金銭債務は、遺産分割の対象ではない。 遺産分割の対象となるのはプラスの財産 (積極財産)だけであり、被相続人が負担していたマイナスの財産たる金銭債務は、相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然に承継されているもので、遺産分割協議によってその負担を決めるものではないとされています。 したがって、遺産分割は、積極財産のみを対象とし、積極財産から消極財産を控除した残額 についてのみ実施されるべきではなく、相続債務は別途に、相続債権者との関係として処理さ れることになります。 たとえば遺産分割協議で相続人の一人が被相続人の債務を全部引き継ぐときめたとしても、債 権者である銀行などには承諾を得ない限りそれを主張できないのです。相続人は債権者からの 相続分に応じた債務の請求を拒むことはできません。 【判例紹介】 東京高裁昭和37年4月13日決定 遺産分割の対象となるものは、