国立社会保障・人口問題研究所が2012年に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、65歳以上の1人暮らしの人のうち、他人と会話する機会が「2週間に1回以下」という男性は16・7%。1人暮らし高齢男性の社会的孤立の深刻さがうかがえる結果だ。 こんな高齢の男性がいた。自宅近くのファミリーレストランに食事に行くのが日課。昼どきの混雑が一段落着く頃を狙って行く。その時間なら、少し手の空く従業員たちとゆっくり会話ができるからだ。レストラン側も承知していて、帰り際には容器に夕食用のおかずなどを詰めて渡していたという。 数年後、男性が亡くなったとき、近所の人は遠くの親戚ではなく、「おじいちゃんがいつも話していたレストラン」にまず知らせた。