『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018年)の登場は衝撃的だった。約35年ほどにも渡る、アニメ『ドラゴンボール』映画シリーズのなかで、映画評論の文脈でいっても、ためらわず「傑作」と言うことができる一作が、ついに現れたからだ。 惑星を破壊できる規模の豪快なアクションシーンが延々と続く内容ながら、新しく解釈し直された悲劇の戦士“ブロリー”の物語が、言葉でなく肉体のぶつかり合いや、衝撃によって次元すら破裂していくなどの、ダイナミックな作画によって紡がれていくといった内容は、映画作品として実験的であるとともに、むしろ無声映画の時代に近い、映画本来の魅力に回帰しているようにも見える。現代において、まさに『ドラゴンボール』シリーズでなければあり得ない方法で、唯一無二といえる映像体験とエモーションをもたらしてくれたのだ。 また、『ドラゴンボール超』のシリーズで顕著になった、サイヤ人の変身形態が無数に増え