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ChatGPTなど生成AIの勃興もあり、AIのガバナンスや倫理的・法的な問題が盛んに議論されています。そのような中で、昨年度、東京大学公共政策大学院の社会人プログラムにおいて、AIの透明性に関する議論を整理し、一つの提案をまとめることができました。今回は、その概要を整理し、ChatGPTに関しても考察を加えてみます。 (論考の日本語本文はこちら・英語はこちら) 3行まとめ「AIアルゴリズムの透明性」について、体系的整理を行いながら、各国の規制とも平仄の合う開示項目のリストを整理しました 開示項目のリストといっても、裁量的かつ柔軟な運用が可能なように、事業者が使いやすいツールキット型で提案してみました 先行研究が示すところでは、ケース・バイ・ケースで最適な「透明性」のあり方は異なりそうです(特に面白いのは、透明性を高めたからといって信頼度が必ずしも高まるわけではないという示唆があること) 課
成田悠輔さんの『22世紀の民主主義』(以下「本書」)を拝読したので、その内容を咀嚼しながら、現実の民主主義の脆弱性に立ち向かおうとしている身として過渡期における「21.5世紀の民主主義」について、整理しておこうと思います。 ※私は成田悠輔さんとは面識がありますが、当記事は何らかの対価を得て執筆しているものではなく、PR目的のものでもありません。 1.民主主義はオワコンではない1−1. 民主主義の発展と弱体化動画メディア等ではラディカルな意見の述べられる著者だが、本書は冷静な分析を積み重ねられたうえで、「民主主義オワコンっぽくないか」と問題提起をしつつ、最終的には「無意識データ民主主義」という形態の提案をしており、民主主義自体を進化(あるいは深化)させようとしている。(余談だが、新書とは思えないほど多く論文や研究を引用しつつ、まさに新書らしい成田節がうまい具合にミックスしている点は良い読書体
総選挙の最後の週末を迎えるにあたって、ひょっとするとこれが最後になるかもしれないと思い、思い残すことのないように書いてみようと思いました。 『JAPAN CHOICE』という選挙向けのWebサービスの開発責任者をしているとんふぃと言います。「投票に必要な全ての情報が集まるプラットフォーム」を標榜して、これまで国政選挙のたびにコンテンツをアップデートして提供してきました。 僕一人で作ったわけではないので記事のタイトルは少しおこがましいのですが、発案者兼最終責任者としてこのサービスを運営しています。 すでに今回の衆院選版のJAPAN CHOICEも、まもなくユーザーが100万人を突破する見込みで、デモグラフィックデータから分析すると、10代、20代の投票者の約7%が使ってくれていることになります。 このように大きなWebサービスを、NPOという形式で、そしてエンジニアやデザイナー、シンクタンク
国立歴史民俗博物館で企画展示として開催されている『性差(ジェンダー)の日本史』展に行ってきました。結論、久々に感動を覚えるほど常識を揺るがされ、良質な不快感を生み出し、自らの不知を恥じ、また一歩、過去の囚われから解放される契機となったため、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと思い、扉までの案内人を務めたいと思います。 遠さの絶望は、心地よい違和感と向き合う時間に大変失礼ながら、私は電車の中吊り広告でこの企画展を知った10月初旬、こんな罰当たりなツイートをしていました。 『性差(ジェンダー)の日本史』という物凄い惹かれるテーマ展示の中吊り広告を見つけて、絶対行こうと思ったら、なんとこの国立歴史民俗博物館、都内の最寄駅(代々木)から約2時間…。流石にこれは足が重くなる…。Web展示とかVR展示してくれませんか(号泣) pic.twitter.com/V5CqNP2QuV — とんふぃ@スマニ
つい先日、サンフランシスコへの出張から帰国した際に、五輪直前の水際対策を身を持って知ることになったため、今後入国される方、あるいは海外からの入国の水際対策を気にかけている方のために記録しておこうと思います。 1.着陸してもすぐには降りられない無事に10時間半のフライトを終えたと思っても、着陸後すぐには降機できません。まずは国際線の乗り継ぎを行う乗客から順番に降りていき、日本が最終目的地になる乗客は最後となります。 2.降機後、人数確認が行われる飛行機から降りると、ソーシャルディスタンスを保つ形で、乗客名簿を見ながら人数確認が行われます。乗客数が合っているかを何度か確認した後、誘導に従ってPCR検査場へと向かいます。 3.PCR検査を待つ間、書類の確認PCR検査は同時に実施できる数が限られているため、写真のように椅子に座って待つことになります。この間、一人ひとり、誓約書の記載内容や陰性証明書
つい数日前、以下のツイートを見て、いわゆる「反ワクチン本」の一つがAmazon.co.jp(以下「Amazon」)のランキングから消え、取扱い自体がなくなったことを知りました。 内海聡の反医療・反ワクチン陰謀論の新著が日本の Amazon で書籍部門のベストセラー1位になっているのをどうにかしてほしいとアメリカの Amazon に訴えたところ、即日リストから削除され日本版 Amazon でも取り扱いが消えました!!日本もまだ見捨てられてなかったんだ😭🙏🏻✨ https://t.co/Dp7GGFXR2q — sekkai (@sekkai) June 19, 2021 sekkai氏は学生時代から付き合いのある、心から尊敬している友人の一人であり、彼の問題意識から出た行動が大きく社会を動かしたこと自体は称賛に値するものだと考えています。 しかし、法曹の端くれとしては、アマゾン社による
[追記: 2021年1月12日19時40分] AWSのメール文章とParler内でどのような投稿があったのかが米国で報道されているため、その点文末に追記しました。 [追記終了] トランプ支持者を始めとして多くの保守系のユーザーが利用していたParlerというSNSがGoogle, Appleのアプリストアから配信を停止させられ、さらにはAmazonからもウェブホスティングサービスの利用を停止させられたため、2020年1月10日現在、一切サービスを利用することはできなくなってしまいました。 6日に起きた国会議事堂での暴動に端を発して、TwitterやFacebookはトランプ大統領が引き続き違法な暴力を煽る危険性が高いとしてそのアカウントを永久停止しましたが、本件もそれに連なる同じ動きのように見られている節があります。当然ながら発端は同じですが、Parlerのサービス停止の根底にある問題は全
2020年12月31日になぜこんな記事を書きたくなったのか。 改めて考えると今年は、各国で新型コロナウイルスが蔓延し、上手く対応できている国とできていない国の「緊急事態時の政治レベル」の差が如実に現れた一年でした。権威主義的な国家が上手く強権的な管理を行いウイルスの封じ込めに成功した一方で、台湾やニュージーランド等の民主主義国家も同様に透明性の高い管理・規制によって被害を最小限に抑えています。(各国で異なる政策が取られた背景事情などは、別稿で論考を掲載しておりますので、ご興味ある方はそちらをご高覧ください。原文は英語ですが有志の方が日本語版も公開してくださっています。) また、米国大統領選挙で国家の分断がいかに共同体を破壊しうるかを文字通り体感した一年でもありました。 おそらく多くの方が感じていらっしゃると思います。「さすがに1億人で民主主義をするのには無理があるのではないか」と。渡米した
前回の記事ではUber EatsのLegal Designをご紹介したため、同じフードデリバリー業界で活躍する出前館、楽天デリバリー、dデリバリー、Wolt、menu、ChompyのLegal Designを考えてみようと思います。実は各社異なる戦略を取っており、様々なパターンがあるため、フードデリバリーに利用するユーザー、店舗、配達員の方々にはぜひ知っておいていただきたいなと思います。 (前回の記事は以下よりご高覧ください。) おさらい:Uber EatsのLegal Design~完全仲介型~ Uber EatsのLegal Designを簡単におさらいしておくと、Uber Eatsはユーザ/店舗/配達員のそれぞれの契約を仲介する情報プラットフォームの立場(上図の赤色矢印がUber Eatsを当事者とする契約を表します)となり、それぞれのマッチングを行い、手数料を取得するという設計にな
『パチンコ』(ミン・ジン・リー著、文藝春秋社)という小説を読みまして、大変良い読書体験をしたため、短い感想を記しておこうと思います。 この本は、米国在住の韓国系アメリカ人作家ミン・ジン・リーが30年以上構想を練り、書き上げた小説で、1910年の日韓併合から1980年代を生きた四世代に渡る在日コリアンの物語です。しかし、在日コリアンに関する記録や論考、議論に多数触れてきた私としては、正直内容そのものに惹かれて手に取ったわけではありませんでした。むしろ、オバマ前大統領がこの本を推薦していること、そして権威ある全米図書賞の最終候補になったことが、私の好奇心をかき立てました。 「なぜオバマ氏や米国の読書家らは、もう数十万人しか存在しない在日コリアンの物語に惹かれたのだろう」 そんなわけでこの本は、私のようなアイデンティティを持つ人間には必ず読んでおかなければならない本になりました。 多くの日本人に
Uber Eatsの配達員が起こした追突事故について、Uber Eats運営企業の日本法人が提訴されるというニュースがありました。この件に限らず、そもそもフードデリバリーというのはどのような契約関係のもとで成立しているのか。実はそのあり方は事業者によって異なるため、そのLegal Desginを図解してみます。 今回図解してみるのはフードデリバリー市場でシェアが圧倒的に高いUber Eatsです(2020年7月20日付MMD研究所調査)。業界2位の出前館も次回扱ってみようと思います。 追記:業界2位の出前館を始め、フードデリバリー業界の主要なプレイヤー(楽天デリバリー、dデリバリー、Wolt、menu、Chompy)のLegal Designも整理しました。よろしければ下記記事よりご高覧ください。 結論 結論から述べると、Uber Eatsは、ユーザと店舗、配達員の情報を掲載し、フードデリ
NTTドコモ提供の電子決済サービス「ドコモ口座」からの不正出金問題について、既に様々な専門家が問題点や防衛策を提示されていますが、アルゴリズム社会におけるプライバシーとセキュリティに強い関心を持つ法曹の身として、後学のためにも各プレイヤーの契約関係と本人確認手続に関する論点を整理してみたいと思います。 1.ドコモ口座の概要について「ドコモ口座」とは、公式サイト上では、「ネットやアプリ上で送金やお買い物ができるバーチャルなお財布です」と紹介されていますが、要するにオンラインで入出金、送金、決済が可能となるインターネットバンキング類似のサービスです(キャッシュレス決済サービスであると紹介する報道もありますが、「決済」のみに焦点を当てたサービスであると誤解を招き、本質を見誤ると考えますので、あえてこのように表現します)。 利用できるサービス内容は、通信キャリアがドコモか否かで異なり、公式サイトか
今週月曜日(6月29日)、東京高裁があるツイートの削除請求をめぐり、地裁判決を覆し、原告逆転敗訴(ツイートの削除を認めない)の判決を出しました。Twitterの検索で過去の逮捕歴が表示され、人格権が侵害されたため削除を求めるという原告の主張は、東京地裁では認められましたが、この控訴審によって削除が認められなくなったということです。(これ以降、今回のツイートの削除請求に関する事件を便宜上「Twitter事件」といいます。) 実はこの問題、日本の「忘れられる権利」を考えるにあたって、示唆深い論点が含まれているため、頭の整理としてここに記しておこうと思います。 (なお、この内容については、月曜日のアベプラでもかいつまんでお話ししたので、よろしければご高覧ください。ただ、私の説明が拙いため、本記事を読んでいただいてからの方が理解は深まるかと存じます。) 「忘れられる権利」とは 「忘れられる権利」と
『テラスハウス』に出演していた木村花さんが、SNS上での誹謗中傷を受けて自殺したのではないかとされる問題で、SNS上の誹謗中傷に社会がどう立ち向かうべきかが話題になっています。 与野党も迅速にこれに反応し、「憲法が保障する「表現の自由」に配慮しつつ、海外の事例を参考に、SNSのサービスを提供するプラットフォーマーと呼ばれるIT企業に一定の責任を課す方法や、誹謗中傷した人への罰則を設けるなど法整備も含めて検討する。」と調整に向かっていることが報じられています。 しかし、私にはどうも事の本質が追及されていないのではないか、そのせいで別の方向の解決策にたどり着いてしまうのではないかというモヤモヤ感を抱き、真正面から、まだあまり語られることのない新しい自由(あるいは権利)、すなわち「見たくないものを見ない自由」の保障について語ってみたいと思います。 そもそも論-既存の法律での解決策について憲法で保
【2020.05.12[21:34] 改正案の内容について整理表を追加しました。また勤務延長の読み替えへの言及がわかりにくいということでその点も整理表とともに説明を加えました。】 【2020.05.10[23:05] 附則について末尾に追記しました】 昨晩からものすごい勢いで、「#検察庁法改正案に抗議します」タグが伸び、ずっとトレンドに入っているのですが、法曹の端くれとしましては、正確に何に抗議をしているのかを確認したい。同時に、政府の考えも確認したい。 そういうわけで、端的ではありますが、いろいろな誤解を解くと同時に、できるだけ冷静に事の本質を考えてみたいとおもいます。 1.前提の認識共有①検察庁及び検察官には高度な独立性が必要 検察庁は行政府を構成する一組織であり、検察官は国家公務員です。 しかし、ご存知のとおり、検察官は政治家を含めて刑事訴追をする権限を持っており、したがって極めて高
いよいよ、新型コロナウィルス対策特措法に基づく緊急事態宣言が発令されます。 この宣言がされることにより、法的根拠に基づいて、国民に対し、不要不急の外出自粛要請が可能になります。 そして、対象地域として指定された都道府県の知事は、社会機能(特に医療機能)の崩壊を防ぐため、外出の自粛要請に加えて、学校や映画館、飲食店などの施設の使用停止や制限等の要請・指示、医薬品などの強制収用などが可能になります。 ここまではテンプレです。 みんなもう知っています。 基本的に、不要不急の外出自粛が「要請」に過ぎないことを。 だから、疑問が湧きます。 「法的拘束力のない自粛要請なんて…緊急事態宣言に何の意味があるの?」 「これまでも要請されてたんだから、何も変わらないでしょ?」 これは質問として大きな誤りです。 この緊急事態宣言にづく外出自粛要請に法的拘束力あるいは罰則がないことの本当の理由をお伝えさせてくださ
もう10年近く前のことになる。 ふと思い出して、誰かに聞いてほしかったので書いてみようと思った。 僕がまだ京都大学に通っていた頃の話である。ある週末の金曜日だったその日も附属図書館で勉強をしていて、時計台前のクスノキの方へ休憩がてら散歩しようと思った。 すると、時計台のあたりでキョロキョロと不安げに立ち往生しているおっさんがいた。 別に気にもとめなかったので通り過ぎようと思ったら、急におっさんに声をかけられた。 「ちょっとそこの君、伺いたいんだけどね、百周年記念会館っていうのはここで合ってるのかな?」 「あー、はい、ここですよ。でももう21時過ぎてるんで閉まってると思いますよ」 時間は21時を過ぎていた。 あとから思えば、21時を過ぎるのを待って僕に声を掛けたように思う。 「そりゃ困ったなぁ。いやね、実は大学の旧友の連絡先を知りたくって、同窓会窓口があるのがここだと聞いてやってきたんだが、
クリスマスのLegalACこんにちは、とんふぃです。 この記事は、裏法務系Advent Calendar 25日目の記事で、STORIA法律事務所の菱田昌義先生の大変学びの多い記事「これ絶対に言わないでくださいよ!企業法務のためのデジタル・ライフハック集」からのバトンとなります。(クリスマスに何してるねんというツッコミ、ありがとうございます!察してください!!) 今回は、リーガルテックの現在地、中でも私が関わりの深いLegalForce(私の所属する法律事務所ZeLoの創業者が同時に創業した会社です)が提供するサービスについてご紹介し、今後の法務の世界観を考える記事にできればと思っております。ただし、私は法律事務所ZeLoの弁護士として、LegalForceのヘビーユーザーではあるものの、開発に関わっているわけではないため、開発側の記事というよりは、ユーザー目線での感想にとどまってしまう点
参院選が終わり、色々とデータ分析をしていて、一つ気になったことがありました。「もし若者の投票率が上がっていたらどうなったのか」をシミュレーションしてみると面白いのではないかと。 そして興味本位で始めて見ると意外に地獄のようなExcel計算が多く(自治体ごとに集計されているものを集めたり…)、しかしやり始めた以上気になって仕方がないということでおそらく合計10時間近くは使って結論をはじき出しました。 とんでもない結果になったので、ぜひご笑覧ください。 定義・前提データ分析をする以上、語義を明確にしなくてはなりません。 本記事は次の用語は以下のとおりとしています。 ・若者:18歳~29歳の有権者 ・出口調査:共同通信が2019年7月21日に行った第25回参議院議員選挙に関する世論調査 まずは比例区①そもそも今回、若者の有権者は何人いたのか 10年に1度行われる国勢調査結果に従い(今年度分はまだ
司法試験が先月終わり、いよいよ就職が気になりはじめる方も多くなる時期かと思います。 すでに司法修習も折り返しに入っている時期ですので、72期の方は余計に。 Readyforにいらっしゃる弁護士の草原先生が「弁護士事務所の選び方」という素敵なエントリーを出されており、僕も良い機会ですので、少し珍しいキャリアを選んだ身として、考えをお伝えしたいと思います。 (なお、ちょうど同時期に就職活動をしていた妹にも同じ話をしていたため、弁護士のみならず、コンサルを含む一般的な就職活動にも繋がる内容だと考えています。) まだ存在しない事務所に就職を決めた僕は、特に企業法務がやりたい!という熱烈な思いがあったわけではないですが、70期の弁護士として、森・濱田松本法律事務所から独立した弁護士らが創設した法律事務所ZeLo・外国法共同事業に新卒で入所しました。 今でこそ、代表らが創業した株式会社LegalFor
僕は、平日弁護士として働く傍ら、空き時間を使って社会人や学生の仲間たちとNPO法人Mielkaという組織を運営しています。 今回はこのNPOが運営するWebサービスのマネタイズについて赤裸々に話してみようと思います。 Mielkaは「民主主義をアップデートする」をビジョンに掲げ、教育事業などを進めています。その中でも僕は、「データ、デザイン、テクノロジーを使った民主主義のアップデート」に関する事業を推進しています。 その事業の一つとして、参院選に向けて新たに「JAPAN CHOICE」というサービスを先日リリースしました。 このサービスでは、政治的中立の立場を堅持しながら、候補者比較、政党の政策比較、自分の思考と政党との一致度(投票ナビ)、与党の公約実現度、行政予算の使いみち、世論の動きなどを全て見ることができます。 前回のアメリカ大統領選挙をリサーチャーとして現地で経験した際、「日本には
オウム関係の受刑者の死刑が執行されました。 平成が終わる前に、この事件に一つのけじめがつけられたように感じます。 死刑は難しい問題です。 僕はもともと死刑廃止論者でした。 論点は多岐に渡ります。 <肯定派の論拠> ・犯罪抑止 ・応報刑罰 ・被害者、遺族感情 ・社会復帰後の再犯可能性 ・終身刑による国家負担の大きさ ・私人による仇討ちの抑制 <否定派の論拠> ・不可逆性(冤罪の可能性) ・殺人の肯定 ・国家による殺人を求める者の存在 ・死刑執行者への副作用 肯定派の論拠から見ていきます。 犯罪抑止に関しては、他罪とくらべて死刑が犯罪抑止効果を持つという科学的論拠がなく、また実証されていません。アメリカの研究者たちがかなりいろいろと「死刑は犯罪抑止に役立つんだ」論文を作ったりしたんですが、「主張の域を出ない」とされているのが実情です。 応報刑罰という視点についても、生命を奪うという行為が許され
※ネタバレ(物語の枝葉末節の部分がほとんどですが)がありますので,もし初回を純粋に楽しみたいという場合はここから先は見ないでください。(初回でも細かいことまで楽しみたいという方にとっては面白いと思います) 注意点・歴代ゴジラシリーズやエヴァからのパロディや継承は私自身が全く詳しくないので言及しません。 ・また,有名俳優がどこでチラッと出てくるのか等の演出の話も出てきません。基本的に政治,行政,組織的な話が中心です。 ・実はもっともっと専門的な話があるかと思うのですが,とりあえずは初心者(の私)も楽しめる程度の着目点に絞りきったつもりです。 では行きましょう・至る所で(特に開始から30分以内),政治家に対する官僚からのご説明シーンが多く見受けられます。総理大臣との会議の中で大臣の後ろについて逐一大臣たちにメモを渡す役人の方々と,そのメモをほしがる大臣たちがとってもキュート。 ・前半,各大臣や
こんにちは、とんふぃです。大統領選挙検証記事第三弾です。 ※第一弾:米大統領選挙で何が起きたのかを検証 ※第二弾:なんか様子が違う「敗者の弁」 1.「何に」負けたのかを考えるタイトルは文脈によって非常に誤解を招きやすいものかと思いますので、先に弁明させてください。今回、ヒラリー・クリントンは何に負けたのでしょうか。確実なことは、ヒラリーは「大統領選挙」には負けました。しかし、検証を開始し様々な論考、数字を見ていくと、ヒラリーは「制度」に負けたのではないかという感覚を持つようになりました。(追記:記事の後半に書きましたが、検証の結果これを否定しています。) トランプ大統領誕生後、特に日本のメディアや様々な個人投稿で、「エリートの政治に辟易していた有権者の怒りが勝った」、「欺瞞リベラルのおごりだ」、「白人社会の怒りがトランプの勝利を導いた」などの意見を多く拝見しました。それは一側面として正鵠を
大統領選挙での敗北が決まった翌日、支持者の集まった会場でヒラリー・クリントン氏がコンセッション・スピーチ(敗者の弁)を述べました。 私は前日の勝利演説の予定会場にいたのですが、開票が深夜に及び、結局その日は結果が確定しないということでヒラリー氏の演説を直接聞くことはできませんでした。そして翌日早朝、ヒラリー氏の敗北が決定し、改めてスピーチの場が設けられました。 現地メディアも日本メディアも、ヒラリー氏のコンセッション・スピーチを好意的に受け止め、その素晴らしさを世界中に発信しました。 私自身もオンラインでスピーチを拝見し、その力強いスピーチと垣間見える切なさに圧倒されていました、 ところが、振り返ってみると今回の「敗者の弁」は少し様子が違います。2000年以降の選挙のコンセッション・スピーチを振り返って記事を書いたことがあったのですが、それらに比べると明らかに何かが違いました。それを言語化
わかりきった結果に対する前置きを読むのも退屈でしょうし、変なバイアスをかけても仕方ありませんので、早速11月8日に起きたことを図と文章で列挙したいと思います。 ※この記事の画像は、NY Times,CNNとFiveThirtyEightのサービスを使用して作成しております。以下の出典以外に、直接出典を明記する場合があります。 出典: http://www.nytimes.com/elections/results/president http://www.cnn.com/election/results/exit-polls/national/president http://fivethirtyeight.com/live-blog/2016-election-results-coverage/ トランプ氏の勝利(確定) この選挙人獲得州の地図を見ていただくとわかる通り、ドナルド・トラン
皆さん、やっと最後のディベートが昨日終わりましたね。 今回が投票前の最後の討論会であり、劣勢に立つトランプ氏がどのような挽回を見せるのか(特に誰も期待していませんが)、これまでに語られていない論点が出てくるのか(これもそんなにですが)など色々と見どころはあったのかもしれませんが、正直に申し上げますと、とにかく視聴者としては最後まで国をこれ以上分断させないでくれ、吐き気の催す言動は控えてくれと願うばかりでした。 以下、さらにスライド形式で掲載させていただきます。がその前に、今回の質問ははじめに「最高裁判所」という少し専門的なお話が出てきます。事前に簡単な解説をしておきますので、もし不要な方は以下の文章は飛ばしてください。スライドの最後に今回も所感を載せております。 【大統領と最高裁判所について】 最初の質問で聞かれる「最高裁判事の指名」についてですが、アメリカは大統領が最高裁判事を指名します
アメリカ大統領選挙まで残り30日を切りました。いよいよ大詰めとなった選挙戦ですが、今回は第2回目の公開討論会でも話題となった「移民問題」について、国境付近のメキシコ側に住む方に率直な話を聞きました。 予習:アメリカの移民問題とは何よりもまずアメリカという国が向き合っている「移民問題」について、基本的な情報を抑えておきましょう。 2014年の統計(American Community Survey)によると、「移民の国」アメリカには、約4240万人の移民が居住しており、これは全人口の13.3%にあたります。そして、年間約130万人の新たな移民がアメリカにやってきています。新しい移民は、インド、中国、メキシコの順に多く、移民のうち46%はラテン系の方々です(従来「ヒスパニック系」と言われていた中南米系の人々が、スペイン語話者、ポルトガル語話者も含めて「ラティーノ」と称されている)。 このうち、
(本記事は選挙ドットコムへの寄稿記事をマガジン『ホラ吹き爺さん、嫌われ婆さん』に転載したものです。) 日本時間9月27日(火)に行われた公開討論会、アメリカ国民は4人に1人の割合にあたる8000万人が視聴していましたが、日本でもかなりの人が興味を持っていたそう。現地で取材している私としても大変モチベーションの上がる話題です。 さて、実は今回の公開討論会、様々な現地メディアが「Fact Check(事実確認)」という新しい形式の報道を行い、候補者の話した内容が事実かどうかを討論と同時にモニタリングしていました。確認できただけでも、NPR.orgやハフィントンポスト、PolitiFactなどのメディアが生放送中にFact Checkを行い、ヒラリー陣営の公式サイトもこれをしてたようです。 そこで、今回はあの公開討論会でトランプはどんな嘘をついたのか、NPR.orgで指摘された内容をまとめてみま
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