病気やけがで働けなくなり、給料がもらえない場合、会社員らが加入する健康保険には現金を給付する「傷病手当金」がある。自営業者らが加入する国民健康保険にはない制度だが、新型コロナウイルス感染症では特例で給付することになった。働けなくなるリスクに備える傷病手当金の役割は大きい。改めてその中身を確認しよう。 勤め人のための所得保障 傷病手当金は、会社員が加入する健康保険や公務員が加入する共済組合など、勤め人を対象とした「被用者保険」の制度だ。業務外の病気やけがの療養で仕事を4日以上休み、給料の支払いがない場合、4日目から月給の3分の2を最長1年6カ月給付する。給料の支払いはあっても減額されている場合は、傷病手当金額との差額を給付する。賞与は考慮されないため、一般に「年収の半分」が目安とされる。 健康な人は気づきにくいが、その存在感は小さくない。中小企業の従業員2376万人が被保険者になっている全国