■負けたときほど大きな成長のチャンス 先日、自主自立の精神育成を目的にボトムアップ理論で、サッカー推薦のない公立高校である広島観音高校を日本一(2006年のインターハイ優勝)に導いた畑喜美夫氏(現安芸南高校)の講習会と取材の機会に恵まれた。 練習メニューの選定から大会の登録メンバー、先発、交代選手に至るまで全てを選手に託すボトムアップ理論は、これまでのスポーツ指導の概念を覆すあまりに画期的なメソッドであるため、表面に出てくる言葉だけを受け取って素直に受け入れることは難しい。 例えば、畑氏は『子どもが自ら考えて行動する力を引き出す 魔法のサッカーコーチング ボトムアップ理論で自立心を養う』(カンゼン)の中で、選手権準々決勝の舞台、つまり、国立行き(ベスト4)が懸かった試合で、修正点を見出しながらもベンチから指示を出すことなく、あくまで選手の自主性を尊重する姿勢で、結果的に敗れてしまったエピソ