(1) 心理学者・岸田秀さんのご本はとても面白い。ご本人の筆の力というものもあるが,それより何よりなんと言っても,岸田さんの透徹した思考に感服してしまう。 岸田さんは人間の脳は欠陥があり,「幻想」を抱いてしまうこと,その一つの例が男性の性欲であり,あれほどハッキリしている男性の性欲も幻想であることが証明されている. (2) ドイツの哲学者・ヘーゲルが優れていたのは,今更言うまでもない。岸田さんと時代も国も違うからかも知れないが,ヘーゲルの書物の方は難解で「面白い」とは言い切れないところもある. ヘーゲルも人間の脳に欠陥があり,「現在の知識を正しいと考えてしまうこと」を指摘している。本当に知恵があるのなら,現在,正しいとされていることもやがては覆されると言うことも含めた判断ができるのだが,人間にはそれができない。 (3) 20世紀初頭の社会学者,マックス/ウェーバーも人間の論理の欠陥を指摘し