ブックマーク / honz.jp (38)

  • 『あのとき売った本、売れた本』永遠に読んでいたい「本屋の裏話」 - HONZ

    あのとき売った、売れた 作者: 小出和代 出版社: 光文社 発売日: 2023/10/25 人生でもっとも長いおつきあいの書店は、紀伊國屋書店新宿店である。かれこれ35年。つきあいが長くなれば倦怠期だってありそうなものだが、半日滞在しようが、週に何度も通おうが、いまだに飽きることがない。行くたびに発見や刺激があるのだ。こんな素晴らしい場所、他にあるだろうか。 書は新宿店で25年間にわたり文学書売り場に立ち続けた名物書店員の回想録である。とにかく楽しいだ。読んでこれほど多幸感に浸れるも珍しい。趣味の合う友人と愛読書について夜通しおしゃべりしているような楽しさがある。懐かしい、記憶に残るフェアや売り場の話がこれでもかと出てくるのだから当然かもしれない。 1日の平均乗降客数353万人の新宿駅は、ギネスにも世界最多と認定されるほどのマンモス駅だ。そんな駅の駅前に店をかまえていれば、

    『あのとき売った本、売れた本』永遠に読んでいたい「本屋の裏話」 - HONZ
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    bokmal 2023/11/30
  • 『明治 大正 昭和 化け込み婦人記者奮闘記』化け込み=潜入取材ルポ 型破りな女性記者たちの物語 - HONZ

    2022年度の新聞・通信社における女性記者の割合は男性の4分の1弱である(一般社団法人日新聞協会調べ)。放送業界は多少マシな気もするが、それでもメディアが圧倒的に男性中心であることは変わらない。現代ですらそんな体たらくなのだから、戦前なんて推して知るべし。女性記者(当時は「婦人記者」といった)は各社片手で数えられるほどしかいなかった。 婦人記者という新たな職業が生まれたのは、明治20年代だという。女性読者の増加に伴い、女性向けの記事が求められ、東京や大阪の有力新聞が女性を採用するようになった。 とはいえ、のっけから婦人記者が活躍できたわけではない。女性向けの記事といっても、アイロンのかけ方、シミの抜き方といった家政記事か、政治家や実業家のお宅に赴き、奥様方に普段の生活や子どもの教育法などについてインタビューする名流婦人訪問記などがメインだった。 「号外に 関係のない 婦人記者」と当時の川

    『明治 大正 昭和 化け込み婦人記者奮闘記』化け込み=潜入取材ルポ 型破りな女性記者たちの物語 - HONZ
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    bokmal 2023/06/29
    “別れ話のもつれから男に撃たれ、銃弾を歯で跳ね返したりする”
  • 『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ

    作者: 望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊 出版社: 文学通信 発売日: 2023/4/28 今やあまりお目にかかれない書籍が出た。書は、2021年4月に出版された竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)への反論である。それも、明確な事実と論拠に基づいて真っ向からメッタ斬りにする、恐ろしく肝の据わった一冊だ。 まず、当時の『土偶を読む』現象をおさらいしよう。同書は刊行直後からNHKを中心とする各メディアで注目を集め、SNSでも紹介記事や書評が大きくバズり、脚光を浴びた。人類学者が独自の見識から打ち立てた「土偶の正体は縄文人の用植物」説をイコノロジー(図像解釈学)で次々に解き明かしていくその内容は劇的かつ鮮やかで、養老孟司氏を始めとする著名人らの好評も後押しし、半年で六刷のベストセラーとなる。 極めつきは第43回サント

    『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ
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    bokmal 2023/06/20
    “人間は「物語」に弱く、対決構図が大好きで、とりあえずリベラルっぽいほうに無批判で肩入れしてしまう” リベラル云々以前から判官贔屓という言葉がある
  • 『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ

    スウェーデンのある地域でのこと。小学校低学年から10代後半までの子どもたちに、〈謎の病〉が発生している。子どもたちは最初、不安になりふさぎ込む。そして徐々に引きこもりはじめ、口数が減っていき、そのうちまったく話さなくなる。最後にはベッドで寝たきりとなり、最悪の場合、べもしなければ目も開かなくなってしまう。そうした子どもたちの数は、2015年から2016年の間だけでも、なんと169人に達している。「あきらめ症候群」と呼ばれるこの病は、では、どうして発生しているのだろうか。 書は、そのような〈謎の病〉の原因を神経科医が追ったものである。扱われているのはあきらめ症候群だけではない。カザフスタンのかつての鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)や、キューバ駐在のアメリカ外交官の間で流行した「ハバナ症候群」(第5章)など、8つの章でおもに7つの病がとりあげられている。著者のオサリバンは、関係者へのイ

    『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ
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    bokmal 2023/05/25
    カバー絵はアルバート・ムーア「夢見る人々」
  • 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ

    ひさしぶりに会った知人の変貌ぶりにショックを受けることがある。書を書店で見かけた時の驚きもそれに近い。表紙の男性と著者名が一瞬つながらず、人だと気づいて衝撃を受けた。別人のように痩せている。それも何か大病を患ったことをうかがわせるような痩せ方ではないか。 90年代からゼロ年代を通じた福田和也の活躍ぶりは、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がぴったりだった。「月300枚書く」と人が言っていたように、文芸評論や時事評論、エッセイ、コラムを書きまくり、ワイドショーのレギュラーコメンテーターを務め、文芸誌『en-taxi』を編集し、母校である慶應大学の教壇にも立った。当時、夜の街でもしばしば著者を見かけた。バリバリ仕事をしつつ遊びもこなす姿が眩しかった。 著者を知ったのは学生時代のことだ。江藤淳に才能を見出されたというふれこみで、雑誌『諸君!』でいきなり連載が始まった。破格の扱いだった。

    『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ
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    bokmal 2023/05/07
    食べられるうちは死なない、味わえるなら大丈夫
  • 『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 - HONZ

    『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 一見、ライトノベルを思わせるタイトルだが、書は紛れもない実話である。ただし著者の半生は、まるでラノベの主人公のようにユニークだ。 著者は1992年千葉県生まれ。昔からどこまでも内向的で、考えすぎる人間だったという。そんな性格もあってか、大学受験や恋愛、就活の失敗などで心を壊し、大学を卒業した2015年からは、千葉の実家で引きこもり生活に突入。週一でバイトは続けていたが、それもコロナでなくなってしまい、さらに追い討ちをかけるように2021年からはクローン病という自己免疫系疾患の難病も患う。 驚くのはここからである。著者は引きこもりのかたわら、ルーマニア語を身につけ、2019年から小説や詩を書き始めた。その作品は現地の文芸誌に掲載されただけでなく、《Istoria literaturi

    『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 - HONZ
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    bokmal 2023/03/18
  • 『ある行旅死亡人の物語』あなたは誰?身元をたどる渾身のルポルタージュ - HONZ

    「行旅死亡人」とは病気や行き倒れ、自殺等で亡くなった身元不明の死者を表す法律用語である。死亡人は身体的特徴や発見時の状況を官報に公告される。 映画やミステリー小説でも良く登場する”誰かわからない”遺体。その身元を新聞記者が突き止める過程を記したのが『ある行旅死亡人の物語』だ。 共同通信大阪社会部の遊軍記者、武田惇志は記事のネタ探しのため官報に掲載されている「行旅死亡人」のサイトを閲覧していた。そこで目に留まったのが亡くなったときの「所持金ランキング」。一位は尼崎市の自宅アパート玄関先で発見された七十代と思しき女性で、なんと現金で約3500万を持っており、さらに右手の指が全て欠けていたという。すでに火葬され遺骨は尼崎市が保管していた。 発見から一年以上経っていたが、続報は見つからない。市の保健福祉センターに問い合わせると、こんな答えが返ってきた。 「タナカチヅコさんの件ですね」 この人は生前

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    bokmal 2023/02/04
  • 『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ

    訃報はいつだって突然だ。著名人が亡くなると、生放送中のスタジオに報道の人間が原稿をもって駆け込んでくる。速報は一刻も早く放送するのが鉄則だが、そこに記された名前に驚き、思わず足が止まってしまうことがある。訃報にあらかじめ心の準備をしておくことなんてできない。誰かの死に慣れることはこの先もきっとないだろう。 山文緒さんが亡くなったという報せも突然だった。 2021年10月13日、膵臓がんのため死去。58歳だった。 山さんは前年、7年ぶりとなる長編小説『自転しながら公転する』を発表したばかりだった。地方のショッピングモールで働く32歳の女性を主人公にした同作はまぎれもない傑作だった。 NHKの『朝イチ』だったと思うが、軽井沢のご自宅で、キツツキが家の外壁に開けた穴をリポーターに見せたりしながらインタビューに答えていたのをおぼえている。その時の楽しそうな表情がとりわけ印象に残っているのは、山

    『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ
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    bokmal 2022/11/02
  • 『語学の天才まで1億光年』超絶面白い語学本! - HONZ

    表紙をみて思わず笑ってしまった。1光年は、光の速さで1年かかる距離だ。1億光年は1億年である。にもかかわらず表紙に描かれた人物は、遥か彼方の目的地にのんきにカヌーで向かおうとしている。 だが笑った後で、はたと気づいた。言語の習得というのは、まさしくカヌーを漕ぐような行為なのではないか。前に進むかどうかは自分次第。しかも目標に到達するまで気の遠くなるような時間がかかる。そう考えると、いたく説得力のある表紙にも見えてくる。 書は、「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かないを書く」ことをポリシーに、「辺境ノンフィクション」という独自のジャンルを切り拓いてきた著者による語学体験記である。同時に極めて実用的な言語学習の参考書でもある。語学をめぐる面白すぎるエピソードと、現場でとことん使える実用的知識との融合。あまりにユニーク過ぎてちょっと類書が思い浮かばない。唯一無二の語学

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    bokmal 2022/09/09
  • 町のすてきな本屋さん サンブックス浜田山 - HONZ

    「え? なに、この屋さん、もしかして……なんか、すっごくおもしろくない!?」 スーパーの広告にアイスの特売が告知されていた。それだけの理由で降り立った、京王井の頭線浜田山駅。ふと見ると、駅前に屋さんがある。吸い寄せられるように店内へ。一見、ふつうの屋さん。でも棚を眺めているうちに、冒頭のような興奮がわき上がってきたのです。 90年代半ばくらいまでは、駅前や商店街には必ずといっていいほど、個人経営の「町の屋さん」がありました。すっかり数を減らしてしまった町の屋さんですが、だからこそ、町のすてきな屋さんを見つけたときの喜びは大きく、「みんなに教えたい!」と気持ちは舞い上がります。 「ふつうの屋さん」に見えるこのお店が、なぜこんなに「おもしろい!」のか? 知りたい! 後日アポをとって出直し、浜田山駅前の屋さん――サンブックス浜田山さんの木村店長にお話をうかがってきました。 長い記

    町のすてきな本屋さん サンブックス浜田山 - HONZ
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    bokmal 2022/05/25
    “以前、出版取次の鈴木書店という会社があったんですが、そこの重役の方が魚屋さんのお客さんで。その方にいろいろ相談して。その方が魚屋さんのお客じゃなかったら、本屋はやっていないでしょうね”
  • 『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ

    傷跡から血が滲み出ているような一冊だ。 読み終えた後もずっと「凄いものを読んだ」という余韻が消えない。早くも今年のベスト級の一冊に出会ってしまった。書は当事者ノンフィクションの傑作である。 著者は「修復的司法」の研究者である。修復的司法というのは、1970年代に欧米を中心に広まった紛争解決のアプローチで、従来の刑事司法では、国家が犯罪者を処罰することで問題を解決しようとするのに対し、修復的司法は、被害者と加害者の対話を中心に置き問題解決を目指す。 著者には性暴力の被害にあった過去がある。修復的司法の研究者を志したのも、自らの被害体験と深くつながっているからだった。そして、これがとても重要かつ繊細な機微をはらんだポイントなのだが、被害者だからこそ、加害者との対話に興味を持った。 だが当事者であることを著者はずっと明かせなかった。なぜならカミングアウトすれば「加害者との対話を望む被害者」と単

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    bokmal 2022/02/17
  • オランダ史上最悪の犯罪者と呼ばれた兄を告発した妹による、壮絶なる体験記──『裏切り者』 - HONZ

    書『裏切り者』は、映画にもなった「ハイネケンCEO誘拐事件」の実行犯として知られ、その後も犯罪を重ね「オランダ史上最悪の犯罪者」と恐れられるまでになった男ウィレム・ホーレーダーについて書かれた犯罪ノンフィクション/体験記である。 現在ウィレムは逮捕され、終身刑をらっているのだが、彼の罪を告発し終身刑にまで追い込んだのは実の妹で、書の著者であるアストリッド・ホーレーダーなのだ。書は著者が幼少期を過ごした1970年代から、ホーレーダー家がどのような家庭環境だったのか。また、著名な犯罪者の実の妹として日々を過ごすとはどういうことなのか。兄を告発すると決めた決定的な理由、そして告発を決めた後の戦いが、まるでスパイ物の小説のように展開していくことになる。 実の妹なんだから信頼されているだろうし、告発してもバレようがなくない? と思っていたのだがこれが思った以上に壮絶な関係性で、妹だから許され

    オランダ史上最悪の犯罪者と呼ばれた兄を告発した妹による、壮絶なる体験記──『裏切り者』 - HONZ
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    bokmal 2021/06/25
    終身刑で檻の中にいながら外部の手下に影響力を持ち続けるのはどういうシステムなんだろう。
  • 『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ

    「中世ヨーロッパ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。「疫病と飢饉」、「魔女狩り」、「異端審問」……。代表的なものを挙げたが、いずれにせよ、西ローマ帝国が滅んだ5世紀末からの約1000年間に明るく進歩的な印象を抱く人は少ないだろう。 だが著者は、そうしたネガティブなイメージはここ200年ほどの間に私たちに植え付けられた誤解だと説く。書には、中世に関する11の「フィクション」が登場する。多くの人は、どれも一度は耳にしたことがあるはずだ。 中世の人々は地球が平らだと思っていた。風呂にも入らず、暮らしは不潔で腐った肉も平気でべた。教会は科学を敵視し、今では誰も疑うことのない説も教会の権威によって迫害され続けた。何の罪もない女性たちが何万人も魔女として火あぶりにされた。 これらの説は、文化上構築された「中世」にすぎず、前世紀までに歴史学の専門家によって否定されている。だが、今でも大きな顔をして

    『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ
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    bokmal 2021/06/12
  • 世紀の奇書?『土葬の村』は貴重な民俗的資料である - HONZ

    埋葬には宗教による違いがある。イスラム経は土葬のみだし、キリスト教でも死者の復活という教えがあるので土葬が望まれる。国、地域別の火葬率は、米国52%、イギリス77%、ドイツ62%、フランス40%、イタリア24%、カナダ71%、ロシア10%、台湾97%、香港93%、韓国84%、タイ80%(2016年、2017年の資料)である。日では、いまやほとんどが火葬なので、我々から見ると意外なまでの高率だ。 明治時代には、火葬は仏教僧が推進するものであるという神道派の主張により、二年後に廃止されたとはいえ「火葬禁止令」が布告されたことすらある。しかし、2017年の統計では、99.97%が火葬で、残りの0.03%が土葬であるにすぎない。およそ4000人ほどなので、すごく少ないけれども、同時に、まだそれくらい残っているのかという気がする数字である。 『土葬の村』は、タイトルのとおり、土葬の習慣の残る村の記

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    bokmal 2021/03/29
  • 日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ

    でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。 このは、タイトルこそ『日に現れたオーロラの謎』だが、サブタイトルに「時空を超える」や「赤気」という言葉が入り、著者名も片岡「龍峰」さんで、とどめにカバーのイラストで、山から赤いオーラみたいなものが出ている。ぱっと見「スピリチュアルのなのかな?」と思ったが、を開くと宇宙空間物理学が専門の、オーロラの科学者による科学のだった。 しかも、ただの科学のではない。著者が在籍している国立極地研究所(南極の昭和基地を 運営しているところらしい)は、国文学研究資料館と同じ場所にあるそうで、つまり物理的な距離も近いので理系と文系の研究者で、オーロラの共同研究をしたそうなのだ。 日の文献には「オーロラっぽい」記述がいくつかあるという。 こので取り上げているのは、

    日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ
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    bokmal 2021/01/26
    “国立極地研究所(南極の昭和基地を 運営しているところらしい)は、国文学研究資料館と同じ場所にあるそうで、つまり物理的な距離も近いので理系と文系の研究者で、オーロラの共同研究をした”
  • 『アルツハイマー征服』圧倒的な取材力と筆力で読ませるサイエンス・ノンフィクション! - HONZ

    書のプロローグは、「青森のりんごの形が良いのは、季節ごとに、こまめに手当てをするからだ」という、青森在住のわたしにとっては、不意を突かれる一文ではじまります。 なぜ、アルツハイマーので、青森のりんごなのか? その理由はすぐにわかりました。青森には、家族性アルツハイマーの大きな一族があるというのです。長身で美男美女の多いその一族は、おそらくは結婚相手に困ることはなかったのでしょう、よく繁栄したといいます。しかしどういうわけか、四十代、五十代になると、おかしなことが起こる。二戸陽子さん(仮名だそうです)の身にも、それが起こります。四十歳になる頃からりんごの作業ができなくなり、やがて、りんごの収穫期に、りんごの実ではなく、葉っぱを摘んで持ち帰るようになる。すると一族の人たちは、こうささやきあったそうです。「これはまきがきたのかもしれない」 ここでわたしはまたしても、ドキッとしました。「まき」

    『アルツハイマー征服』圧倒的な取材力と筆力で読ませるサイエンス・ノンフィクション! - HONZ
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    bokmal 2021/01/12
    “「まき」。そう、すっかり忘れていたこの言葉。『アルツハイマー征服』の著者である下山さんは、この言葉をご存じなかったようですが、東北に生まれ育ったわたしにとっては、ごく身近な言葉でした”
  • 『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』緩くつながり、ときに裏切り、香港で見たアングラ経済の姿 - HONZ

    『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』緩くつながり、ときに裏切り、香港で見たアングラ経済の姿 香港の中心街に立地するチョンキンマンション。安宿が密集するこの建物は、沢木耕太郎の『深夜特急』に登場したこともあり、今でも日からの旅行客を引きつけている。 2016年に香港の大学に客員教授として所属した著者は、ひとりのタンザニア人、カラマと知り合う。彼は「チョンキンマンションのボス」と名乗った。 「ボス」の日常は怪しさに満ちあふれていた。毎日、昼ぐらいに起き、夜な夜な仲間とたむろ。仕事は中古車ブローカー。インターネットを使って母国と香港の業者の取引を仲介している。大して働いている様子はないものの、月に数万ドル稼ぐこともある。 経済人類学者の著者が彼らの商慣行や起業家としての側面に関心を寄せるようになったのは自然の流れだった。書は国家の制度などに守られない彼らがいかに自

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    bokmal 2019/09/21
    重慶大厦よりチョンキンマンションの方が通りがいいんだろうか。
  • 『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ

    ミチコ・カクタニをご存じだろうか。を愛する者にとって彼女はまさに「雲の上の人」だ。1955年生まれの日系米国人2世で、ニューヨーク・タイムズ紙で34年間にわたり書評を担当した。辛口の書評で知られ、98年にはピューリッツァー賞(批評部門)も受賞している。英語圏で最も影響力のある書評家だ。 書は、彼女が2017年に会社を退職して初めて世に問うた著作である。意外なことにそれは文芸批評ではなかった。トランプ政権の誕生以後、民主主義が危機に瀕する米国社会を鋭く分析した渾身の一冊だったのだ。 トランプ大統領の登場をきっかけに世界は明らかに変わった。フェイクニュースやプロパガンダがはびこり、真実を追究する姿勢はないがしろにされるようになった。ヘイトスピーチが主流化し、人々は異なる政治的立場を超えて対話する術を見失ってしまった。なぜこのような事態が引き起こされたのか。なぜ真実や理性は絶滅危惧種となって

    『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ
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    bokmal 2019/07/13
  • 祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ

    書の単行が出版されたのは2006年の年末のことだ。出版社は、今は無き新人物往来社。当時、屋をめぐって新刊を探していた時に、棚から私を誘ってきただった。 タイトルを見た瞬間に気持ちが鷲づかみにされた。「ツガルソトサングンシ」と読むこの文書の話を私が初めて聞いたのはずいぶん前のことだ。「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、当時から真偽が問われていると聞いていた。「東日流外三郡誌』はその旧家から見つかった膨大な和田家文書の一部であると言われた。 嘘かもしれないと言われても、書かれていた歴史がものすごく面白かった。少し長いが編より引く。 はるか昔、津軽地方には大陸をルーツとする阿蘇辺族が居住。そこに津保化族と呼ばれる人々が渡来し、土器や竪穴式住居など縄文人独特の生活スタイルをつくり上げた。その後、岩木山の噴火によって阿蘇辺族王国が滅亡し、津保化族王国に統合されるこ

    祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ
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    bokmal 2019/05/16
  • 『文藝春秋作家原稿流出始末記』この原稿は”だれ”の”なんという作品”なのか?! - HONZ

    昭和42、3年ごろ、文藝春秋社が文芸雑誌で使用した原稿を大量廃棄処分したことがあった。 社名入りの茶封筒に入れられた大量の原稿は、ある古紙問屋に持ち込まれた。その問屋へ毎日通い、や雑誌を探す“建場廻り”(注:建場は業者がその日に集めた廃品を買い取る問屋。古業界用語)のK書店が発見し買い取った。専門外のK書店は、近代文学などを得意とするU堂へ連絡。すぐに来訪したU堂は選別したのち大金を払った。残りはK書店の倉庫に残された。 その直後、池袋西武百貨店で開かれた古書販売会の目録に人気作家の草稿が大量に出品された。この時、著者の青木正美さんが買い求めたのは安部公房『砂の女』(当時のタイトルは「チチンデラ・ヤパナ」)の草稿56枚。落札金額は112,000円であった。 これが『文藝春秋作家原稿流出始末記』の前段だ。その後、文藝春秋社の責任ある肩書の人から買い戻したいと申し出があるも断り、この原稿は

    『文藝春秋作家原稿流出始末記』この原稿は”だれ”の”なんという作品”なのか?! - HONZ
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    bokmal 2019/02/15