この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。 「落とし所を探って来い!」 この言葉を言ったこと、あるいは言われたことがあるのではないだろうか。しかし、この言葉は、交渉学のフレームワークでは推奨されない言葉である。 交渉には相手があり、相手も自分と取引したいと思う条件がなければ、自分の目標は達成できない。だからといって、相手の表面的な要求に従って、自分の許容できる範囲まで、ひとつの条件を下げて合意すれば良いということではないのだ。 ひとつの条件が成立したことに満足してしまい、他の可能性を見落としてしまうことがあるし、何より、今回の取引は成立しても、同様の条件では継続的な取引は難しいかもしれない。これこそ、落とし所のみにフォーカスした弊害なのだ。 例えば、売買契約といえば価格のみに焦点をあてがちだが、それだけではない。ビジネス交渉では価格のみで判断されて売買されることは少なく、メーカー