製紙技術を応用して木材から作られた牛の餌が注目を集めている。使い始めた酪農家や和牛の肥育・繁殖農家などでは、実証試験で乳量の増量や繁殖成績の向上を確認した。原料は国内で管理された木材で、海外依存度の高い飼料に比べて温室効果ガス(GHG)削減に寄与する。持続可能な畜産業の未来の開拓につなげる挑戦が本格化しつつある。 この餌を2022年から1500頭の繁殖和牛などに与えているのが栃木県那須町の敷島ファーム。牛1頭当たり10キロ(粗飼料+濃厚飼料)の餌を給与するが、このうち2キロを木材から作られた餌に置き換えた。飼料高騰が畜産農家の経営を直撃しているが、飼料価格高騰前の水準を維持できているという。 同ファームは、牛のふん尿やげっぷから発生するGHGに加え、飼料や牛の輸送時にかかるGHGの削減にも目を向けた「ゼロカーボンビーフ」の実現を掲げている。今回使っている餌は、大手製紙会社の日本製紙が開発し