【地デジカウントダウン あと1年】(上) 「わが国のテレビ放送の新たな時代が始まった」 7月24日、1年先駆けて「地デジ完全移行」を実現した石川県の珠洲(すず)地区。イベントで泉谷満寿裕(ますひろ)珠洲市長が誇らしげにあいさつしたように、約8800世帯の「モデル地区」では、ほぼノートラブルでアナログ放送を停波したことに関係者の満足が広がった。電波障害をうかがわせる問い合わせもなく、ある職員はつぶやいた。「完璧(かんぺき)だよ、完璧」 その1週間前。弁護士の清水英夫青山学院大名誉教授らが東京都内で会見し、「地デジ完全移行は2、3年先延ばしにすべきだ」と提言した。出席したジャーナリストの坂本衛氏は「珠洲のケースは他の地域でまったく参考にならない」と断言。モデル地区が、モデルにならない。なぜそんな指摘が出ているのか。 ◆5分の1は未対応 総務省の調査では、薄型テレビなどのデジタル対応受信機の世帯