――著書『勉強の哲学』が「東大・京大で一番読まれた本」になった哲学者の千葉雅也さん。本の刊行からまもなく、大学の学外研究(サバティカル)制度を利用して、アメリカに4ヶ月ほど滞在した。ボストンのハーヴァード大学ライシャワー日本研究所を拠点に、ニューヨーク、マイアミ、ロサンゼルスへ。初めて踏んだアメリカの地での紀行文は、ツイートが元になっている。最新刊『アメリカ紀行』はどのように書かれたのか? ◆◆◆ 「書くことのハードルを下げたかったんです」 千葉 せっかく初めてアメリカに行くので、行く前から、サバティカルの間のことを何か本にできないかな、と思っていたんですね。行っている間に積極的にツイートをして、それを素材に何か書くことをできないだろうか、と。というのも、この中でも書いてるんですが、僕にとっては書くことのハードルを自分自身でどう下げるかが数年来のテーマだったんです。最初から高い完成度のもの