現在、「原発の危険性」を伝える活動を続ける元裁判長と、太陽光発電による農業の復活に挑む福島の人々を追った映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』がポレポレ東中野他全国の劇場で公開されています。2014年5月、福井地方裁判所裁判長として、関西電力大飯原発の運転差し止めの判決を下した樋口英明さんは、定年退官を機に、原発の危険性を伝える活動を始めました。なぜ、原発の運転を止める判決を下したのか、そして、従来の原発訴訟の問題点とは何なのか――。樋口さんにお話を聞きました。 ――なぜ、定年退官後、原発の危険性を伝える講演活動を始めたのでしょうか。 樋口英明さん(以下「樋口」):「原発は強い地震に備えているはずだ」とほとんどの人が思い込んでいます。私自身も福井地裁で大飯原発3・4号機の運転差止訴訟を担当するまではそう思っていました。 ところが、原発訴訟の審理を通してそうではないということ