようやく解決され、マジックナンバー〈3〉が3つ並んだ2023年3月3日に解禁された。今回は、これを祝って、ヒップホップに造詣が深い書き手たちによる6作の解説記事をお届けする。この記事を2月12日に死去したプラグ・トゥー=トゥルーゴイ・ザ・ダヴに捧げる。 *Mikiki編集部 『3 Feet High And Rising』(89年) 非マッチョな等身大の表現は多
Mikiki読者のみなさん、ちょっと遅くなりましたがあけましておめでとうございます。このブログを2016年もがんばりたいと思います、今年もよろしくお願いします! 2016年はデヴィッド・ボウイを筆頭に、ミステリー・ジェッツ、サヴェージズ、ドーター、アンダーソン・パックなど、すでにおもしろい新譜がたくさん出てきていますね。今回はその辺の新譜を紹介しようかなぁとも思ったのですが、ふと気づいてしまいました。自分が2015年の年間ベストを選んでいないことに。 というわけで、今回のテーマはぼくの〈年間ベスト・アルバム2015〉でいこうと思います。2015年はとにかく大豊作な一年で、あらゆるジャンルで良い新譜がガンガン出てきたように感じます。そのなかで、ぼくがもっとも注目して聴いていたのはクラシック~現代音楽の流れを汲んだインディー・クラシック(このジャンルについては連載第1回で簡単に説明しました)や
2019年、平沢進+会人(EJIN)の〈フジロック〉でのパフォーマンスは、多くの者に衝撃を与える〈事件〉となった。レーザーハープやテスラコイルといった独特の楽器、マスクをかぶった会人(EJIN)のSSHOとTAZZの出で立ち、そしてなにより、その唯一無二の音楽世界。現場では生々しい驚きが観客たちを襲ったのであろうことは想像に難くないが、リアルタイム配信の視聴者たちが興奮した感想を投稿し、Twitterのタイムラインを埋め尽くしていたことが忘れがたい。 そして〈フジロック〉の余韻が残る11月、平沢進+会人(EJIN)は、新作『Juice B Crypts』を携えたバトルスの来日ツアー3公演に出演。事前に平沢が〈BATTLESのためなら、韋駄天で前座しに行く。〉とツイートしていたことから、〈戦法STS〉と銘打たれたそのパフォーマンスには強い思いが込められていたように感じられた。新たに迎えたドラ
柴田聡子は〈不思議〉な人だ。その人となりがそうであるというより、〈不思議〉をキャッチする感度の高さがすさまじいという意味で、〈不思議〉だと思う。 アコースティックギターを携え、あらゆる場所で鮮烈な歌声と言葉を発射していた初期から彼女の才能におののいてきた私は、以後の音楽家としての急成熟ぶりにもずっと驚き続けてきた。メロディー、ハーモニー、歌声、言葉、その全部が類まれな才気の標となって、キラキラと光を放っている。彼女は、この世界に漂う驚きや不思議を巧みにすくい取りながらも、彼女自身もまた驚くべき存在として聴くものの生活に刺激を与えてきた。いや、刺激だけではなく、ときには(あえてこの使い古された言葉を持ち出させてもらうなら)〈癒やし〉をも運んでくれた。 2022年5月25日、前作『がんばれ!メロディー』(2019年)以来3年ぶりとなるアルバム『ぼちぼち銀河』を発表するにあたり、これまでの10年
73年にジャックスのファンクラブが自主制作したとされるLP『LIVE ’68’7’24』。同作は、2003年にヨーロッパでブートレグLPが発売されるなど世界的レベルで見ても60年代後半におけるサイケデリック・ロックの最高水準の傑作ライブ・アルバムと評価されてきた。その内容の凄まじさから2枚のスタジオ・アルバムでは知ることのなかった真のジャックスの演奏を聴くことが出来る最高傑作として知られている。 今回、同作をCD『2nd Jacks Show, Jul. 24, 1968』として正式発売するにあたり、不明な点が多かった。しかし、ライナーノーツを制作するために取材したジャックスのベーシスト・谷野ひとし氏の証言、また、ジャケットを入稿する前日に連絡があった現ジャックス・ファンクラブ会長である深田政幸氏の助言により、少しずつ謎が解け始めた。そして遂には、68年に設立されたファンクラブの初代会長補
2016年1月8日に69回目の誕生日を迎えたデヴィッド・ボウイが、ニュー・アルバム『★』をリリースした。史上空前のカムバックとなった2013年作『The Next Day』に引き続き、ボウイ自身と盟友トニー・ヴィスコンティがプロデュースを務めた本作では、NYの新世代ジャズ・ミュージシャンの全面参加が一大トピックとして注目を集めていた。近年はボウイのスポークスマン的な役割も担うヴィスコンティが〈彼らの音楽へのアプローチはとても新鮮だった〉と語る通り、ダニー・マッキャスリン(サックス)、ジェイソン・リンドナー(ピアノ/キーボード)、ティム・ルフェーヴル(ベース)、マーク・ジュリアナ(ドラムス)、ベン・モンダー(ギター)の5人はダークで刺激的なサウンドに大きく貢献。前作よりも遥かにスリリングな内容となっている。 それでは、なぜボウイはこのタイミングでジャズを選んだのか? 本人が一切のインタヴュ
70年代のジャパニーズ・ロック・シーンを語るうえで欠かせない重要グループ、久保田麻琴と夕焼け楽団。彼らは、ニューオーリンズ・ビートやブルースなどを吸収したアーシーなサウンドをクリエイトするアメリカーナ的志向を持ったロック・バンドの先駆けであり、レゲエや沖縄民謡といったエスニックな要素を取り入れたミクスチャー・ミュージックの最良形を提示していた。昨今はシティ・ポップの名曲“星くず”を放った集団として捉える向きもあるかもしれないが、いずれにせよ当時の日本のバンドとしては珍しいマルチカルチュラルな音楽性を持ったバンドであった。そんな夕焼け楽団のデビュー・アルバムからの3作品がこのたびデジタル・リマスタリングを施して復活する。マスタリングを担当したのは、誰であろう久保田麻琴その人だ。 近年は、島根在住のシンガー・ソングライター、浜田真理子や熊野の異能のギタリスト、濱口祐自のアルバムのプロデュース・
はっぴいえんど。メンバーは細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂の4人。説明するまでもなく、日本語ロックの礎を築いた本邦ポップミュージック史における最重要バンドだ。 そのはっぴいえんどが残した『はっぴいえんど』(70年、通称『ゆでめん』)、『風街ろまん』(71年)、『HAPPY END』(73年)というオリジナルアルバム3作が最新技術によって丹念にリマスターされ、CDでリイシューされた(レコードの日にはアナログ盤もリリースされた)。これを記念して2023年11月4日にタワーレコード渋谷店B1FのCUTUP STUDIOで開催されたのが、松本と鈴木、司会の安田謙一(ロック漫筆)によるトークイベントである。Mikikiは、この特別な催しで語られたことを全4回に分けてお届けする。 なお、好評につき早々に売り切れてしまった『はっぴいえんど』『風街ろまん』のアナログ盤だが、2024年1月下旬から再プレス
口コミで広がる自費出版の漫画「ROCA」 自費出版で作られた一冊の漫画が、Twitterを中心に口コミで広がり、朝日新聞やTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で取り上げられるなど、大きな話題になっている。いしいひさいちの「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」だ。 「ROCA」の物語は、地方の海辺の街(「ののちゃん」の舞台と予想されている岡山・玉野だと思われる)に住む女子高生の吉川ロカが、ポルトガルの大衆歌謡/民謡ファドの歌手を目指す、というもの。いしいらしいスカッとした諧謔や軽快さとともに4コマ形式で綴られるのは、ストリートでのライブを経たロカが才能を開花させていく歌手活動、彼女の愛らしいキャラクター、親友・柴島美乃とのつかず離れずの友情、街の人々とのあたたかい交流だ。ラストの数篇でたたみかけられる展開があまりにも切なく胸に迫り、じんわりと染み入る作品になっている。 「ROCA」はも
タワーレコード代表取締役社長・嶺脇育夫にひたすら好きなアイドルについて語ってもらう(不定期)連載。社長がひたすらに愛を傾けるさくら学院について熱弁を振るった渾身の初回が非常に好評をいただいていることに気を良くしたわれわれ、今回は社長が15年に渡って見続けている名門のハロー!プロジェクトについて訊いてまいりました! ハロプロ愛の歴史から、注目すべき研修生たちに巻き起こるドラマなど、奥深いハロプロの世界を教えてもらい、今回も流石の説得力に……お楽しみください! ――さくら学院へのピュアな父兄心が露わになった初回が非常に好評だったので、今回はやはりハロー!プロジェクトについて訊きたいなと思って来ました。いまさらかと思いますが、ハロプロのそもそものところから……。 「そこから行く? ハロプロ知らない人いる?」 ――あ、言い方を誤りました。ハロプロの紹介ではなく、嶺脇さんがハロプロにハマるようになっ
高橋幸宏が死去したと、本日1月15日に複数のメディアが報じている。70歳だった。その早すぎる死に、そしてこの世を去った音楽家の存在感の大きさに、言葉を失う。 高橋幸宏の死去は、1月14日に判明。亡くなった詳しい原因や実際の日時は伝えられていないが、静養を行っていた長野・軽井沢で年明けに肺炎を患っていたという。 高橋幸宏(以下、ユキヒロと書かせてもらう)は1952年生まれ、東京出身の音楽家だ。高校生だった頃からスタジオミュージシャンやサポートミュージシャンとしてドラムを叩いており、武蔵野美術大学に在学中、サディスティック・ミカ・バンドに誘われてメンバーになった。 ミカ・バンドは、デビューアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』(73年)、セカンドアルバム『黒船』(74年)、サードアルバム『HOT! MENU』(75年)などを残して解散。特にクリス・トーマスがプロデュースした『黒船』は日本の
70年代のドイツ・ロック・シーンを象徴するバンド、カンの全アルバムが2020年に再発されたことは、ここ日本で大きな話題になった。2021年4月には、それらの作品のストリーミング・サービスでの配信も解禁され、より多くのリスナーが彼らの音楽の魅力に触れることができるようになっている。 そんな好タイミングに、カンの伝説的なパフォーマンスを最先端の技術でよみがえらせる〈CAN:ライヴ・シリーズ〉が始動。その第1弾として、ライブ・アルバム『Live In Stuttgart 1975』が5月28日(金)にリリースされる。 今回Mikikiは、〈Jazz The New Chapter〉シリーズの監修者として知られる音楽評論家の柳樂光隆に、カンの音楽と『Live In Stuttgart 1975』での演奏を分析してもらった。〈フリー・ジャズ〉というキーワードから出発し、スタジオ・アルバムとは全く異な
ミシェル・ンデゲオチェロの新作『Ventriloquism』は、プリンスやTLC、シャーデーらの楽曲をカヴァーしたアルバムだ。 ここで取り上げられているのは主に85年から90年にかけて発表されたR&Bやヒップホップのヒット・ソングで、68年生まれのミシェルが10代後半から20代前半にかけて愛聴していたであろう楽曲たち。本作はいわば自身のルーツを明かしたような作品だが、そこはミシェル・ンデゲオチェロ、やはり一筋縄ではいかない。ソウル・ミュージック、ヒップホップ、ジャズとジャンルにとらわれないサウンドを提示してきた彼女らしい独自の折衷感覚、そしてシンガー・ソングライター的な作家性がどの曲にも溢れており、懐古的なムードは皆無、実にフレッシュなアルバムとなっている。 そんな『Ventriloquism』をきっかけに、「Jazz The New Chapter」シリーズの監修者としても知られる柳樂光
2016年7月12日、音楽ライターの南波一海が、新レーベル〈PENGUIN DISC〉の立ち上げを発表した。ミュージシャンから音楽ライターへ転身し、今年は初の単著「ヒロインたちのうた」(音楽出版社)を刊行。数々のメディアに登場するなど音楽ライターとしての地位をますます確固たるものにした感のある彼が、なぜいまレーベルを立ち上げたのか、そしてなぜ第1弾アーティストとしてハコイリ♡ムスメ、Peach sugar snow、RYUTist の3組を選んだのか――その心境を、プロインタヴュアーであり、南波と同じくアイドルを敬愛し続けてきた吉田豪が訊く! すごい面喰らってる ――今日は最初に、どうしても訊いておきたいことがあるんですよ。 「え、なんですか?」 ――先日、小林清美先生(K&Mミュージック代表であり、Peach sugar snowのプロデューサー)とのトーク・イヴェントで、南波さんがノー
〈下ネタのナポレオン〉を名乗り、パンイチ姿のパフォーマンスでライヴ・シーンを中心にカルトな支持を集めてきたスギムのソロ・ユニット、クリトリック・リスが活動10周年目のファースト・アルバム『あなたのあな』をリリースした。昨年には〈AOMORI ROCK FESTIVAL ’15〜夏の魔物〜〉や〈りんご音楽祭〉など人気野外フェスにも出演し、12月に行われた東京・渋谷WWWでのワンマン・ライヴはソールドアウト。ウルフルズやナンバーガール、相対性理論など数多の才能を発掘してきた名物プロデューサーの加茂啓太郎による大プッシュもあり、シュールでマッドな46歳はここにきてブレイクの兆しを見せている。 そこで今回は、プロインタヴュアーの吉田豪氏がクリトリック・リスに直撃! 前後編に分けて、クリトリック・リスの原体験を振り返りながら、社会人時代からアルバム・デビューに至るまでの半生に迫る。この前編では、不安
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