文庫版、発売中です。 神曲プロデューサー (集英社文庫) 作者:杉井 光 集英社 Amazon 単行本発売時(なんともう十年以上も前!)に、紹介記事を真面目なやつと不真面目なやつ、二つも書いたが、そういえば楽曲解説はしていなかったな……と思い出し、せっかくなので今回書くことにする。 1. 超越数トッカータ 音楽における「パクリ」を題材にした一篇。 着想の元になったいわゆる「パクリ疑惑」事件は二つあり、ひとつはジョー・サトリアーニの"If I Could Fly"とコールドプレイの"Viva la Vida"。 後者のパクリ疑惑をかけられた方が世界的な大ヒット曲であるだけに当時けっこうな騒ぎになった。 二つ目は「記念樹事件」。 楽曲の同一性が裁判で認定されたという画期的な一件で、今でも著作権関連の判例研究では教材として取り上げられることが多い。この裁判の原告論述・被告論述・判決文はクソ長いが