上智大学の非常勤講師に賃金を支払っていないとして、大学側が労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが関係者への取材で判明した。大学側は勧告に応じず、労働基準監督署が出した勧告書の受け取りも拒否したという。是正勧告は法律違反を前提とした行政指導。是正しない場合などは書類送検されることがある。知名度の高い高等教育機関が行政指導に背いたことに、関係者からは疑問の声が上がっている。 賃金の不払いを申告したのは、語学の非常勤講師を務める60代の女性。女性が東京労働局中央労働基準監督署に提出した申告書や、加盟する労働組合「首都圏大学非常勤講師組合」によると、女性は日本語初級コースを担当。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年度からのオンライン授業の導入に伴い、教材を1人で作成した。
大学非常勤講師の賃金改善の必要性を訴える青山学院大の羽場久美子名誉教授(右)=国会内で2021年10月27日午後、田所柳子撮影 日本学術会議会員・元会員の女性研究者らで作る「女性科学研究者の環境改善に関する懇談会(JAICOWS)」の有志が27日、国会内で記者会見した。大学非常勤講師は、教授・准教授の6分の1から10分の1とされる年間100万円前後の低賃金が多いとして、与野党8党に行った待遇改善の要望と回答を公表した。 自民、立憲民主、公明、共産、日本維新の会、国民民主、れいわ新選組、社民の8党が回答した。自民党は「賃金・肩書は各大学の責任の下に判断、決定されるのが原則」とした上で、「待遇、処遇の改善を促進する」などと答えた。立憲民主…
侮辱的な報酬額の大学講師の仕事依頼がやってきた。その額なんと月2.7万円 https://cpplover.blogspot.com/2019/11/blog-post_17.html https://ezoeryou.github.io/blog/article/2019-11-17-insulting-job-offer.html (元記事の人はわかってて書いているのだと思うが、一応業界の事情を補足しておく。) 仕事の量と質に見合った金額ではないという主張には同意するが、実際問題として大学の非常勤講師の報酬/給与の相場は、ここで言われている額からかけ離れたものではない(月2.7万は安い方だとは思うが)。それゆえ、オファーした側は特別「侮辱的」な額を提示しているわけではないし、失礼な依頼だとも思ってないだろう。 なぜ非常勤講師の給与/報酬額が(常識的な感覚からすれば)極端に少ないかは、制
(上)上智大学正門。入って左側にある守衛室カウンターのところに、カード(教員証)読み取り機があり、非常勤教員は出勤したら教員証を通す。 (下)教員証の裏面。上智大学にはいくつもの門や入口にカード読み取り機が設置されているが、特定の非常勤講師だけには、「正門」で「授業開始5分以上前」に打刻することを強要していた。 15年間フランス語講師として働いてきたアマンダ・Cさん(仮名・女性)が、遅刻を理由に昨年3月、上智大学から雇止めされた。授業開始4分前にタイムカードを打刻しても彼女は“遅刻犯”の烙印を押された。監視員が物陰に隠れてチェックし、10秒単位で遅刻を記録する徹底ぶり。一方、「1分でも遅刻は許さない」と言われたアマンダさんは、教室到着時刻をiPadに記録、遅刻はしていなかったと言う。監視されて「刑務所にいるように感じた」彼女は、追い詰められてカウンセリングに通う。18年4月、彼女が所属する
<日本の大学では90年代以降、大学教員に占める非常勤講師の割合が急増し、待遇の悪さなどから講師の間に不満が高まっている> 京都大のiPS細胞研究所の助教が、論文の捏造と改竄が見つかって懲戒解雇された。有期雇用で「成果を出さなければ契約が更新されない」という焦りがあったのではないか、と言われている。最近の大学では不安定な有期雇用のポストが増え、多くの若手研究者が不安を抱えながら研究に励んでいる。 教壇に立つ教員も同じだ。大学の教員は、専任教員と授業をするためだけに雇われている非常勤講師の2種類に分かれるが、近年では後者の比重が増している。2016年の統計で見ると、専任教員(1)が18万4273人、非常勤講師が16万2040人だ。現在では、大学教員の半数近くが非常勤講師ということになる。 非常勤講師は、作家や研究所勤務などの本業がある「本務あり非常勤講師」(2)と、それがなく薄給の非常勤講師を
日本の大学の雄である東京大学が、約8000人の非常勤教職員の雇用形態に多大な影響を与える新たな方針を、去る8月7日に開かれた組合との団体交渉で明確にした。このままでは、大半の非常勤教職員は2018年4月以降雇い止めされることになる可能性があるという。 大学側の一方的な決定を受け入れることはできない、と組合は反発。東京労働局への指導の申し入れを検討、さらには刑事告発に発展する可能性が出てきた。 日本で最も権威のある大学による意思表明は、他大学の方針にも影響を与えるとみられている。全国に10万人いるという非正規雇用の教職員が注目する、東京大学の「労働争議」の現状をリポートする。 「東大ルール」 ここに、「改正労働契約法と東京大学における有期雇用教職員の取り扱いについて」と題した文書がある。東京大学が「改正労働契約法」にどう対応するのかが書かれた、内部文書だ。この文書の中に、「無期転換ルールと東
平成28年(2016年)6月6日に、岡山地裁で不正告発をした教授らの解雇無効申立仮処分に対する決定が出されました。 森山元教授に対する仮処分決定文 id:warbler の 解雇無効裁判仮処分 森山 決定 黒塗り.pdf (↑PCで閲覧推奨 全22頁) 岡山地裁は、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、あるいは社会通念上相当と認められないから、解雇権の濫用として無効である」との判断を下しました。 【本件解雇の有効性について】 【結論】(森山) 残念ながら地位保全までは認められませんでしたが、解雇理由とされた9件はいずれも解雇の理由として認められないとして「解雇権の濫用として無効である」との判断が下された事は重要だと思います。 ※解雇理由は1~9までありますが、解雇無効を訴える森山元教授側の主張がほぼ全て認められています。おそらくどれか一つでも欠けると、解雇理由にはなりえないので、岡山大
http://d.hatena.ne.jp/saebou/20151221/p1 「非常勤講師」とは雇用契約を結んでいない。1コマいくら、学期単位で委嘱している。たとえばブコメにあるように民間の人に来てもらって講義してもらう場合とか、あと奇妙な話だが内部の教員が本務以外の他学部で講義を持つ場合も非常勤講師扱いになっている。単価には幅があるが概して安い。これはターム制導入以前からはっきり言って安すぎるし、ターム制に移行したための負荷の増加というのも正直あまり考慮されていないだろうと思う。脱線するがターム制は前総長時代に秋入学だなんだでさんざんぐだぐだやったあげく妥協の産物として任期ぎりぎりに制定された間に合わせの制度という印象がある(学部によってタームの時期違ったりする)。ただ準備に充分な時間があったとしても非常勤講師の人件費にお金が回ることはなかっただろうなという気もする。国立大学法人の予
今年で東大駒場の非常勤講師を辞め、1年間実施した英日翻訳ウィキペディアン養成セミナーは来年から本務校の武蔵大学に移すことになったのですが、この辞職とクラス移動の経緯について皆さん興味があるらしいので、学生に迷惑がかかるなどの差し支えが無い範囲で簡単に説明しようと思います。めちゃめちゃ長いので、イントロのあと3つの節に分かれています。 ・イントロ まず、私は2013年に留学を終えて日本に帰ってきてからずっと東大駒場で英語の非常勤をしており、最初の二年は英語一列、今年は実験的な科目としてウィキペディアン養成セミナーをやっていました。学部から博士の一年まで東大駒場に所属していたので、英語一列には院生の時からTAとして関わっていました。去年からは武蔵大学に専任講師として就職したので非常勤先は辞めても良かったのですが、図書館とデータベースが使えること(これは研究者にとっては大変大事で、給料なんかより
先日こちらに記させて頂きました和光大学の件ですが、 「首都圏大学非常勤講師組合」( http://hijokin.web.fc2.com/#topics ) にお任せすることになりました。 その経緯や結果等につきましては、非常勤講師組合を通じ、 後日またあらためまして、ご報告させて頂きたいと思います。 ※2015年6月現在、ユニオンは東京都を通して、和光大学に抗議を続けております。 それから、こちらは私の2014年度後期の授業アンケートの結果です。 生徒による教員への評価なのですが、 最も肝心とも云える「3」と「4」の項目に関して、私は最高評価です。 ご高覧頂けましたら幸いです
通算5年を超えて勤務した非正規労働者は、本人が希望すれば期間を区切らない無期契約に転換できるとした改正労働契約法。4月の施行後、大学で非常勤講師を原則5年で契約を打ち切って「雇い止め」にする動きが広がっている。本来は雇い止めを心配せずに働けるようにするための法改正だったが、現実にはその趣旨に逆行した皮肉な流れになりつつある。「法改正が労使の間に無用な対立を生み出してしまった」との指摘すら出ている。(三宅陽子) ■長年勤めたのに… 「これまで20年近く契約を更新してきた。それを突然『やめろ』というのか」 早稲田大で語学の非常勤講師を務める50代の男性は3月、大学から突然届いた就業規則に言葉を失った。これまで、1年ごとに更新してきた雇用契約を4月から「通算5年を上限とする」との内容だった。 男性は、早大のほか4つの大学で非常勤講師を務める。月〜土曜日に計15コマ(1コマ90分)の授業を
(英エコノミスト誌 2011年9月3日号) 大卒という学歴はもはや、経済的な安定を与えてくれない。 先進国ではそろそろ、高校を出た何百万人もの若者が両親に涙の別れを告げ、大学で新たな生活を始める頃だ。中には純粋な向学心に燃えている人もいるだろう。しかし、大半の人は同時に、大学で3~4年勉強すれば(その間、巨額の借金を積み上げることになる)、給料が良くて安定した仕事にありつく可能性が高まると信じている。 年長者はこれまで彼らに、教育こそがグローバル化した世界で成功するための最善の備えだと言い聞かせてきた。ブルーカラー労働者の仕事は海外に流出し、自動化されていく、というのがお決まりの台詞だ。中退者はカネに窮する不安定な生活を強いられるが、大学を卒業したエリートは世界を股にかけることができる、と。 そうした見方を裏付ける証拠もある。ジョージタウン大学の教育・労働力センターによる最近の研究は、「高
年収1000万クラスの教授に対し、非常勤講師は300万円以下、100万円台も珍しくない。そんな「格差」が大学内に存在している。こうした高学歴ワーキングプアの放置は「大学の荒廃につながる」と指摘する首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長(憲法学)に話を聞いた。 非常勤講師は、下働きの「やらせて頂く」仕事 ――非常勤講師の平均的な暮らしぶりを教えて下さい。 松村 まず、ここで「非常勤講師」というのは、専任校をもたないいわゆる「専業非常勤講師」のことです。相場では、週1回の90分講義1コマで月2万5000円、年30万円前後が計算の基本です。大学教員は週5コマ程度担当するのが標準的で、そうすると非常勤講師での収入は年150万円。ところが、同じ程度のコマを担当している専任の教授になると年収1000万円が普通と言われています。非常勤は大学運営の仕事はしないので、「全く同じ仕事」とは言いませんが
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