嫁が起きて「パソコン使いたいからどいて」と。 自分のがあるのだからそれを使えとも言えず、ちょっと待ってと伝える。 文章を途中保存して、ブラウザを閉じていたところカシャっというカメラの音がした。 どうやら俺の後頭部を撮影したらしい。 その写真を見ながらニヤニヤ笑ってやがる。 「これやばいだろ?」「かなりキテる」と言いながら、薄くなりかけている俺の後頭部の写真を俺の眼前にかざす。 夫をバカにして楽しいのか?俺が不愉快な顔をするのがそんなにおもしろいのか? こういう時、怒りはほとんどない。むしろどうしようもない情けなさが腹の奥のほうからせりあがってくる。 なんのこれしき。そう、これくらいは大したことないんだ。