「幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭は不幸の相もさまざまである」 とは、文豪レフ・トルストイの名作『アンナ・カレーニナ』(工藤清一郎訳)の冒頭の一文である。 不幸というものが、人間の愚かさゆえに招かれるものであるなら、人間のバカさ加減もまた、多様であるということだ。 私はネットウォッチングが大好きだ。 私は、ネットという窓を通じて、まるで小説を読むように人間を観察している。 私にとって、ネットでお見かけする賢い方々は“話を聞く”対象で、ネットで見つけてしまうバカ者たちは“動向を見守る”対象だ。 古典文学に出てくる、過去に生きた人間たちの在りようや罪を描いた物語も面白いが、今を生きている人間たちが赤裸々に発信している愚かさと狂乱もまた、興味深くて惹きつけられる。 本のページをめくるように、私はスマホ画面をスクロールする。 インフルエンサーになりたい人、ブログで稼ぎたい人、情報商材で儲