中国中央部の河南省新郷市。大豆の生産地として知られる田園地帯の中に、高層マンションやオフィスビルが立ち並ぶ開発区域がある。その一角に、経営危機に陥っている不動産大手「中国恒大集団」が約2千戸分のマンション群を建てるはずだった。 だが10月末に訪れると、原っぱの中に巨大な門がたたずんでいた。35万平方メートルの敷地の、入り口となる予定だった場所だ。SNS上の写真では、門の上部にマンションの名称「恒大御湖天下」が掲げられていたが、すでに外されている。 他に残っていたのは低層の建物の構造部分と、基礎工事の跡だけ。マンションは1棟も完成していない。関係資料や近くの住民によると、工事は2020年に始まり、昨年の早い段階で止まったようだ。 敷地は高さ4、5メートルほどの緑色の鉄板の壁に囲まれている。住民は「地元政府にとって、ここは隠しておきたい場所」と話す。 中国では土地は国が所有し、管理する地方政府