自分自身に永遠の愛を誓い、自分と結婚式を挙げる。 欧米でトレンドとなっている「ソロガミー(自分婚)」を遂げたドイツ在住の社会学者が、10週間を要する自分婚の具体的手順と、自らに生じた心の変化を赤裸々に綴る。 人はなぜ、他者と結婚したいと思うのか。現代人の愛と結婚のかたちを問うロングエッセイ。 花嫁衣装は黒いウエディングドレスとサングラス この夏、私は2回目の結婚をした。11年前に市役所で挙げた最初の結婚式と違って、完全に非公式なセレモニーだ。 会場は、かつて東独と西独を隔てたベルリンの壁の跡地にあるマウアーパーク。壊れかけたコンクリートの円形競技場は、蚤の市が開かれる日曜日はカラオケステージになる。約500人の参列者の大半は一度も会ったことがなく、二度と会うこともない人たちだ。 私は黒いドレスを着て、サングラスをかけていた。司祭や神父も、花嫁付添い人も、役所の立会人もいない。式の最後に結婚