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原油価格下落による貿易・財政収支悪化がルーブル安に ロシアの通貨ルーブルの下落基調が続いている。昨年6月には1ドル60ルーブル台であったが、足元では80ルーブル台で推移している。2023年2月のウクライナ戦争開始直後に、ルーブルは対ドルで一時50%近くも急落したが、その後、政策金利を20%にまで引き上げる中央銀行の大幅利上げ策や、輸出企業にドルを中心に外貨の強制両替を一時的に義務付けるといった措置をとったことでルーブルの価値は持ち直し、昨年6月には戦争開始直前よりも逆に40%程度高くなっていた。 ルーブルの価値が再び下落に転じるきっかけとなったのは、世界市場での原油価格の下落だ。それは、ロシアのエネルギー輸出収入を減少させ、さらにエネルギー輸出収入に歳入の4分の1以上を依存する連邦政府の財政赤字を拡大させた。対外収支の悪化とそれに連動した財政収支の悪化が、一貫した通貨の下落を生じさせている
マイナス金利早期解除の期待は萎む 植田総裁のもとでも、日本銀行は直ぐには政策を見直さない、との見方が金融市場で強まっている。それが、為替市場で円安圧力を生み、株価の押し上げにも大いに寄与している。 国債市場で政策金利(短期金利)の先行きの見通しを反映する傾向が強い2年国債の利回りは、昨年12月に日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の変動幅引き上げを突如発表したことを受けて急上昇し、年末時点では0%を上回った。政策金利(短期金利)の早期引き上げの可能性を織り込んだのである。 2年国債の利回りは、年末から年初のピークで+0.04%まで上昇したが、足元では-0.07%程度と昨年10月頃の水準まで低下している。早期のマイナス金利解除への期待は萎んでしまったのである。 マイナス金利解除など、日本銀行が過去10年続いた異次元緩和の「枠組みの見直し」に本格的に着手するのは、まだ先のことだろう
概要 OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPTは、公開2か月で世界のユーザー数が1億人に達するほど急速に拡大している。Openai.comへのアクセス数を見ると、日本からのアクセス数は4月中旬に746万/日に達し、トラフィックシェアは、米国、インドに次いで3番目に多い。 野村総合研究所(NRI)は2023年4月15~16日にかけて、関東に住む15~69歳を対象にネットアンケート調査を行った。それによると、回答者の61.3%がChatGPTを認知し、12.1%が実際に利用したことがある。性別の利用率を見ると、男性17.7%、女性6.2%で男性の利用率が圧倒的に高く、特に男性10代~30代では利用率20%を超えている。 職業別では、大学生・大学院生・専門学生(21.6%)、教職員(20.5%)と教育関係者の利用率が最も高く、会社役員(17.2%)、会社員(16.7%)の利用率が
実質賃金は12か月連続で低下 厚生労働省が5月23日に発表した3月分毎月勤労統計(確報)によると、現金給与総額は前年同月比+1.3%(前月は同+0.8%)となった。変動の激しい所定外給与(残業代)やボーナスなど一時金を含まない所定内給与は、同+0.5%(前月は同+0.8%)となった。 さらに、現金給与総額を消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)で割った実質賃金は、前年同月比-2.3%と大幅な低下となった。実質賃金が低下したのは、これで12か月連続である。ちなみに、2022年度の実質賃金は前年度比-1.8%と2年ぶりのマイナスとなった。 春闘での賃上げ率は予想外に上振れたが、それが本格的に賃金統計に表れてくるのはこれからである。それでも、実質賃金が前年比で上昇に転じるまでにはまだかなり時間がかかるだろう。 安定した推移を見せる所定内賃金上昇率は、春闘のベアと比較的近い動きを過去に示してきた
コアCPIの前年比は再び反転 総務省は19日に、4月分の消費者物価統計を発表した。コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+3.4%と3月の同+3.1%から上昇した。政府の物価高対策の影響で2月のコアCPIは前年比+3.1%と1月の同+4.2%からいったん大きく下落したが、また上昇傾向に転じてきている。6月には再び4%台に乗せる可能性がある。 4月のコアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は前年同月比+4.1%となり、前年比の上昇傾向は過去1年間続いている。政策効果の影響を除く基調的な物価上昇率には、なお鈍化の兆しが明確に見られていない。 4月のコアCPIの前年比は3月と比べて0.3%ポイント上昇したが、これは生鮮食品を除く食料の寄与+0.18%ポイント、宿泊料の同+0.08%ポイントでほぼ説明できる。 食料品価格の値上げの動きはなお続いており、鶏卵の前年同月比+33.7%、ハンバーガー(
デフォルトの「Xデー」は6月1日にも 米国政府債務が31兆4,000億ドルの法定上限に達し、議会で上限の引き上げや適用停止を決めなければ、政府がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」が近づいてきた。物価高騰、景気減速リスク、さらに銀行不安に直面している米国金融市場に、さらなる不安定要素が重なってきたのである。返済能力には問題がないテクニカル・デフォルトであるとはいえ、仮に米国政府がひとたびデフォルトに陥れば、世界の金融市場を大きく揺るがす事態となることは必至である。 イエレン財務長官は共和党のマッカーシー下院議長への書簡で、「最近の連邦政府の税収を検証した結果、6月上旬までに政府債務のすべてを履行することは不可能になる見通しが強まった。デフォルトは6月1日にも訪れる可能性がある」と指摘した。 イエレン財務長官は今年1月19日に、マッカーシー議長宛ての書簡で、政府債務が法定上限に到達したこ
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 中国からの入国加速で今夏にも外国人観光客数はコロナ前の水準に:2023年インバウンド需要推計は5.9兆円:供給制約解消が喫緊の課題に 日本政府観光局は4月19日に、桜のシーズンとなった3月分の訪日外客数を発表した。それは、2月分を34.2万人上回る181万7,500人となり、コロナ前の2019年同月比で-34.2%と、2月のー43.4%を大きく上回るものとなった。 昨年10月の水際対策緩和をきっかけに、訪日外客数は急増した。今年2月には増加ペースが鈍り、当初の急増局面は一巡したかのように見えたが、3月には再び増加ペースが予想外に高まったのである。 コロナ前の2019年には訪日外客数の3割を占め、国別で最大であった中国からの入国者数が低位に留まる中にもかかわらず、わずか半年で2019年同月比7割近くまで入国者数が戻ったことは予想外であ
AT1債無価値化で崩れた神話 3月にスイス金融大手のクレディ・スイスがライバルのUBSに買収される際、170億ドル(約2兆2,600億円)相当のクレディ・スイスのAT1債(その他AT1債)が無価値化されたことは、世界の投資家、金融市場に大きな衝撃を与えた。 大手金融機関が発行するAT1債は、普通社債よりも金利が高い一方でリスクは低い安全商品と考えられ、低金利環境下で積極的に購入されてきた。クレディ・スイスのAT1債無価値化によってそうした神話が崩れたため、AT1債の金利は一気に跳ね上がり、プレミアムが乗ってしまったのである。 さらに、クレディ・スイスの買収では、同社の株式は無価値とならない中で、AT1債が無価値になるという異例の決定が行われた。株式と債券の弁済順位が逆転するという意味で大きなサプライズであり、これについても、弁済順位は必ず守られるという神話が崩れたと言えるのではないか。 A
合成の誤謬で銀行不安の複合型第2ラウンドか 米銀の破綻をきっかけに強まった銀行不安は、ひとまず落ち着きを取り戻しつつある。しかし、銀行不安が生じる原因の一つとなった米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、まだ続いている。 FRBが強く否定する中でも金融市場は今年後半の利下げを予想しているが、その期待が修正されれば長期金利は再び上昇し、米銀の債券含み損をさらに膨らませる。それは、銀行の自己資本をさらに毀損させるとの懸念から、銀行不安を再燃させる可能性がある。 さらに、米銀は、自己資本比率を高めて経営を安定化させるため、同比率の分母となるリスク資産の貸出債権を抑制し始めている。これは一種のクレジットクランチ(信用収縮)であり、それが、企業や家計の資金調達を制約することで、経済全体に悪影響が及ぶだろう(コラム「貸出抑制が招く米国の銀行不安第2ラウンド:債券含み損が実質的に自己資本を毀損」、20
量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピュータ(古典コンピュータ)では容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができるコンピュータ 量子コンピュータとは、「量子重ね合わせ」や「量子もつれ」といった量子力学の現象を利用して並列計算を実現するコンピュータです。従来型のコンピュータでは答えの導出に膨大な時間を要する問題でも、量子コンピュータでは短い時間で解けるようになる可能性があるため、さまざまな分野での活用が期待されています。 量子ゲート方式と量子アニーリング方式 量子コンピュータは問題を解く方法の違いにより、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の大きく2つに分類されます。 量子ゲート方式は、量子状態にある素子の振る舞いや組み合わせで計算回路を作り、問題を解いていきます。超電導やイオントラップ、トポロジカルなど様々な実現手法が提案されています。従来型のコンピュータの上位
トヨタは2年連続で早期の満額回答 トヨタ自動車(トヨタ)と本田技研工業(ホンダ)は2月22日、2023年春闘での賃上げや年間一時金(ボーナス)について労働組合の要求に満額回答した。トヨタの労働組合は、1人平均の賃上げ要求額は過去20年で最高水準だ、と説明していた。トヨタの満額回答は3年連続のことであり、また、3月の集中回答日を待たずに決着したのは2年連続となる。 トヨタの賃上げは、自動車業界のみならず産業界全体の事実上のベンチマーク(基準)になっていることから、中小企業を含む業界全体や他産業の賃上げを促す効果が期待されるところだ。 政府は3月に「政労使会議」を開催 岸田政権は、物価上昇を上回る賃上げを目標に掲げている。その実現に向けて政府は、経済界、労働団体の代表らと協議する「政労使会議」を3月に開く方針だ。大企業の集中回答日は3月15日であるが、その前の3月上旬にも政労使会議を開き、大企
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本臣吾、以下「NRI」)は、2021年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を、各種統計などから推計しました(本推計は2005年以降継続的に実施)。また、2022年11月には、将来の富裕層候補の一つである全国の現役起業家および起業家予備軍を対象に、「NRIスタートアップ起業経験調査」を実施しました(有効回答949名、うち現役起業家が354名、起業家予備軍が595名)。 主な推計結果と調査結果は、以下のとおりです。 富裕層・超富裕層の世帯数は、2005年以降の最多に 預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。結果は
GPT-3は、2020年7月にOpenAIが発表した高性能な言語モデル。OpenAIは、Transformerと呼ばれる深層学習の手法を用いた言語モデルGPT(2018年)、GPT-2(2019年)を発表しており、GPT-3はその後継の言語モデルとなる。2021年10月時点では、マイクロソフトのクラウドサービスAzureからAPI(申請制)を介して利用でき、文章の生成、文章の要約、質問への回答、翻訳などに活用することができる。 (読み:ジーピーティースリー) OpenAIとは 2015年12月に再生可能エネルギー ソリューションを提供するテスラのCEOであるイーロン・マスクをはじめとする複数の投資家により設立された人工知能(AI)研究所です。OpenAIは、汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)が人類全体に利益をもたらすことを使命とし、当初非
「暗号資産は商品か(有価)証券か」で変わる規制の姿 FTXの経営破綻をきっかけに、暗号資産(仮想通貨)に対する規制強化の議論が改めて高まっている。 米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は11月15日に、議会上院の銀行住宅都市委員会で証言し、暗号資産の取引に「効果的な監視が必要だ」とした。現時点では、FTXの経営破綻が金融システムに与える打撃は限定的だが、それは時間の経過とともに変化する可能性があるとした。さらに、「イノベーションを阻害したくないが、規制が緩かったり遅れたりすると、リスクテイクや底辺への競争を促進し、消費者や企業、経済を危険にさらし、新たな製品やサービスに対する消費者や投資家の信用を失墜させることになる」と警鐘を鳴らした。そのうえで暗号資産関連事業者に、他の金融サービス事業者と同じような規制を課すのが必要、との認識を表明している。 米証券取引委員会(SE
FTXのリスクの高いビジネス、透明性の低さ、ガバナンスの欠如が浮き彫りに 今春にはステーブルコイン「USテラ」の暴落が、暗号資産(仮想通貨)市場に激震をもたらしたが、足元では再び強い逆風が生じている。暗号資産取引所大手FTXトレーディングの破綻懸念とともに、暗号資産市場の信頼性が再び揺らいでいるのである。底流にあるのは、リスクの高い事業内容とその透明性の低さ、さらにガバナンスの欠如だ。 FTXは、暗号資産の顔とされるサム・バンクマンフリードCEO(最高経営責任者)によって2019年に創業された。そこに数十のシリコンバレーやウォール街の大物投資家らが、20億ドル近くもの投資を行ってきた。ベンチャーキャピタル(VC)投資会社セコイア・キャピタル、セコイア、オンタリオ州教職員年金基金(OTPP)、ソフトバンクグループ、韓国サムスン電子のVC部門、アクティビストのダニエル・ローブ氏率いるヘッジファ
コラム 藤野直明の視点 「GAIA-X(ガイア-エックス)とカテナ-Xの衝撃 データ連携による巨大なエコシステムの台頭」 ~製造業のDX:サービタイゼーション推進のために~ 1.GAIA-X(ガイア-エックス)とは何か GAIA-Xは、第4次産業革命の一環として、2016年頃からドイツやEUで、ドルトムント工科大学のボリス・オットー教授を中心に、検討・実装されてきた「自律分散型の企業間データ連携の仕組み」である。(注1) EUでは、GAFA等に対抗するため、新しいタイプのデータ連携基盤GAIA-Xの構想策定、詳細設計、関連法制度の整備を推進してきた。現在は、GAIA-Xの各業種別の応用プロジェクト群であるIDS(International Data Spaces)というコンソーシアムでの具体的なプロジェクトの検討も始まっている。GAIA-Xの自動車産業を対象としたプロジェクトであるカテナ-
急速な利上げでFRBが赤字に転じる 米連邦準備制度理事会(FRB)が8月17日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月26~27日分)では、FRBが赤字に転化する恐れがある、との指摘がなされた。 FRBスタッフはFOMCの参加者に対して、スタッフ予測に基づくとFRBの純損益は「数か月中に『赤字』に転化する可能性がある」と述べたのである。過去の資産買い入れでFRBのバランスシートが大幅に増加したもとで、政策金利であるフェデラルファンズ(FF)金利を引き上げていくと、FRBが当座預金に対する利払いが増え、それが買い入れた資産の利息収入を上回る、いわゆる逆ザヤが生じるのである。 FRBは現在バランスシートを縮小させる量的引き締め(QT)を進めており、それは利払いを減らす方向に働くが、それ以上のペースで政策金利を引き上げているため、逆ザヤが生じるリスクが高まっているのである。 FF金
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まって約2年半が経過した。多くの国や地域が、一定程度の感染は許容しつつ、ワクチン接種により重症者数の増加を抑制しながら医療体制のひっ迫を防ぐ、いわゆる「ウィズコロナ」政策に方針を変更している。 その中で、中国は依然として、コロナの感染拡大を徹底的に抑え込むいわゆる「ゼロコロナ」政策をとり続けている。厳しい入国制限(1週間程度の隔離含む)や感染者発見時の大規模な検査や厳しい行動制限などの「ゼロコロナ」政策は、国外との往来を著しく減少させると共に、市民生活や経済にも大きな影響を与えている。上海では2022年3月下旬以降、1か月半にも及ぶロックダウン(都市封鎖)を実施した。また、今年度前半の中国の経済成長率は大きく減速したと言われている。 この様に大きな痛みを伴う「ゼロコロナ」政策の持続可能性に関して、中国国外からは疑問の声が上がっており、世界保健機関(W
「ステークホルダー資本主義」と「株主資本主義(株主至上主義)」 岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の具体的な姿は、依然として明らかになっていないが、岸田首相の断片的な発言などを踏まえて考えると、その源流は、近年、世界で注目を集めてきた「ステークホルダー資本主義」にあるように思われる。世界で主張されているこの「ステークホルダー資本主義」は、格差問題、環境問題などへの対応が主であるが、岸田政権は、この「ステークホルダー資本主義」と日本特有の問題である賃金の低迷という問題への対応、すなわち賃上げ、分配政策とを結びつけて、「新しい資本主義」という政策のパッケージを作り上げようとしているように見える。 株主、従業員、顧客、取引業者などのステークホルダー(利害関係者)による企業統治(コーポレートガバナンス)を通じて企業を変革していくのが海外での潮流であるが、日本ではこのプロセスを政府が主導しようとして
企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。 (読み:ディーエックス) IT・デジタル技術の発展により、これまで提供できなかった新しい価値が次々に生まれています。これまでのITが得意としていた生産性向上、コスト削減などの価値だけではなく、顧客や社会のニーズに基づいた体験的価値、そしてヒト、モノ、カネ、情報がつながることで新しい発見や市場機会を生み出すネットワーク価値などです。個人のライフスタイルから産業構造まで、世の中を変えようとしています。 企業は、激しく変化するビジネス環境に対応するため、経営資源の「情報(データ)」を中核に、顧客への提供価値の変革、そして、新たな組織能力の獲得、つまりは、企業
はじめに 野村総合研究所 産業ITコンサルティング二部の丹下です。 昨今メタバースがバズワード化し、各社が様々な取り組みを発表しています。 これを読まれている方の中にも、上司から「メタバースで“何ができるか”考えよ」と言われている方や、「メタバース“活用”の波に乗り遅れてはいけない」と焦りを感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。 そうしたメタバース“活用”企画は、いまは新しい取り組みに挑戦するだけで十分に意義のあるものでしょう。しかし、いずれ「単なる“賑やかし”以上の効果が出せない」といった壁にぶつかることになります。「新しいことに取り組んでいる“風”」から脱し、ビジネスそのものにインパクトを与えるような取り組みにするためには、検討の立脚点自体を変えなければなりません。 メタバースを単なる1チャネルやツールとして捉え、既存ビジネスを前提に「どう活用するか?」を考えるのではなく、「
2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した人的資本に関する情報開示のガイドラインです。 (読み:アイエスオーサンゼロヨンイチヨン) ISO30414は、内部及び外部のステークホルダーに対する人的資本に関する報告のための指針であり、労働力の持続可能性をサポートするため、組織に対する人的資本の貢献を考察し、透明性を高めることを目的として発表されましたⅰ。また事業のタイプ、規模、性質、複雑さにかかわらず、全ての組織に適用可能なガイドラインとしています。 ガイドラインでは以下の領域に関する指標を定めています。 人的資本エリア 概要
トラック等の輸送手段と倉庫のシェアリングによる稼働率向上と燃料消費量抑制によって、持続可能な社会を実現するための革新的な物流システム フィジカルインターネットとは、トラック等が持つ輸送スペースと倉庫が持つ保管・仕分スペースのシェアリングによってそれら物流リソースの稼働率を向上させ、より少ない台数のトラックで荷物を運ぶことで燃料消費量を抑制し地球温暖化ガス排出量を削減することを通じて、持続可能な社会を実現するための革新的な物流システムのコンセプトです。 「インターネット」のパケット交換の仕組みを物流に適用して、「フィジカル」なモノの輸送・仕分・保管を変革することから、フィジカルインターネットと呼ばれています。 インターネット vs. フィジカルインターネット インターネットとフィジカルインターネットを比べながら、フィジカルインターネットの特徴を説明します。 インターネットが登場する前、端末間
デフォルトとは何か? ロシアが先進国からSWIFT(国際銀行間通信協会)制裁や外貨準備の凍結措置を受けたことで、ロシア国債はデフォルト(債務不履行)に近付いているとみられる。 デフォルトとは、債券発行者(債務者)から債券保有者(債権者)に、定められた期限通りに利子の支払いや元本の返済がなされない状態のことを言う。ただしこれは広義のデフォルトの定義である。支払い猶予が認められて、以前と同様に流通市場での債券の取引が行われ、債券発行者の信頼が大きく損なわれないこともある。通常、デフォルトの認定は格付会社によって行われるのが一般的だ。格付会社が、デフォルトに対応する格付けを付けた時点で、デフォルトが認定されることになる。 デフォルト認定の基準は格付会社によって異なり、現在大手格付会社のムーディーズ社は、「ロシアが債務の返済意欲に欠け、国外への外貨送金規制を強化した場合などはデフォルト(債務不履行
大手格付機関はロシアを投機的格付けに 主要国での外貨準備の凍結やロシアの銀行に対するSWIFT(国際銀行間通信協会)制裁、あるいはドル調達を大きく制限する米国でのコルレス制裁などを受けて、ロシアが対外債務の返済不履行、デフォルトに陥る可能性が高まってきた。 格付会社のS&Pグローバル・レーティングは先週、ロシアの格付けを「BBB-」からジャンク級(投機的格付け)の「BB+」へと引き下げた。さらに3日には「BB+」から「CCC-」に8段階引き下げた。 2日には、格付会社フィッチ・レーティングスも、ロシアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け (IDR)を「BBB」から「B」に引き下げている。一気に6段階の大幅格下げである。さらに3日には、格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスも、ロシアの長期外貨建て債格付けを「Baa3」からジャンク級(投機的格付け)の「B3」に引き下げた。大手格付会社
野村総合研究所(NRI)では、消費者の価値観・行動変化を定期的に捕捉するため、毎年12月に全国約3,000人を対象にしたインターネット調査「生活者年末ネット調査」を実施している。 今回テーマの一つとした「インターネットによる情報収集」では、GoogleやYahoo!等の検索エンジンを使用した従来からの情報収集から、SNSを利用した情報収集へと、この5年間で変化が見られており、特に1990年代後半以降に生まれたZ世代と呼ばれる若年層(本調査では15歳~25歳で定義)において、SNSがメインの情報収集ツールになりつつある。
「80:20の法則」ともいわれ、「売上げの8割は2割の社員に依存する」といった傾向をさす。集団の報酬や評価が一部の構成員に集中するという経験則。 イタリアの経済学者ビルフレッド・パレート(1848~1923)が1880年代の欧州の経済統計から「個人の所得額」と「その所得額以上の所得を得ている人の数」との間に見出した法則をいいます。 「80:20」の数値に絶対的な意味はなく、集団の報酬や評価の集中傾向を端的に表すにすぎません。その由来について、園芸家でもあったパレートが、エンドウ豆の80%が20%のサヤから収穫されたことに着想を得たともいわれています。 「選択と集中」を裏づける経験則 この法則は「べき法則」と呼ばれる数理法則の一部で、同様の傾向が、英単語の使用頻度、都市の人口規模、河川やインターネットの結節点の次数など、社会や自然の様々な領域で観察されています。 企業経営に当てはめると、売上
中国では、流通・サービス業において、企業と消費者がともに進化を続け、リテール・イノベーションが常態化しています。そのような中、「新消費スタイル」と呼ばれるトレンドが誕生し、さらなる成長の萌芽となる様相を示しています。 中国の流通・小売業界の事情に詳しい野村総合研究所(NRI)上海の劉芳とNRIの郷裕に、中国流通・小売市場の現状、新型コロナウイルスの影響などを聞きました。 中国消費市場に占めるEC市場のシェアは全体の2割にまで拡大している 中国商業連合会がまとめた中国小売業の売上上位企業を見ると、2019年度のトップ3は全てEC企業でした。またEC市場は、消費市場※1全体の20.7%までシェアが拡大しています。 EC市場の成長と共に、小売・サービス領域でのデジタル活用が次々に起こっています。EC企業がこれまでの経験を生かして実店舗運営に乗り出したり、価格だけでなくサプライチェーンや商品企画の
刊行物 NRI未来年表 2022-2100 NRIが書籍やセミナーなどで発表している様々な予測を「NRI予測」として掲載している年表です NRI未来年表は、今後予定されている出来事を「政治・社会」「経済・産業」「国際」の軸で整理し、さらに、NRIが書籍やセミナーなどで発表している様々な予測を「NRI予測」として掲載している年表です。 将来の社会の大きな動きが一覧できます。年表には、2022年~2100年までの未来予測を盛り込んでいます。 また、「AI(人工知能)」「カーボンニュートラル」「モビリティ」「第6世代携帯電話(6G」の4テーマについて、NRIの予測をコラムとしてまとめています。 PDFファイルでは全文お読みいただけます。 全文ダウンロード(1.27MB)
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