ブックマーク / www.yoshirai.com (2)

  • やさしい彼氏を殴っています - ゆらゆらタユタ

    最初は、いちいち張り合ってこない素直さを好ましく思った。変にアドバイスをしようとせず、人の話を最後まで聴いて、無理に結論を出そうとしないところには思慮深さを感じたし、わたしの決断や考えを尊重してくれる優しさに惹かれた。でも今は、それらすべてが陶しくて彼氏をたびたび殴っている。 やさしい彼氏を殴っています 前の彼氏と別れた時、もう恋愛はしないと誓った。元彼氏は同僚だった。付き合い始めてすぐにわたしは昇進し、彼は退社し独立した。リスペクトしあえる関係を築けていたのは最初のうちだけで、仕事にプライドを持っているからこそ、わたしたちは次第に張り合うようになってしまった。延々とぶつかり傷つけあうことを、切磋琢磨と言い聞かせるような恋だった。 彼がアシスタントの女子大学生に手を出していたのを知った時、わたしは声をあげて笑い、同時に安堵した。ずっとずっと、自分に非のない別れの理由を求めていた気がする。

    やさしい彼氏を殴っています - ゆらゆらタユタ
    kbeee
    kbeee 2024/02/10
  • いつかあなたを裏切るわたし - ゆらゆらタユタ

    昼間のカフェで彼氏の不満を口にする女が嫌いだった。口から出る愚痴、入っていくケーキ。 ゆるやかに、けれど延々と悪口は続く。そう、悪口。でも悪口だと言われたら、「そんなつもりはないんだけど」と、彼女は唇を尖らせるだろう。となりのテーブルのカップルにも、ちょっとかっこいい店員さんにも、誰に聞かせても問題のない、幸福な『悪口』。 「あんたはうまくやってるの?」 「うん、まあ」 「優しそうな彼氏だもんね」 うん、まあ。 少なくとも、白桃のタルトに添えられるような不満はない。 「洗面所に髪の毛が落ちていた」という理由で叩き起こされて、正座で説教→リモコンで殴打→挙げ句に外に放り出されたクリスマス――愚痴をこぼし続ける女友達が、お店の予約を忘れた恋人にブチ切れたのと同じ日のこと――の話をするには、このカフェはちょっと、日当たりが良すぎる。 とびきり汚い飲み屋で、深夜一時に、ビールと焼酎でベロベロになっ

    いつかあなたを裏切るわたし - ゆらゆらタユタ
    kbeee
    kbeee 2018/11/12
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