第一次世界大戦開戦100周年を前に各国で多くの本が出版されたが、ケンブリッジのドイツ史家が開戦に至る過程を追跡した本書は、最も話題を呼んだものの一つである。 第一次世界大戦が「なぜ」起こったのか、は常に激しい議論の対象であった。開戦の責任の所在と密接に関連するからであり、多くの研究が罪責の所在を検討してきた。責任の所在という実体問題のみならず、この主題からは、伝統的な外政優位論に対抗する、「内政の優位」という新たな視座もうみだされた。国際政治学においても、第一次大戦はさまざまな理論や実証の素材となってきた。大戦は多国間勢力均衡の根源的不安定の証拠か、二陣営への同盟の固定化が戦争をもたらしたのか、構造要因と個別的事件の関係は、等々の論点がある。 このような大テーマにおける本書の貢献は、「なぜ」という問い(とそれに付随する責任論)をいったん脇に置き、「いかにして始まったか」(本書副題)というプ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く