地上の天国に一番近づいたとき ~ パリ・コミューン考 ~ 宮内広利 1 プロローグ マルクスは、1871年のパリ・コミューンにふれて、次のように描いている。 《コミューンの第一の布告は、常備軍の廃止と、武装人民によるその代替とであった。コンミューンは、市内各区における普通選挙によって選出され、有責であって短期に解任され得る市会議員から形成された。その議員の多数は、勢い、労働者、乃至は労働者階級の公認代表者であった。コンミューンは、代議体ではなく、執行権であって同時に立法権を兼ねた、行動体であった。警察は、依然として中央政府の手先きであるかわりに、ただちにその政治的属性を剥奪され、そして責任をおいいつでも解任され得るコミューンの手先きとなった。行政府の他のあらゆる部門の官吏も、そうであった。コミューン議