少し前の話だし、本人にも書いていいと言われたので、特にエモくはない転職の話を書く。 宮本さん(仮名)はネットでしか知り合いではなく、たまにネットでゲームを一緒にやる程度の仲だったのだが、そのネットゲームの日本人ギルドが解散することになって界隈がお通夜になってからしばらく連絡を取らなくなった。どのようなゲームでも、やり込んだジャンルの衰退に直面するのは辛い。でもまたどこかで彼とゲームできる日が来るといいなと思ってはいたが、日々慌ただしく暮らしている中で彼のことをすっかり忘れていた。 その宮本さんからある日突然メッセが飛んできて、相談があるという。 何の相談だろう。 相談に乗ると言っても、そもそも「宮本さん」という以上の情報を持っていない。美少女の雷系の魔法使いということしか分からないのだ。ゲームの腕は確かだったし、ログイン状態であれば呼べばすぐに来てくれる、一緒にやれば、期待を裏切らない程度
来年、この住み慣れた街を出て行くことになる。 その街の名を上石神井(かみしゃくじい)という。 西武新宿線という、おもに川越や所沢などあまり品のある方ではない埼玉県民を東京に送り込むための路線において高田馬場から急行で2駅・13分の立地である。 私は大学進学に合わせて上京し、とくに大きなトラブルもなく3年間を過ごしてきた。 「とくに大きなトラブルもなく3年間を過ごして」しまったのである。 上石神井駅は決して大きな駅ではないが、特急以外の全ての電車が停まり、山手線圏内へのアクセス性も非常に高い。 牛丼屋は松屋とすき家から選ぶことが出来る(私は吉野家のアンチなので、これは幸いであった)。 駅のすぐ近くにはアッサリ系のラーメン屋と二郎系のラーメン屋が激安ドラッグストアを隔てて並立しており、その日の気分に応じてラーメンの濃淡を選ぶことも出来る。 駅に直結している西友は24時間営業で、しかも深夜にはア
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