小型の船が海岸に直接乗り上げて船首を開き、兵士たちが飛び出してくる――映画でもよく見るシーンですが、この「上陸用舟艇」を世界で最初に生み出したのは旧日本陸軍でした。誕生の経緯と発展をひも解きます。 旧陸軍が欲した独自兵器「大発」 軍用小型艇の一種、「上陸用舟艇」が持つほかに類を見ない特徴は、海岸に直接乗り上げて船首(バウ)の扉を開き、その開いた扉を歩板(ランプ)にすることで、兵士が容易に陸へと降り立つことができる点です。 戦争映画などでよく見かけるこの船は、アメリカにおいてはLCPV(Landing Craft, Vehicle, Personnel)、通称「ヒギンズ・ボート」と呼ばれ、上陸用舟艇の代表のように扱われることが多いです。しかし、こうした種類の船、実は旧日本陸軍が昭和の初めに製造した「大発」というものが、原型だったのです。 旧日本陸軍はなぜ大発を世界に先駆けて開発し、大量に生産