主要穀物などの輸出規制が簡単に起こりうるということが、コロナ・ショックでも明白になった。輸出規制を規制しようとしても、輸出規制は国民の命を守る正当な権利であり、抑制は困難である。日本政府は、以前から輸出規制を抑制するための国際取決めの強化にこだわっていたが、いざというときに、自国民を後回しにして、他国に売ってくれる国はないから、実効性はないと筆者は指摘していた。現に、食料の輸出制限を行う場合の条件として、1993年のウルグアイ・ラウンド農業協定に日本提案として盛り込まれたのが、食料安全保障への配慮と通報であるが、それらは2008年や今回の輸出規制の動きに対する何の歯止めにもなっていない。しかし、日本が主導する仕組みで期待されるものが一つある。「ASEAN+3コメ備蓄スキーム」である。 これはアジア全体での食料安全保障システムの提案である。コロナ・ショックで輸出規制の懸念がまた高まったが、2