資金循環の噴水構造 家計に発し企業部門に注ぐ資金の流れを俯瞰すると、商品の流通過程と似たような集荷・分荷のプロセスがあることがわかる。銀行は、あまねく遍在する家計から資金を集荷する。それは一旦中央に集結するが、その後地方に分散立地する工場等、設備投資に充てられた。地理的にみれば、地方から出て行った資金は廻りまわって地方に戻ってくるのである。働く人と生活する人が同じ経済圏にいるのだから当然といえば当然だ。 ではなぜ資金は一旦中央に集結するのか。本社機能が都市に集中していることが背景にあると考えられる。工場を地方展開する大企業が投資の意思決定や資金調達をするのが本社であり、それが都市に集中している。概して地域金融機関はきめ細かい支店網を通じて家計の預金を集めており、資産の状況をみると貸出より預金が大きい。一方、三大都市圏に本社を構える「都市銀行」、長期信用銀行、信託銀行は全国展開する大産業の資