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tjo.hatenablog.com
追記(2017年7月) こちらのスキル要件ですが、2017年版を新たに書きましたので是非そちらをご覧ください。 「データサイエンティストというかデータ分析職に就くためのスキル要件」という話題が某所であったんですが、僕にとって馴染みのあるTokyoR界隈で実際に企業のデータ分析職で活躍している人たちのスキルを眺めてみるに、 みどりぼん程度の統計学の知識 はじパタ程度の機械学習の知識 RかPythonでコードが組める SQLが書ける というのが全員の最大公約数=下限ラインかなぁと。そんなわけで、ちょろっと色々与太話を書いてみます。なお僕の周りの半径5mに限った真実かもしれませんので、皆さん自身がどこかのデータサイエンティスト()募集に応募して蹴られたとしても何の保証もいたしかねますので悪しからず。 統計学の知識は「みどりぼん以上」 データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層
この記事は2年前の以下の記事のアップデートです。 前回はとりあえずデータサイエンティストというかデータ分析職一般としてのスキル要件として、「みどりぼん程度の統計学の知識」「はじパタ程度の機械学習の知識」「RかPythonでコードが組める」「SQLが書ける」という4点を挙げたのでした。 で、2年経ったらいよいよ統計分析メインのデータサイエンティスト(本物:及びその他の統計分析職)vs. 機械学習システム実装メインの機械学習エンジニアというキャリアの分岐が如実になってきた上に、各方面で技術革新・普及が進んで来たので、上記の過去記事のスキル要件のままでは対応できない状況になってきたように見受けられます。 そこで、今回の記事では「データサイエンティスト」*1「機械学習エンジニア」のそれぞれについて、現段階で僕が個人的に考える「最低限のスキル要件」をさっくり書いてみようかと思います。最初にそれらを書
(Photo credit: A Health Blog via Visual Hunt / CC BY-SA) 「人工知能」ブームが本格化してまだほんの数ヶ月だと思うんですが、気がついたらTV含む大手メディアが皆こぞって毎日のように「人工知能」を取り上げ、あまつさえ政府や与党の諮問会議でまで「人工知能」の語が飛び交う有様で、一体何をどうしたらこうなるのか僕には全く分かりません(汗)。 とは言え、実際にビジネスの現場でも「人工知能」への期待感が日に日に高まり続けているのは事実で、例えば友人知人の経営者との酒席でも「最近人工知能ってめっちゃくちゃ流行ってるじゃん、あれって実際どうなの?本当に役に立つの?今からでも人工知能事業に参入すべきなのかな?それとも俺たちあいつらに滅ぼされちゃうの?」みたいなことを聞かれることが多いんですよね。 ということで、そういう「人工知能」ブームに乗り遅れたけれど
追記 2016年3月に以下の記事によってこの内容はupdateされています。今後はそちらをお読み下さい。 主に自分向けのまとめという意味合いが強いんですが(笑)、僕が実際に2013年6月現在webデータ分析&データサイエンスの実務でツール・ライブラリ・パッケージを利用しているものに限って、統計学・機械学習系の分析手法を10個挙げて紹介してみようと思います。 追記 回帰分析(特に線形重回帰分析) 独立性の検定(カイ二乗検定・フィッシャーの正確確率検定) 主成分分析(PCA) / 因子分析 クラスタリング 決定木 / 回帰木 サポートベクターマシン(SVM) ロジスティック回帰 ランダムフォレスト アソシエーション分析(バスケット分析・相関ルール抽出) 計量時系列分析 おわりに おまけ1:「素性ベクトル+分類ラベル」なるデータ前処理 おまけ2:グラフ理論*10 {igraph}パッケージでグラ
(Photo via VisualHunt) 追記 2017年3月現在の最新書籍リストはこちらです。 最近になってまた色々とデータサイエンティストを目指す人向けのお薦め書籍リストとか資料リストとかが出てきてるんですが、個人的には何かと思うところがあるので僕も適当にまとめておきます。偏りありまくり、完全に主観で決めたリストなので文句が出まくるかと思いますが、もはや毎回のことなのでご容赦を。 なおこちらのリストはあくまでもビジネスの現場でデータ分析を生業にする(しようとしている)人たち向けのものであり、研究者含めたガチ勢の方々向けのものではありませんのでどうか悪しからずご了承下さい。 ちなみに毎回言ってますが、アフィリエイトは全くやっていないのでここに貼られたリンクを踏んで皆さんが購入されても僕の懐には一銭も入りません。拙著だけはそもそも例外ですが(笑)。*1 初級者向け5冊 一応初級者向けと
機械学習のエッセンス -実装しながら学ぶPython,数学,アルゴリズム- (Machine Learning) 作者: 加藤公一出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2018/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る発売されてからだいぶ経ちますが、構想段階の頃より著者の「はむかず」さんこと加藤公一さんからお話を伺っていて注目していたこちらの一冊をようやく一通り読みましたので、サクッと書評めいた何かを書いてみようかと思います。 各章の概要 言うまでもなく実際の内容は皆様ご自身でお読みいただきたいのですが、これまでの書評記事同様に概要を簡単にまとめておきます。 第01章 学習を始める前に Python環境やAnacondaのインストールについての説明もなされているんですが、重要なのは後述する「本書は何を含まないか」という節。ここに本書の狙いの全てが書かれていると言って
(Photo credit: https://pixabay.com/en/books-door-entrance-italy-colors-1655783/) この記事は一昨年のこの書籍紹介記事のアップデート版です。 相変わらず毎月のように新刊書が出続けるデータ分析業界ですが、良い本が増え続けてきたせいでついに初級者向けは6冊、中級者向けは何と15冊にまで膨れ上がってしまいました(汗)。ともあれ、自分のところにアフィリエイトの類は一銭も入らないにもかかわらず*1懲りずに書籍紹介をやろうと思います。 あ、最初に断っておきますが僕の知識レベルは極めて適当なので、極めていい加減なことを書いている可能性があります。また最初に読んでから時間が経っていて記憶があやふやなせいで、内容に関する記述が不正確な書評が混じっている可能性もあります。誤っているところやおかしいところがあったらバンバン突っ込んでく
以前こんな記事を書いたことがあります。 「社員全員Excel経営」で名高い、ワークマン社のサクセスストーリーを論評したものです。2012年にCIOに就任した土屋哲雄常務のリーダーシップのもと、取引データの完全電子化を皮切りに「全社員がExcelを使いこなして数字とデータで経営する」戦略へと移行し、社内のExcelデータ分析資格を一定以上取得しないと管理職に昇進できないとか、はたまた幹部クラスの企画・経営会議ではデータに基づかない議論や提案は相手にすらされないとか、「Excelを社員全員が使えるようになるだけでもここまで企業カルチャーは変わり得るのか」という事例のオンパレードで、関連記事や書籍を読んでいて舌を巻いたのを覚えています。まさしく「ワークマンのすごいデータ活用」だったのです。 一方、個人的に強く印象を受けたのが土屋常務が様々なところでコメントしていた「我が社には突出したデータサイエ
データサイエンティストブームが去りつつある一方で、データ分析ブームそのものはじわじわと広がり続けている感じのする昨今ですが。最近また、色々なところで「本当にビジネスやるのに統計学って必要なの?」みたいな話題を聞くことが増えてきたので、何となくざっくりまとめて書いてみました。 ちなみに今回の話題の参考図書を挙げようと思ったら、この辺ですかね。 とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) ―データ分析のはじめかた― 作者: 石田基広,りんと出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2013/09/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 統計学入門 (基礎統計学) 作者: 東京大学教養学部統計学教室出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1991/07/09メディア: 単行本購入: 158人 クリック: 3,604回この商品を含むブログ (78件) を見る 本当は赤
(Image by Pixabay) この記事は以前の書籍リスト記事のアップデートです。 機械学習エンジニアやデータサイエンティストとして(もしくはそうではない職名であったとしても)機械学習システム開発や統計分析を仕事にしたい人なら、最低限これだけは読んでおいて損はないだろうという書籍を初級向け5冊、中級向け10冊選定しています。ただし、以前とは若干異なり「仕事にする」イコール「プロフェッショナルを目指す」ということで、特に初級向けリストを若干レベルアップさせています。中には初学者でも結構読みこなすのが難しい本だけになっているかもしれませんが、中級向けリストに進む上でどうしてもこれだけは読破して欲しいという願望も込めました、ということで。 完全にお馴染みのネタなので特に説明することはないかと思いますが、言うまでもなく以下のリストは完全なる僕個人の独断と偏見で、最近出版されたり自分で読んだ本
何かこんなメディア記事が出ていたようです。 これを読んで色々な人がツッコミを入れまくっている模様ですが、この記事の不思議なところは「完全に間違った説明というわけでもないのに何故か(両分野に詳しい)誰が読んでも猛烈な違和感を覚える」ところなんじゃないかなぁと。 正直、これはライター・インタビュアー・コメンテーター・編集者の誰のせいなのかは全く分からないんですが、ツッコミ入れられまくっている内容について色々あげつらってもあまり建設的でないので、ここでは記事中で本題として取り上げられている「統計学と機械学習の違い」についてちょっとコメントしてみようと思います。 あ、もちろん僕がこれから書くコメントも別に正しいとは全く限らないので、おかしいところや間違ってるところがあったらバンバン突っ込んでいただければ幸いです*1。そしてガチ勢向けのコメントでもないので何卒悪しからず。 統計学はデータを「説明」す
以前から同様の指摘は様々な分野から様々な人々が様々な形で出してきていましたが、アメリカ統計学会が以下のような明示的な声明をこの3月7日(現地時間)に発表したということで注目を集めているようです。 AMERICAN STATISTICAL ASSOCIATION RELEASES STATEMENT ON STATISTICAL SIGNIFICANCE AND P-VALUES Provides Principles to Improve the Conduct and Interpretation of Quantitative Science https://www.amstat.org/newsroom/pressreleases/P-ValueStatement.pdf The ASA's statement on p-values: context, process, and p
(『IT Text 自然語処理の基礎』より) 3ヶ月ほど前に空前のLLMブームについて概観する記事を書きましたが、それ以降も世間のLLMに対する狂騒ぶりは収まるどころかますます拍車がかかるという有様で、あまつさえ僕自身の仕事における日常業務にもじわじわと影響が及びつつあり、今後も良きにつけ悪しきにつけLLMと共生し続ける必要がありそうだと感じている今日この頃です。 そんな猫も杓子もLLMに群がるが如き空前のブームを受けて、エンジニアやデータ分析職の方々の中には「LLMに興味はあるんだけど世の中にあまりにも多くのLLM関連コンテンツが溢れ返っていて何から手をつけたら良いのか分からない」という向きもあるように見受けられます。そこで、僕も断じてLLM以下生成AIの専門家などではないのですが、個人的に「このテキストを読めばLLM時代を生き抜くことが出来そうだ」と感じた書籍を、全くの独断と偏見で3冊
先日、とあるコンサルの社長さんとお酒を飲みながらお話していて出てきた話題が「畢竟データ分析って何の役に立つんだろう?」というものだったんですが、そこで僕が思い出して紹介したのが「獺祭」で世界進出を成功させている旭酒造のエピソードだったのでした。 ということで、その事例を振り返りながら久しぶりにちょっと与太話でもしようと思います。 http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20140116.html ちなみに上ははてブでも大きな話題を呼んだ東洋経済の特集記事ですが、僕にとってはテレ東カンブリア宮殿で紹介された時の映像の方が遥かに衝撃的でした。 「獺祭」は杜氏でも何でもない普通の社員が、データに基づいて一挙手一投足を決めながら仕込んでいる 東洋経済の記事では割とざっくりとしか書かれてないんですが、カンブリア宮殿で放映された映像では獺祭の製造工程の
しばらく前にこんな記事が出ていたのをお見かけしました。 明らかにこれは僕が某所(笑)で適当に放言したことがきっかけで巻き起こった議論の一旦なのではないかと思うのですが、個人的にはこちらの@yohei_kikutaさんの仰る通りで大体良いのではないかと考えております。 なのですが、言い出しっぺらしき身としてはもうちょっと何か具体的な話を書いた方が良いのかな?とも思いましたので、常々公言しているように数学が大の苦手な身ながらどの分野のどのレベルの数学が機械学習をやっていく上で必要なのかという点について戯言だらけの駄文を書いてみることにします。 深層学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ) 作者: 岡谷貴之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/04/08メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (13件) を見るちなみに、以下に並べる戯言は深層学習青本から得られた知識を
5ヶ月前に書いた記事がだいぶ陳腐化してきた*1気がするので、それ以降出版された書籍や、他にも学術的知識を得るだけでなく「データサイエンティストとして働く上で必要なスキル」について書かれた書籍などを加えて、「2013年秋版」の10冊をチョイスしてみました。 これはあくまでも「データサイエンティストを目指す上で必要な素地が既にある程度備わっている人」向けのスタートアップとしての10冊です。実際にはこの10冊では知識が足りなくなる場面の方が多いので、その場合は適宜発展的な書籍に当たってどんどん独習していくことをお薦めします。逆に、本当にゼロからスタートする初学者の人にはこれでもかなり辛いかもなので、今回は見なかったことにしてください、ということで。。。 そうそう、相変わらずですが僕個人はアフィリエイトやってないので、こちらのリンクから書籍を購入されても儲かるのは僕ではなくはてなです(笑)。 (※
今日何気なく呟いたツイートが、見ていたら結構RT&favされていた模様で。 社会人が統計学とか機械学習を独習するには、いわゆる「落下傘方式」が良いと思う。必要な時にその項目だけ学んで実践する。その繰り返しで学問体系のマス目が埋まっていけば良し。あと、初めに体系立ったテキストを分からなくても良いので通読するのも良し。だいたいの地図が頭に入る。— TJO (@TJO_datasci) 2014, 3月 31 この後も色々補足で呟いたんですが、せっかくなので簡単にまとめたものを書いてみました。これから社会人で統計学や機械学習を学ぼうと考えている人の参考になれば嬉しいです。 あ、これはベタな言い方をすれば「データサイエンティスト(死語)になるにはどうしたら良いか」にもつながる話なんですが、ここではもっと広く「統計学や機械学習を使う仕事をしたいと思ったらどう独習するべきか」という話にしておこうと思い
先日、Quora日本語版でこんなやり取りがありました。 基本的にはここで述べた通りの話なのですが、折角なのでブログの方でも記事としてちょっとまとめておこうと思います。題して「何故データサイエンティストになりたかったら、きちんと体系立てて学ばなければならないのか」というお話です。 問題意識としては毎回引き合いに出しているこちらの過去記事で論じられているような「ワナビーデータサイエンティスト」たちをどう導くべきかという議論が以前から各所であり、それらを念頭に置いています。なお毎度のことで恐縮ですが、僕も基本的には独学一本の素人ですので以下の記述に誤りや説明不足の点などあればご指摘くださると幸いです。 一般的なソフトウェア開発と、統計分析や機械学習との違い 統計分析や機械学習を仕事にするなら、その「振る舞い」を体系立てて学ぶ必要がある きちんと体系立てて学ばなかった結果として陥りがちな罠 余談
(Image by Pixaby) この記事は去年はてブ1100以上ついてしまった与太記事の続編です。その時はタイトルを読んで字の如く「データサイエンティスト」と「機械学習エンジニア」の満たすべきスキル要件(の2017年版)について考察したものでした。 で、まだ1年しか経ってないのに何でまた引き合いに出したのかというと、最近のメディア報道やニュースリリースの類などを見ていると「データサイエンティストにディープラーニングをやらせる」とか「高度な統計分析のできるエンジニアが必要」みたいなどう見ても色々混同している感のある内容が目に付くので、改めてちょっと自己流に交通整理してみようかなと思ったのでした。 特に、空前の人工知能ブームで「人工知能」の語が人口に膾炙すると同時に2014年頃にブームが終わったはずの「データサイエンティスト」の語が何故か復権してしまい、そこら中のメディアでかつて空回りした
追記2 2015年末の時点での最新リストはこちらです。 追記 この記事の5カ月後にもう少し更新した内容の「お薦め本リスト」記事を2つupしてますのでそちらもお読みください。 2013年秋版:データサイエンティストを目指すなら揃えておくべき10冊 - 六本木で働くデータサイエンティストのブログ 2013年秋版:データ分析初心者にお薦めする「基礎を本当にゼロから学ぶ」ためのテキスト5冊 - 六本木で働くデータサイエンティストのブログ 今回は、僕が実際に自然科学の研究者からデータサイエンティストへと転身するに当たって、いつも脇に置いていたテキストや同僚が参考にしていたテキストをまとめて紹介します。 ※以下僕も持っているものには「*」を打ってあります*1*2*3 統計学 統計学入門 (基礎統計学) 作者: 東京大学教養学部統計学教室出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1991/07/09メ
こちらの本をご恵贈いただきました。 ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ 作者: 加嵜長門,田宮直人出版社/メーカー: マイナビ出版発売日: 2017/03/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 一般的なSQLの本というのはDB管理の一環としてのインフラエンジニア向けの技術書であることが多く、意外にもデータ分析を主目的としたSQLの使い方やクエリの工夫の仕方について書かれた本というのはあまり多くないんですよね。故に、多くのデータ分析者は難解なテーマを実現するクエリを書きたくても参考になる資料が乏しく、途方に暮れるわけです。僕もHive / Redshift / BigQueryのクエリを書きながら「こんな分析がしたいんだけど、それを実現できるクエリってないよなぁ。。。」と何度天を仰いだことか。 そんなところに突然降って湧いてきたのがこちらの新刊書。もう目次を見ただ
(Image by Pixabay) 最近になって、こんな素晴らしい資料が公開されていたことを知りました。 この資料自体は著者のMoe Uchiikeさんが東大での講義に用いられたものだとのことですが、その内容の汎用性の高さから「これは全ての機械学習や統計学を実務で用いる人々が必ず読むべきドキュメント」と言っても過言ではないと思われます。 正直言ってこの資料の完成度が高過ぎるのでこんなところで僕がああだこうだ論じるまでもないと思うので、内容の詳細については皆さんご自身でまずは上記リンクから精読していただければと思います。その上で、今回の記事では「機械学習や統計学を『社会実装』する」ということがどういうことなのかについて、この資料を下敷きとした上でさらに僕自身の経験や見聞を加えて考察したことを綴ってみます。 機械学習や統計学と、社会との「ギャップ」 機械学習や統計学を、社会に「馴染ませる」
今回の記事では、ちょっと感覚的でふわっとした話をしようと思います。それは「『仮説ドリブン』という考え方には往々にして落とし穴があるのではないか?」という問題提起です。 そもそも、「仮説ドリブン」(仮説駆動型:hypothesis-driven)というアプローチは実験科学分野出身の我が身にとっては、個人的には馴染み深いものです。まだ僕がポスドクだった頃、国際会議に際して日本人研究者同士で集まる会が毎回あったのですが、その席上でお話を聞く機会があった当時のトップ研究者の先生から「この世の森羅万象は網羅しようとするにはあまりにも広大過ぎる、故に森羅万象を区切って『仮説で白黒つけられる範囲』に絞り、これを検証するということを繰り返して前に進むべき」ということを聞かされ、感銘を受けたのを覚えています。 実際、仮説ドリブンの考え方は非常に有用なものであり、今現在僕自身が主戦場とする広告・マーケティング
(Image by Pixabay) 「データサイエンティスト」の第一次ブーム勃興から6年余り、人工知能ブームに便乗した第二次ブームで人口に膾炙してから3年余り、気が付いたら何やかんや言われながらもデータサイエンティスト及びその類似職が、じわじわと日本国内の産業各分野・企業各社に広まりつつあるように僕の目には映ります。 そういう背景がある中で、ここ1年ぐらいの間にそこかしこで目立つようになってきたのが「ゼロからデータサイエンティストを育てたいのだがどうしたら良いか」という相談や議論。割とあるあるなのが「取引先がデータサイエンティストを採用して商談の席に同席させるようになって、彼らがデータサイエンスの知識を駆使してビシバシ突っ込んでくるのだが、こちらにデータサイエンティストがいないので対応できない」みたいなお話。これは実はUSでも同様だと聞くので*1、案外洋の東西を問わない課題なのかもしれま
(Image by wal_172619 from Pixabay) 去年で恒例の推薦書籍リストの更新は一旦終了したつもりだったんですが、記事を公開して以降に「これは新たにリスト入りさせないわけにはいかない!」という書籍が幾つも現れる事態になりましたので、前言撤回して今年も推薦書籍リストを公開しようと思います。 初級向け6冊 実務総論 データサイエンス総論 R・Pythonによるデータ分析プログラミング 統計学 機械学習 中級向け8冊 統計学 機械学習 テーマ別15冊 回帰モデル PRML 機械学習の実践 Deep Learning / NN 統計的因果推論 ベイズ統計学 時系列分析 グラフ・ネットワーク分析 データ基盤 コメントや補足説明など 完全なる余談 初級向け6冊 今回は新たに加わったテキストがあります。 実務総論 AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出
(Image by Pixabay) 某所でバズっていたこの記事ですが。 もう読んだ瞬間に「うわー、これ完全に洋の東西を問わずデータ分析業界だとどこでも見られる、業界つらみあるあるだなー」という感が湧いてきて、こみ上げてくる涙が押さえきれませんでした(嘘)。という軽口はさておき、実際にほぼ同じ内容の愚痴をUSでデータサイエンティストとして働いていた知人からも直に聞いたことがあるので、個人的にもかなり説得力のある話だなと思いました。 この記事の若干嫌なところは「データサイエンティストたちはいつでも転職活動をしている、何故ならどこの職場に行っても以下のつらみがあるからだ」という書き方をしている点。いや、データサイエンティスト含むデータ分析職が全員常に転職活動しているかというとさすがに違うだろうと思いますが、「それくらいつらいんですマジ勘弁して下さい」と言われたら頷かざるを得ないのもまた事実かな
(Image by Pixabay) この記事は以下のオススメ書籍リスト記事のアップデートです。 毎回の断り書きで恐縮ですが、この記事では「データサイエンティストや機械学習エンジニアなどデータ分析の実務の専門家として」*1機械学習や統計分析を手掛けていきたいという、主に初級ないし中級ぐらいのスキルレベルの人たちにお薦めしたい書籍を、初級向け5冊・中級向け8冊及び細かいテーマ別に11冊、それぞれ挙げていきます。スタンスとしては相変わらず「当座の最終到達点を『中級』に置いた時に最初に読んで内容をマスターしておくべき書籍」を初級に置いているので、世の中のこの手のお薦め書籍リストに比べると若干ハードな内容のものが初級向けに多いかもしれません。 後はちょっと気が早いかもしれませんが、機械学習パートに関しては「AutoML時代にあっても実務の専門家であれば知っておくべき知識」を収めた書籍を選んでおきま
(Image by Wokandapix from Pixabay) 個人的な観測範囲での話ですが、データサイエンティストという職業は「21世紀で最もセクシーな職業」として刹那的な注目を集めた第一次ブーム、人工知能ブームに煽られて火がついた第二次ブーム、そして「未経験から3ヶ月で人生逆転」ムーブメントと折からのDXブームに煽られる形で沸き起こった第三次ブームを経て、何だかんだで社会に定着してきた感があります。 で、このブログを始めた頃からの連綿と続くテーマになっていますが、いつの時代も話題になるのが「データサイエンティスト(になるに)は何を勉強すべきか」ということ。7年前から恒例にしてきた「スキル要件」記事では、基本的には「どれも必要な知識(学識)」であるという前提で分野・領域・項目を挙げてきました。少なくとも、最初の3回ぐらいはそういう認識でスキル要件記事を書いていた気がします。 ところ
標準 ベイズ統計学 朝倉書店Amazon 発刊当時に話題になっていた『標準ベイズ統計学』。実は訳者のお一人、菅澤翔之助さんからオフィス宛てでご恵贈いただいていたのですが、親父の没後処理やら自分のDVTやら実家の片付けやらで全く手が回らずオフィスに置いたままにしてしまっていたのでした。で、この度改めて拝読してみたら「何故もっと早く読まなかったんだ」と後悔するくらいあまりにも内容が素晴らしかったので、遅まきながら書評記事を書こうと思い立った次第です。 ベイズ統計学というと、殆ど詳しくない人だと「ベイズの定理以外に何があるの?」という印象ぐらいしかないかもしれませんし、一方でとりあえず技法としてやり方だけ覚えてしまった人だと「とりあえずMCMC回せばいいんだよね?」みたいな雑な理解になってしまうかもしれません。いずれにせよこれまで邦書ではベイズ統計学というと超初歩か実装重視かの二択が多かったせい
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