【オバマ政権の新金融規制案の要旨】 金融危機の再発を防ぐために、米国主導で進んできた金融自由化、総合金融機関化の方向を転換する内容で、銀行・証券の業務分離を定めた1933年のグラス・スティーガル法の再来だと金融界は衝撃を受けている。規制内容は預金を預け入れる商業銀行と投資銀行では異なっている。商業銀行に対しては、①ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンド(PEF。未公開株を手がけるファンド)への投資や所有の禁止、②自己資金勘定による高リスク投資を制限し、顧客の要望にもとづくケースに限る。つまり、事業範囲を制限し、預金を使ったリスクの高い投資を抑制する。投資銀行に対しては、①市場からの借入れ(負債)に上限を決める。つまり、規模を制限して、「大きすぎて潰せない」事態を解消する。商業銀行と投資銀行の規制が異なっているので、必然的に両方を兼営することはできなくなると見られる。 池尾和人(