引き続き、映画『この世界の片隅に』の音楽を担当したコトリンゴさんのインタビューを。 ■すずさんや周作さんにはテーマ音楽があるけど、水原さんにはない —今回、とても贅沢に生の楽器が入っていますよね。これまで手掛けてきた映画音楽の中でも一番多いでしょう?「すずさんと晴美さん」や「デート」をはじめ、木管楽器の使い方がとても素敵でした。 「嬉しいです。すずさんと木管は合うな、と思って。音の優しさとか、ホワンとした感じとか。『すずさんと晴美さん』は、私もすごく好きなんです」 —すずさんが鉛筆でスケッチするというところからもそうですが、私はアニメに詳しくないけど、この映画って塗り方を含めてスケッチ感が強く、それって私には音がオーガニックというか生音であるのと同じ感覚なんです。シンセで作った音ってコンピュータでベタ塗りしたような感じがするけど、スケッチの手触り感、例えば苅谷さんや楠公のご飯の量を増やす場